児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

判例違反の上告理由について所論引用の札幌高等裁判所の判決は,当裁判所の決定(平成19年(あ)第619号同21年10月21日第一小法廷決定・刑集63巻8号1070頁)によりその罪数判断が否定されているから,刑訴法405条3号にいう判例に当たらないとされた事例(最決H22.3.16)

 TKCに出てました。
 児童淫行罪と3項製造罪の罪数の話です。
 弁護人は札幌高裁H19.3.8には気づいたのに東京高裁H17.12.26は知らなかったようです。大阪高裁は併合罪説でした。東京高裁H21.10.14(併合罪)というのもあります。ちょっと聞いてくれれば情報提供できたのに。
 東京高裁H17.12.26(観念的競合)も札幌高裁H19.3.8(観念的競合)も東京高裁H21.10.14(併合罪)も最決h21.10.21(併合罪説)も全部弁護人は奥村でした。

傷害,児童福祉法違反,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
       理   由
 弁護人の上告趣意のうち,判例違反をいう点は,所論引用の札幌高等裁判所の判決は,当裁判所の決定(平成19年(あ)第619号同21年10月21日第一小法廷決定・刑集63巻8号1070頁)によりその罪数判断が否定されているから,刑訴法405条3号にいう判例に当たらず,その余は,単なる法令違反の主張であって,刑訴法405条の上告理由に当たらない。
 よって,同法414条,386条1項3号により,裁判官全員一致の意見で,主文のとおり決定する。
平成22年3月16日
最高裁判所第三小法廷
裁判長裁判官 那須弘平 裁判官 藤田宙靖 裁判官 堀籠幸男 裁判官 田原睦夫 裁判官 近藤崇晴

 なお、最決で否定されたのは、3項製造罪-児童淫行罪を観念的競合とする説です。数回の3項製造罪が包括一罪になる点と数回の児童淫行罪が包括一罪になる点は否定されませんでした。