管理者が刑事責任を負う理屈はわいせつ図画公然陳列でも児童ポルノ公然陳列でも同じです。
奥村の経験では、画像ちゃんねるのA板の児童ポルノ画像をB板に転載しただけで罰金50万でした。
そういう時に対処しておけば、こういうことはないんでしょうが。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070523-00000100-jij-soci
同容疑者が管理する「画像ちゃんねる」には、昨年1年間でアクセス数が7362万件、画像投稿数は36万件に上り、わいせつ画像の掲示板としては全国最大規模という。
横浜地裁→東京高裁→最高裁と管理者正犯説の判決があって、名古屋地裁には管理者従犯説の判決があるんですが、横浜地検が今回も管理者を正犯で起訴するのかに注目しています。名古屋地裁判決なんかがお役に立てるんじゃないですか?
追記
素人的には確かにそうなんですけど、裁判所はそう評価していません。同時犯の扱いです。
プロバイダ責任制限法で民事責任を限定した反動で刑事責任がきつくなった感じです。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070523-00000312-yom-soci
「画像ちゃんねる」は、2002年12月の開設以来、掲載されたわいせつ画像が約102万件、閲覧件数が昨年1年間で約7362万件に上り、国内最大規模の画像投稿サイトとして知られる。ネット掲示板の管理者を同容疑で逮捕するのは極めて異例。県警では、容疑者らが、わいせつ画像を放置して運営を続けており、悪質と判断した。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070523-00000087-zdn_n-sci
調べでは、男らは昨年6月から8カ月間にわたり、投稿されたわいせつな画像を掲示板上に掲載していた疑い。男は「投稿したほうが悪い思う」などと容疑を否認しているという。
http://www.sankei.co.jp/shakai/jiken/070523/jkn070523024.htm
容疑者は「投稿されたわいせつ画像を見られるように設定したが、意図的ではない」と容疑を否認しているという。
調べでは、容疑者らは昨年6月15日から今年2月21日までの間、投稿された男女のわいせつ画像を画像ちゃんねるに掲載し、アクセスした不特定多数の人に閲覧させた疑い。
県警は同日の家宅捜索で、サーバーパソコンなど計25台を押収し、同掲示板は現在、わいせつ画像の閲覧は不可となっている。昨年7月、無断で画像を掲載された横浜市内の女性(29)から県警に被害相談があった。
http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/jiken/news/20070524k0000m040148000c.html
わいせつ図画公然陳列容疑で逮捕した。「生徒の画像が載っている」と、全国の中学・高校34校から計139件の削除依頼が同サイトに寄せられていた。
中学・高校からの削除依頼には、生徒の顔写真や制服姿の写真が掲載されているものがあった。
http://www.nikkansports.com/general/f-gn-tp0-20070523-203196.html
画像ちゃんねるは、画像の投稿を募集する巨大掲示板サイト。1日約20万件のアクセス、約1000件の投稿がある。投稿すると、そのまま掲示されるため違法な画像が横行。県警はそれを認識しながら削除しなかったのを「放置」ととらえた。
県警によると、サイト管理者を同容疑のほう助ではなく、正犯で逮捕するのは異例。
調べでは、7人は昨年6月から今年2月の間、同サイトに投稿されたわいせつ画像を掲示し、アクセスした不特定多数に閲覧させた疑い。
容疑者は「管理者は場所を提供しているだけで、投稿画像について責任を負わない」と否認しているという。
http://headlines.yahoo.co.jp/videonews/ann/20070523/20070523-00000027-ann-soci.html
「悪いのは投稿者」わいせつサイト管理者、異例逮捕
インターネットの掲示板「画像ちゃんねる」にわいせつ画像などを載せたとして、掲示板を管理していた男らが逮捕されました。サイト管理者の逮捕は極めて異例です。
調べに対しては「投稿したほうが悪い」と容疑を否認しています
なお、管理者は時々逮捕されていて、奥村も3件弁護しましたので、極めて異例というわけではありません。
いい加減に弁護すると、投稿者と管理者は共謀共同正犯だという判例もできそうな勢いですので、真面目に弁護して欲しいところです。
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拙稿よりも山口説を読んでください。
http://www.shojihomu.co.jp/newbooks/1224.html
第3章 プロバイダの刑事責任をめぐる諸問題
第1節 プロバイダの刑事責任(山口 厚)
