脅迫して胸部画像を生中継させた行為を強要罪とするもの(盛岡地裁r07.3.25)
不同意わいせつ罪(176条3項)とした裁判例があります。
札幌高等裁判所令和6年3月5
原判示第2に係る被告人の行為は、同様に、わいせつの意図をもって、身分及び目的を偽り、アプリケーションソフトのビデオ通話機能により被告人が視聴できる状態で、被害者の陰部や乳房等という性器や性的意味合いを有する部位を、衣類を脱がせて露出させたものであり、被告人において、撮影の現場にいるのと同様に被害者の姿態を即時に認識することが可能であるから、原判示第1の行為よりも直接的に被害者の身体を性的に利用するものといえ、自慰行為等をさせていないとしても、「わいせつな行為」に該当することは明らかである。
強要、不同意性交等、性的姿態等撮影、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、強要未遂被告事件
盛岡地判令和7年3月25日
D1-Law.com判例体系〔28332501〕
第2 別表記載のAの裸体画像等を所持していたことを利用して同人を脅迫し、同人に義務のないことを行わせようと考え、
1 同月11日午前11時37分頃から同日午後11時11分頃までの間、秋田県内又はその周辺において、自己が使用する携帯電話機から、アプリケーションソフト「E」を利用して、Aが使用する携帯電話機に、「ビデ通しかなくねー?」「体しかなくね?」「見せてよ、バラす?」「それで広められるのと下も見せるのどっちがいい?」「何?やらないつもりなの?」「ひろめる?」などと記載したメッセージを送信し、いずれもその頃、岩手県内において、同人にこれらを閲覧させ、被告人とのビデオ通話に応じ、その通話中に被告人に裸体を見せることを要求し、もしこの要求に応じなければ、Aの裸体画像等を拡散させるなどして同人の名誉等にいかなる危害を加えかねない旨を告知して脅迫し、同人を怖がらせ、よって、同日午後11時15分頃から同月12日午前1時50分頃までの間、同人に被告人とのビデオ通話に応じさせた上、その裸体を同ビデオ通話中のスマートフォンのカメラに映させ、もって同人に義務のないことを行わせた(令和6年11月29日付け起訴状記載の公訴事実第1の1)、
2 同月13日午後10時22分頃から同月16日午後11時37分頃までの間、秋田県内、岩手県内、宮城県内、福島県内、茨城県内、栃木県内又はその周辺において、前記1と同様の方法で、Aが使用する携帯電話機に、「おっぱいみせて、くれなかったら広めるわ」「あ、んでみせろよ!」「拡散よりマシやろ。見せなよ」などと記載したメッセージを送信し、いずれもその頃、岩手県内において、同人にこれらを閲覧させ、被告人にAの裸の胸部の画像を送信することを要求し、もしこの要求に応じなければ、同人の裸体画像等を拡散させるなどして同人の名誉等にいかなる危害を加えかねない旨を告知して脅迫し、同人を怖がらせ、よって、同日午後11時38分頃、同人にその裸の胸部の画像を前記「E」を使用して被告人のスマートフォンに送信させ、もって同人に義務のないことを行わせた(令和6年11月29日付け起訴状記載の公訴事実第1の2)、
3 同年10月10日午後10時38分頃から同月14日午前9時46分頃までの間、秋田県内、岩手県内又はその周辺において、前記1と同様の方法で、Aが使用する携帯電話機に、「明後日から三連休やけど会える?」「バラされたいなら別に会わんでもええけど」「内容によっては会ってくれないなら晒すわ」「晒す?」「晒していい?」などと記載したメッセージを送信し、いずれもその頃、岩手県内において、同人にこれらを閲覧させ、被告人との面会等を要求し、もしこの要求に応じなければ、Aの裸体画像等を拡散させるなどして同人の名誉等にいかなる危害を加えかねない旨を告知して脅迫し、もって同人に義務のないことを行わせようとしたが、同人がその要求に応ぜず警察に届け出たため、その目的を遂げなかった(令和6年11月6日付け起訴状記載の公訴事実)
ものである。