児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

法律事務所に返還命令 弁護の「着手金」(福岡地裁H26.12.16)

 報道によれば、着手金45万円+85万円を最初に払ったようですね。
 「やっぱり頼むのやめた」ということは珍しくなく、そのために委任契約書に中途解約の場合の精算の条項がありますが、出来高払いになるので、受任したてで何もしていない段階だと、伝統的な弁護士なら全額返しますよね。

http://www.sankei.com/affairs/news/141216/afr1412160016-n1.html
法律事務所に依頼した刑事弁護を中途解約した福岡県の男性が、支払った着手金45万円の返還に事務所側も合意したにもかかわらず返金されないと主張した訴訟の判決で、福岡地裁は16日、事務所側に返還を命じた。

 事務所は債務整理を多く手掛ける「法律事務所」(東京)。

 訴訟で側は「返金は、新しく選任された別の事務所の弁護士が謝罪する条件で合意した。謝罪がない」と主張したが、永井裕之裁判長は判決で「の弁護士が送った書面には謝罪の条件はない。返金の合意は成立している」と指摘した。

 判決によると、男性と、逮捕された長男は11月7日、異なる弁護士にそれぞれ刑事弁護を依頼した。男性は側への依頼をキャンセルし、支払い済みの計130万円の返還を求めたが、うち着手金分は返還されなかった。

続報

弁護士事務所に着手金返還命令 地裁 /福岡県
2014.12.17朝日
 男性側が側と昨年結んだ、返金に応じる和解契約が有効かどうかが争点だった。側は「刑事事件部門が結んだもので、代表弁護士の意思ではない」と契約の無効を主張していたが、判決は「刑事事件部門が事務所を代表し、和解が成立した」と認定した。
 法律事務所は2004年設立で、全国に計59の本店・支店がある。男性は福岡支店に長男の刑事弁護を依頼したが、別の弁護士が見つかり、その日のうちに解約したという。側は「男性には改めて和解を申し入れていたが、主張が認められず残念」とコメントした。


法律事務所に返還命令 福岡地裁 着手金一部 解約者に=福岡
2014.12.17 読売
判決によると、男性は昨年11月7日、刑事事件で逮捕された長男の弁護人を依頼する契約を同法人と結び、着手金や預かり金を払った。長男が別の弁護士を弁護人に選任したため、男性は同日中に解約を伝えた。
 長男への初回の接見を行っていた同法人は預かり金は返したが、着手金の一部約45万円は「依頼者の都合で解約する場合、返還できないと口頭で説明した」と拒否。同12月、同法人は返還する旨の和解を申し込み、男性側も応じたものの、同法人は「法人代表の意向が和解条件に反映されていなかった」として申し込みは無効と主張した。
 永井裁判長は和解の申し込みについて、同法人の刑事事件部門部長が代表して行ったと指摘。「和解は成立している」とし、同法人に支払い義務を認めた。
 同法人は即日控訴した。

着手金の返還訴訟 弁護士法人が敗訴 福岡地裁
2014.12.17 西日本新聞
 判決によると、男性は昨年11月、長男が逮捕されたために同法人福岡支店に相談。着手金を振り込んだが、長男が別の弁護士に依頼したため、その日のうちに解約を申し出た。
 同法人側は返還しなかった理由について「選任された弁護士が、(同法人側の)男性への対応に不手際があると指摘したことについて、謝罪することが条件だった」と主張したが、永井裁判長は「着手金返還の契約書には謝罪の条件はなく、書面が交わされた時点で契約は成立している」として退けた。
 同法人は即日控訴。取材に対して「主張が認められず大変残念」としている。