児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

司法行政上の措置として刑事事件の判決書が交付される場合

 判例雑誌への掲載は担当裁判官の許可とされています。

大友男也「刑事訴訟実務 記録係の巻(3)・(4)」全国書協会報78号
Q 裁判書謄・抄本の交付が次のような者から請求された場合いかなる処理がもっとも妥当か。
イ 国税局長(職員の処遇決定の資料とするため)
口 電報電話局長(同右)
ハ 電力株式会社支庖長(同右〉
ニ 海上保安庁(同種事件の処理上参考判例として)
ホ 県響本部長(教養資料として保存するため)
へ 交通事件の被害者(民事訴訟提起に先立ち自賠法による保険金請求のため必要として)
卜 交通事故による被害者が民事訴訟に提出することを理由とする交付請求
チ 弁護士法二三条に基づく交付請求および官公署団体の所属職員に対する身分上の訴訟につき必要とすることを理由とする交付請求
A 所問は、いずれの場合も訴訟上の請求としては認められない。したがって、交付するかどうかは、司法行政上の措置として裁判所の裁量によることになるが、本間の場合、一般的に言えば、使用目的がはっきりしているので、交付してさしつかえない場合に当るのではないかと思う。その場合、交付する書面としては、への場合を除いて写しで足りよう。

Q 同判例雑誌社から雑誌に掲赦するため裁判書写しの送付を依願してきた場合、送付することは差支えないか。また依頼がなくても進んで送付することはどうか
A この問題は司法行政上の裁量によるものであるが、担当裁判官の許可を得る必要があろう。

Q 県庁職員に関連する事件について、県知事から、公判閉廷前に、起訴状の謄抄本または写の交付請求があった場合どうすべきか。
A 消極

最高裁事務総局「刑事手続法に関する通達・質疑回答集追補Ⅱ s33」P17
問題
刑事訴訟法第四十六条にいわゆる「訴訟関係人」には、検察官を含むか。
なお、検察官から刑事訴訟法規則第二百五十七条によれ以上告審としての事件受理の申立があったとき、同規則第二百五十八条の二第一項本文についても、同様に解することができるか。
また、第一審もしくは控訴審の弁護人は、上告審の裁判替の謄本の交付を請求することができるか。.
決議
第一項第二項は、積極に解する。
第三項は、特に必要がある場合には積極に解する。
理由
刑訴法第四六条にいわゆる「訴訟関係人」とは、その事件の検察官、被告人、弁護人司補佐人等を指すものと解する。そして、右「訴訟関係人」より検察官を除外すべき理由を発見することができない。
刑訴規則第二五八条の二第一項本文についても、右と異なる解釈をすべき理由がない。但し、検察官は執行指揮を要する裁判の裁判官又はその裁判を記載した調慢の謄本文は抄本については、刑訴規則第三六条の規定により、当然裁判所よりその勝本叉は抄本の送付を受けることになるから、刑訴法第四六条による請求を為すことは少ないことになるであろう。
第一審もしくは控訴審の弁護人も、特に必要ありと認められる場合には、「訴訟関係人」として、上告審の裁判書の勝本の交付を請求することができるものと解するのを相当とする。
 昭和三二、六、二四 法曹会決議)