やってないんだから反省なんて出ないよね。
【文献番号】 25506190
【文献種別】 判決/仙台地方裁判所平成26年 8月15日
【事案の概要】 被告人は、深夜、被告人の横で寝ていた養女である被害者(当時11歳)に対して、ブラジャーやパンツの中に手を差し入れて、乳房をもんだり、陰部を触るなどの行為に及んだとの強制わいせつの事案において、犯行態様は卑劣で悪質であること、養父としての立場を悪用して行為に及んだこと、常習的犯行であること、被害者に性的自由に与えた影響は極めて大きく、今後の生活に及ぼすであろう様々な影響も見過ごすことができないこと、被害者に対し、反省や謝罪の態度を一切示していないことなどを考慮し、被告人を懲役1年6月の実刑に処した事例。
(量刑の理由)
被告人は、深夜,被告人の横で寝ていた被害者に対して,ブラジャーやパンツの中に手を差入れて,乳房をもんだり,陰部を触るなどの行為に及んだものであり,犯行態様は卑劣で悪質である。被告人は被害者の養父であり,被害者を保護し,その健全な育成に努めるべき立場にあったのに,その養父としての立場を悪用してわいせつ行為に及んだものといえ,厳しい非難に値する。また,被告人は,被害者に対し,本件犯行以前から同様の行為を繰り返していた中で本件犯行に及んだものと認められ,常習的犯行である。被害者が犯行当時小学生と若年で,かつ,わいせつ行為が同人の意思に反して行われたものであることに鑑みれば,本件犯行が被害者の性的自由に与えた影響は極めて大きく,今後の生活に及ぼすであろう様々な影響も見過ごすことができない。そして,このような卑劣な犯行に及んでいながら,被告人は,被害者に対し,反省や謝罪の態度を一切示していない。
したがって,本件の犯情は悪く,実刑に処するのが相当である。もっとも,起訴された件数が1件の事案であり,わいせつ行為の手段として,激しい暴行や脅迫が用いられていないこと,被告人に同種の前科がないことなどを考慮し,被告人に対し,主文の刑に処することとした。
(求刑 懲役3年)
平成26年8月15日
仙台地方裁判所第1刑事部
裁判長裁判官 河村俊哉 裁判官 村田千香子 裁判官 楠山喬正
【文献番号】 25506191
【文献種別】 判決/仙台高等裁判所(控訴審)
【裁判年月日】 平成27年 3月10日
【事件名】 強制わいせつ被告事件
【事案の概要】 被告人は、深夜、被告人の横で寝ていた養女である被害者(当時11歳)に対して、ブラジャーやパンツの中に手を差し入れて、乳房をもんだり、陰部を触るなどの行為に及んだとの強制わいせつにより起訴され、原判決は懲役1年6月を言い渡し、被告人が控訴をした事案において、被告人の原審供述の信用性を直ちに排斥することもできないから、「疑わしきは被告人の利益に」の原則に従って、被告人が公訴事実記載の罪を犯したとの証明はされていないと評価すべきであるとして、原判決を破棄し、被告人に無罪を言い渡した事例。
【裁判結果】 破棄、無罪
【裁判官】 嶋原文雄 早川幸男 大川隆男