同じ前例がなかったので、手間取りましたが、満額認容されました。
控訴審の無罪判決が最高裁で追認されています。
刑事補償法
第二五条(免訴又は公訴棄却の場合における補償)
1 刑事訴訟法の規定による免訴又は公訴棄却の裁判を受けた者は、もし免訴又は公訴棄却の裁判をすべき事由がなかつたならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があるときは、国に対して、抑留若しくは拘禁による補償又は刑の執行若しくは拘置による補償を請求することができる。
2前項の規定による補償については、無罪の裁判を受けた者の補償に関する規定を準用する。補償決定の公示についても同様である。
平成31年(も)第○号
決 定
請求人
代理人弁護士奥村徹
上記の各請求人から刑事補償の請求があったので,当裁判所は,検察官及び各請求人の意見を聴き,次のとおり決定する。
主 文
請求人に対し,金○○円を交付する。
理 由
1 本件請求の趣旨は,請求人らは,~~~tは同事件につき,平成年月日当裁判所において公訴棄却の決定を受けたが,もし公訴棄却の決定をすべき事由がなかったならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があるから,tが同事件において受けた合計○日間の未決の抑留及び拘禁について,刑事補償法に基づく補償を求めるというのである。
2 一件記録によれば,以下の事実が認められる。
~~~
3 刑事補償法25条1項は,公訴棄却の裁判を受けた者は,もし公訴棄却の裁判をすべき事由がなかったならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があるときは,抑留又は拘禁による補償を請求することができると規定するところ,一件記録によれば,上記控訴審判決の判断は不合理なものではなく,tが~~していなかったならば無罪の裁判を受けるべきものと認められる充分な事由があるものと認められる。
4 以上によれば,請求人らに対しては,tが受けた未決の抑留及び拘禁全部につき刑事補償法25条,2条による補償をすべき場合に当たる。そこで,補償金額につき検討すると,以上の事実のほか,同法4条2項所定の諸般の事情を考慮して,同条1項所定の金額の範囲内で,tの受けた抑留及び拘禁の日数に応じ,1日金○○円の割合により,主文に記載した金額の補償金を交付するのが相当である。
よって,刑事補償法16条前段により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
令和元年7月4日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 林 景一
裁判官 山﨑敏充
裁判官 戸倉三郎
裁判官 宮崎裕子
裁判官 宇賀克也