原審弁護人選任の効力は 控訴申立てにより原則として失われると解されるが(刑訴法32条2項) 釻原審弁護人は控訴趣意書を提出でき,それに付随する活動はなお行い得ると解する余地があるし上訴申立後も一件記録が上訴審に到達するまでは被告人の身柄に関係する処理は原審が行うこととされている〈刑訴法97条1項, 2項,規則92条2項、1項〉から,一件記録が原審に止まっている状況で,上訴審の審理に向けた弁護人が未だ選任されていない段階において 自ら活動しようとする原審弁護人が被告人のためにした保釈請求を例外的に認めることが法の趣旨に直ちに背くものとも思われない。