15歳の少女との性交につき、不同意性交罪(177条3項)ではなく、青少年条例違反で逮捕された事例
16歳未満と知っていたら、刑法177条3項だけが検討されるので、青少年条例違反ということは、18歳未満とは知っていたが16歳未満と知らなかったか、18歳未満とも16歳未満とも知らなかったということなんでしょうね
この点、齢確認義務の発生根拠がないとして無罪事例が出ています(八戸支部r4.2.2)
兵庫県解説
「過失のないとき」とは、単に青少年に年齢、生年月日等を確認しただけ、又は身体の外観的発育状況等から判断しただけでは足りず、学生証運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の父兄に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を用いて青少年の年齢を確認している場合をいう。
八戸支部r04.2.2
3 過失の有無について
検察官は,Aが18歳以上だと被告人が信じる根拠はなく,被告人が勤務先で18歳未満の青少年と淫行すれば処罰対象であるとの教育を受けていたことからすれば,被告人において,Aの年齢確認に必要な方法を尽くすべき注意義務があったと主張する。
しかし,Aが18歳以上だと被告人が信じる根拠がないこと自体は,必要な注意義務を尽くしたかどうかの問題であって,注意義務発生の根拠とはならないし,18歳未満の青少年との淫行が多くの都道府県の条例で処罰対象とされていることは公知の事実であり,被告人が受けていた教育内容によって,被告人に特別の注意義務を課すことは相当でない。
そして,Aの容姿は,一見して18歳未満であると疑うべきということはできず,被告人においてAが18歳未満であると疑うべきといえるようなAの言動があったことを認める証拠もない。
以上により,被告人において,Aの年齢を確認すべき注意義務があったということはできないから,Aの年齢を確認するのに必要な方法を尽くさなかったということはできない。
4 結論
したがって,被告人には,Aが18歳未満であることを知っていたとも,Aの年齢を確認するのに必要な方法を尽くさなかったとも認めることはできず,主位的訴因及び予備的訴因のいずれについても犯罪の証明がないから,刑事訴訟法336条により,主文のとおり判決する。
(求刑・罰金40万円)
令和4年2月2日
青森地方裁判所八戸支部
第一七七条(不同意性交等)
1 前条第一項各号に掲げる行為又は事由その他これらに類する行為又は事由により、同意しない意思を形成し、表明し若しくは全うすることが困難な状態にさせ又はその状態にあることに乗じて、性交、肛こう門性交、口腔くう性交又は膣ちつ若しくは肛門に身体の一部(陰茎を除く。)若しくは物を挿入する行為であってわいせつなもの(以下この条及び第百七十九条第二項において「性交等」という。)をした者は、婚姻関係の有無にかかわらず、五年以上の有期拘禁刑に処する。
3十六歳未満の者に対し、性交等をした者(当該十六歳未満の者が十三歳以上である場合については、その者が生まれた日より五年以上前の日に生まれた者に限る。)も、第一項と同様とする。
青少年愛護条例(昭和38年3月31日兵庫県条例第17号)
(みだらな性行為等の禁止)
第21条
1 何人も、青少年に対し、みだらな性行為又はわいせつな行為をしてはならない。
(罰則)
第30条
1 次の各号のいずれかに該当する者は、2年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金に処する。(2) 第21条第1項の規定に違反した者
6 第17条第1項(同項第4号又は第9号に係る部分を除く。)、第20条第1項若しくは第2項、第21条 第1項若しくは第2項、第21条の2、第21条の3又は第24条第2項の規定に違反した者は、当該青少年 の年齢を知らないことを理由として、第1項又は前3項の規定による処罰を免れることができない。た だし、過失のないときは、この限りでない。
https://news.yahoo.co.jp/articles/7e2a7540d856e7dd8cac7d17f880b9b597556b64
神戸市内の宿泊施設で29日、相手が18歳未満と知りながら、当時15歳の女子学生と性交したとして、42歳の看護師の男が逮捕されました。
29日、青少年愛護条例違反の疑いで逮捕されたのは、兵庫県稲美町に住む看護師の男(42)です。