第2節 プロバイダの刑事責任――判例の考察(奥村 徹)
第3節 プロバイダの刑事責任について――プロバイダの立場からの一考察(落合洋司)
■座談会 プロバイダの刑事責任をめぐる諸問題
(山口 厚/落合洋司/奥村 徹/丸橋 透/森 亮二)
弁護人あて、こういう主張をしたことがあります。
判断は奥村まで問い合わせてください。
「陳列」には不作為を含まない・憲法21条1項・31条違反
1 一般論
(1) 定義
「陳列」(7条1項)とは作為をいい、不作為を含まないことは国語辞典でも明かである。
また、同項で同一法定刑で規定されている「頒布」「販売」「貸与」、2項で規定されている「製造」「所持」「運搬」「輸入」「輸出」も文理上すべて作為を予定している。(児童ポルノ頒布等)
第7条
(1) 児童ポルノを頒布し、販売し、業として貸与し、又は公然と陳列した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。
(2) 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。
(3) 第一項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。大辞林 第二版 (三省堂)
ちんれつ 【陳列】
(名)スル
(人に見せるために)物品を並べること。
「―棚」「―室」「商品を―する」にもかかわらず、不作為をも処罰することは、罪刑法定主義に反するといわなければならない。
かつ、掲示板の管理者にこのように重い責任(知らないうちに掲載された内容について故意の刑事責任を負う)を負わせることは、表現の自由に対する過度に広汎な規制であるから、公然陳列罪の不真正不作為犯を認めることは憲法21条1項に違反する。
(公然陳列罪のうち不真正不作為犯に適用される場合については、憲法違反により無効である。)(2) 既遂時期
一般に公然陳列罪の既遂時期は、不特定多数の者が認識可能になった時点(わいせつ図画の罪について最高裁決定H13.7.16)である。
最高裁決定H13.7.16
同条が定めるわいせつ物を「公然と陳列した」とは,その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことをいい,その物のわいせつな内容を特段の行為を要することなく直ちに認識できる状態にするまでのことは必ずしも要しないものと解される。(3) 着手時期
公然陳列罪の着手時期の判例を知らないが、陳列=画像を不特定多数に閲覧可能にすることでってそれによって保護法益侵害(児童の権利)の具体的危険性が認められる時点であるといえる。
大辞林 第二版 (三省堂)
ちんれつ 【陳列】
(名)スル
(人に見せるために)物品を並べること。
「―棚」「―室」「商品を―する」
インターネットホームページによる公然陳列の場合は、当該画像のアップロード開始時である。(それより遡るとすれば、ネット接続時、掲示板表示時等が観念できるが、いずれも法益侵害の危険性が看取できない。他方、それより後の時点としては、アップロード完了時が観念できるが、それでは既遂時とあまりにも近接するので不都合である。)
(4)陳列罪の実行行為の本質
陳列罪の実行着手から既遂時期をみると、実行行為の本質は、不特定又は多数の者が認識できない状態から、不特定又は多数の者が認識できる状態に置くことである。
「見えない状態」から「見える状態」にすることである。
これは児童ポルノ罪の保護法益(=被描写者の権利)からみても明かである。児童ポルノの被描写者は、すでにその姿態が「児童ポルノ」画像に納められているのであるが、それが動かない限り・拡散しない限り法益侵害はないから犯罪は成立しない。公然陳列行為によって、さらなる拡散があり、新たな法益侵害が生じるから、公然陳列罪として処罰されるのである。2 判例
わいせつ物陳列の裁判例によれば、陳列罪の実行行為の重要部分はアップロード行為だという。大阪地裁H11.2.23
大阪地方裁判所第二刑事部、平成10年(わ)第6382号 わいせつ図画公然陳列被告事件、平成11年2月23日判決(確定)*1
4 弁護人の主張(3)について、刑法1条1項にいう「日本国内において罪を犯した」場合とは、犯罪構成事実の全部が日本国内で実現した場合に限られず、その一部が日本国内で実現した場合も含むと解される。
本件においては、日本国内において、わいせつな画像のデータのアップロード行為、すなわち、わいせつ図画の設置行為について実行の着手があり、また、右画像を不特定多数人に閲覧させるための会員制度の設営行為も日本国内からなされ、現実に日本国内において不特定多数人が右データを再生閲覧しているのであるから、犯罪構成事実の重要部分が日本国内で実現しており、刑法1条1項に規定する国内犯に該当するということができる。大阪高裁H11.8.26も法益侵害状態の「作出」を要件としている。放置は含まない。
