児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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漁港漁場整備法39条5項2項にいう「放置」とは事実上の管理者が船舶を離れ指定された区域から直ちに移動できない状態を意味すると解するのは相当である (東京高裁H25.6.12)速報番号3509号

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裁判要旨
漁港漁場整備法39条5項2号にいう「放置」とは,事実上の管理者が船舶を離れ指定された区域から直ちに移動できない状態を意味すると解するのが相当である。
。裁判理由
論旨は,漁港漁場整備法〈以下「法」という) 3 9条5項2号にいう「放置」 とは,所有者等事実上の管理権を有する者の管理から離脱し,すぐに動かすことができない状態のことをいい、これを前提とすると被告人の行為は「放置」に当たらないのに,管理の有無は問題ではなく,漁港管理者が指定した区域内に漁港の保全上問題があると認めた対象物件が係留されていることそのものが同号にいう「放置」 に当たるとした点においてs 原判決には判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
そこで,論旨について検討すると,原判決は,係留されていることそのものが,同号にいう「放置」 に当たるとしている。
これに対し,弁護人は,自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律5条5項において「放置自転車等」は自転車等駐車場以外の場所に置かれている自転車等で、あって 当該自転車等の利用者が当該自転車等を離れて直ちに移動することができない状態にあるものをいうとされていること,道路交通法5 1条の4第1項において3放置行為とは,車両の運転者がこれを離れして直ちに運転することができない状態にする行為とされていることと対比して,原判決の解釈はこれらの法令における放置状態の用例とかけ離れたものであるという。
確かに,いずれの法律も,交通の円滑化等を図るために「放置状態」 にある物につき 規制を行うという点では一致しているから,自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律5条6項及び道路交通法54条の4第I項において定める「放置」の定義は,法39条5項2号の「放置」にも当てはまるものといえる。
そうすると,弁護人が指摘するとおり原判示対象物件が係留されていることそのものが放置に当たるとする原判決の解釈は広きに失し,採り得ず,同号にいう「放置」とは,船舶の場合,事実上の管理者が船舶を離れ、指定された区域から直ちに移動できない状態を意味すると解するのが相当である