児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

売春条件の書き込みを放置し、売春を助長したという逮捕事例

 勧誘・誘引の書き込みを放置したという不作為の幇助と伏せ字にしたのを作為による幇助の合わせ技みたいです。

 出会い系サイト規制法12条をテコにして刑法上の作為義務が導けるのかは疑問です。12条違反の場合は行政処分しか予定されていません。

インターネット異性紹介事業を利用して児童を誘引する行為の規制等に関する法律
(児童の健全な育成に障害を及ぼす行為の防止措置)
第十二条  インターネット異性紹介事業者は、その行うインターネット異性紹介事業を利用して禁止誘引行為が行われていることを知ったときは、速やかに、当該禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報をインターネットを利用して公衆が閲覧することができないようにするための措置をとらなければならない。
2  前項に定めるもののほか、インターネット異性紹介事業者は、その行うインターネット異性紹介事業を利用して行われる禁止誘引行為その他の児童の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するための措置を講ずるよう努めなければならない。

売春防止法違反の書き込みは12条2項で削除することになるようです。

逐条出会い系サイト規制法(福田正信他・立花書房・平成21年5月)
(1) 第1項関係
① 「その行うインターネット異性紹介事業を利用して禁止誘引行為が行われている」とは、事業者が提供するサービスを用いて禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報をインタ}ネットを利用して公衆が閲覧することができる状態に置いてこれに伝達していることをいう。
② 「禁止誘引行為」とは、第6条各号に掲げる行為であり、罰則の対象とされていないい同条第5号に掲げる行為も含む。
なお、「禁止誘引行為に係る異性交際に関する情報」の詳細については、警察庁により「インターネット異性紹介事業者の閲覧防止措置義務(いわゆる削除義務)に関するガイドライン」が作成されている(資料6参照)
③ 「知ったときは」とは、事業者自らが発見した場合のみならず、登録誘引情報提供機関や警察等、外部からの情報提供により知ったときも該当するが、事業者が認知していない情報については、「土日ったとき」に当たらず、第12条第1項に規定する義務は課されない。
なお、事業者には、禁止誘引行為が行われていることを知るために、
その行うインターネット異性紹介事業を利用して行われる書き込みを監視する義務や外部かららの情報提供を常時受け付ける体制を設ける義務までは課されていない。

(2) 第2項関係
① 「禁止誘引行為その他の児童の健全な育成に障害を及ほす行為」とは、禁止誘引行為に限らず、広く児童の健全な育成に障害を及ぼす行為全般を指し、例えば、児童以外の者による売春を誘引する書き込み、児童買春若しくは淫行をあおる書き込み又はわいせつ凶画等をインターネット異性紹介事業の電子掲示板に掲載する行為がこれに当たる。
② 「児童の健全な育成に障害を及ぼす行為を防止するための措置jとは、例えば
 その行うインターネット異性紹介事業を利用して、売春に関する誘引行為又はわいせつ図画の添付その他の禁止誘引行為以外の児童の健全な育成に障害を及ぼす行為が行われたことを発見した場合に、当該行為に係る書き込みを削除すること。。
 禁止誘引行為が禁止されている旨及び違反した場合は削除される旨を規約及びウェブサイト上等に表示し、利用者の注意を喚起すること。
 禁止誘引行為を行った利用者について、規約等に基づき利用停止措置をとること。
 禁止誘引行為の防止措置の対象となる書き込みを認知し、削除するための体制を整備すること。
等が想定される。

売春防止法
(勧誘等)
第五条  売春をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者は、六月以下の懲役又は一万円以下の罰金に処する。
一  公衆の目にふれるような方法で、人を売春の相手方となるように勧誘すること。
三  公衆の目にふれるような方法で客待ちをし、又は広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。
(周旋等)
第六条  
2  売春の周旋をする目的で、次の各号の一に該当する行為をした者の処罰も、前項と同様とする。
一  人を売春の相手方となるように勧誘すること。
三  広告その他これに類似する方法により人を売春の相手方となるように誘引すること。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151130-00000015-kyt-l26
逮捕容疑は共謀し、昨年10月、運営するサイト内の「大人の掲示板」で、ネットで派遣型売春クラブを営んでいたとされる無職男(27)=児童福祉法違反容疑で逮捕=らが投稿した少女=当時(17)=についての売春条件の書き込みを放置し、売春を助長するなどした疑い。
 サイト側は、掲示板に投稿者が掲載した売春を示唆する内容や金額部分を、「○」や「*」の記号に置き換えて表記し、隠していたという。府警は掲示板が売春の窓口になっている状態を知りながら放置したと判断し、サイトを管理していた容疑者らの逮捕に踏み切った。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151130-00000072-san-soci
示板は、「*交」や「お*づかい」などと、売春を示す隠語の一部を伏せ字にしていた。
 逮捕容疑は、共謀し、平成26年10月10日から27年9月13日、サイトの掲示板に売春を示す隠語の一部を「*」などの表現に変換し、サイトが売春に利用されていることを知りながら、売春クラブの経営者(27)や女性(40)が買春客を勧誘するのを幇助したとしている。
 今年4月、府警が児童買春・ポルノ禁止法違反容疑などで、大津市認定こども園の園長や売春クラブ経営者の男らを逮捕した事件を捜査する過程で発覚した。