「著作権法119条1項においては,侵害の対象となる権利が著作権,出版権又は著作隣接権と明示されているほか,それぞれの権利の内容や消滅,制限等に加え,権利侵害についても同法に定められており,これらをみれば,同条項にいう著作権等を侵害し,又は侵害するとみなされる行為は無限定なものではなく,それらの行為は日常用語として合理的に解釈できる。そうすると,同法119条1項は,同項に定める侵害行為が限定されていないことや明確性を欠くことから憲法21条や31条に反するということはできず,合憲限定解釈されるべきであるとも,そうしなければ同項が無効であるともいえないから,原判決に法令適用の誤りはない。」某高裁某支部
弁当切りの事件だから、憲法違反も主張しておく。
高裁では初判断。
頒布権侵害罪というのは、無権限で頒布するという行為をいうということ。頒布行為を妨害するとか、頒布権者を殺すのは含まないというのは、常識で判る。
某高裁某支部h30
第1 弁護人及び被告人の控訴理由
(4)法令適用の誤り(弁護人奥村の控訴理由第4及び被告人の控訴理由第4)
著作権法119条1項は,客体は限定されているが,行為は全く限定されておらず,表現行為に対する漠然不明確な規制であり,かつ過度に広汎な規制であるから,憲法21条に反し無効である。また,著作権法119条1項は,行為や正犯者の範囲について全く無限定であるし,刑罰法規としての明確性も欠くから,合憲限定解釈をしない限り,罪刑法定主義を定める憲法31条に反し無効である。そうすると,限定解釈されるべきであるのにこれをせず,無効である著作権法119条1項を適用して被告人を有罪とした原判決には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがある。
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裁判所の判断
(4)法令適用の誤りの主張(前記第1・2(4))について
著作権法119条1項においては,侵害の対象となる権利が著作権,出版権又は著作隣接権と明示されているほか,それぞれの権利の内容や消滅,制限等に加え,権利侵害についても同法に定められており,これらをみれば,同条項にいう著作権等を侵害し,又は侵害するとみなされる行為は無限定なものではなく,それらの行為は日常用語として合理的に解釈できる。そうすると,同法119条1項は,同項に定める侵害行為が限定されていないことや明確性を欠くことから憲法21条や31条に反するということはできず,合憲限定解釈されるべきであるとも,そうしなければ同項が無効であるともいえないから,原判決に法令適用の誤りはない。