特に、「アクセスしてきた不特定多数の者に右データを送信して再生閲覧させたことをも認定、判示しているのは、それが既遂に達するための不可欠な要素であるとして判示したとみるべきではない」としていることは、閲覧不可能な状態から閲覧可能な状態にすることのみを陳列罪の実行行為ととらえていることが明らかである。
被告人の行為は、第三者によって作出された陳列の結果を、放置していたにすぎない。
同じく状態犯である窃盗犯に例えると、第三者による窃盗被害品を、情を知って支配した場合、独立の犯罪として「盗品等に関する罪」に問われる可能性はあっても、窃盗罪の正犯・共犯は成立しないのと同じ理屈である。大阪高裁H11.8.26
【事件番号】大阪高等裁判所判決/平成9年(う)第1052号
【判決日付】平成11年8月26日
【判示事項】パソコンネットの開設運営者が自己の管理するホストコンピューターのハードディスク内にわいせつ画像データ
を記憶・蔵置するなどした事案において、わいせつ物公然陳列罪の成立を認めた原判決の判断が維持された事例
【参照条文】刑法175
【参考文献】判例タイムズ1064号239頁
判例時報1692号148頁
さらに、所論は、原判決は、本件ハードディスクにつき電話回線を使用して閲覧可能な状況を設定したことに加え、わいせつ画像の情報にアクセスしてきた不特定多数の会員らに右データを送信して再生閲覧させ、了知させたことも公然陳列の実行行為の一部としてとらえているが、これは、従来、抽象的危険犯として理解されてきたわいせつ物公然陳列罪を、他者の行為が介在する一種の結果犯と構成するもので、同罪に異質な類型を持ち込む矛盾を犯すものである、という。
しかし、すでに説示したように、本件におけるわいせつ物公然陳列罪が既遂に達した時期は、被告人が、わいせつ画像データを記憶・蔵置させたハードディスクをホストコンピューターの管理機能に取り込み、会員による右データへのアクセスが可能な状態にした時点であると解すべきであり、原判決が、右のアクセス可能な状態に置いたことのみならず、アクセスしてきた不特定多数の者に右データを送信して再生閲覧させたことをも認定、判示しているのは、それが既遂に達するための不可欠な要素であるとして判示したとみるべきではなく、本件において被告人がわいせつ物を公然陳列したという犯行態様を、その犯情にかかわる結果部分を含め、具体的に認定、適示したに過ぎないとみるのが相当である。したがって、原判決の右認定が、同罪を所論のような結果犯と構成したものとは認められないから、所論はその前提を欠いており失当である所論は、要するに、被告人が、わいせつ画像データをコンピューターのハードディスク内に記憶・蔵置させて、ホストコンピューターの管理機能に組み込み、電話回線を使用して、パソコン通信の設備を有する者が閲覧可能な状況を設定し、これにアクセスしてきた者に、右データを再生閲覧させた方法は、刑法一七五条にいう「陳列」に該当しない、というのである。
しかし、わいせつ物を公然陳列したというためには、これを不特定又は多数の者が閲覧することができる状態に置くことをもって足りるところ、本件において、被告人は、わいせつ画像データをコンピューターのハードディスク内に記憶・蔵置させて、ホストコンピューターの管理機能に取り込み、会員が、電話回線を通じてパソコンにより被告人のホストコンピューターのハードディスクにアクセスしさえすれば、いつでも、容易に右ハードディスク内に記憶・蔵置されたわいせつ画像のデータをダウンロードすることなどにより、右データをわいせつ画像としてパソコンのディスプレイ上に顕現させ、閲覧することが可能な状態を作出し、もってわいせつ画像が社会内に広範に伝播することを可能にし、健全な性風俗が公然と侵害され得る状態を作出したものであるから、被告人が、本件ハードディスクを右のような状態に置き、ホストコンピューターにアクセスしてきた不特定多数の会員に、右データをダウンロードさせて再生閲覧させた所為が、わいせつ物の陳列に該当するとした原判決の認定・判断に誤りはない。なお、弁護人は、弁論で、本件においては、典型的なわいせつ物公然陳列罪の特徴として認められる陳列と観覧の「同地性」や情報伝達の「同時性」がみられないから、同罪は成立しないと主張するが、本件においては、被告人によって前記のとおり健全な性風俗が公然と侵害され得る状態が作出されている以上、陳列という要件は満たされているというべきであって、所論の「同地性」や「同時性」が、同罪成立のための必要不可欠な要件になるものと解することはできない。また、本件所為が陳列に該当するとして、わいせつ物公然陳列罪の成立を認めることが、弁護人が弁論で指摘するように事後法の禁止や法津主義の原則に反するなどといえないことは明らかである岡山地裁H9.12.15も同旨である。
岡山地裁H9.12.15
【事件番号】岡山地方裁判所判決/平成9年(わ)第220号*2
【判決日付】平成9年12月15日
【参照条文】刑法175
【参考文献】判例タイムズ972号280頁
判例時報1641号158頁
二 わいせつ図画の存在について
刑法一七五条に言う「公然の陳列」とは不特定又は多数の者が観覧しうる状態に置くことと解するべきである。3 本件の場合
本件公訴事実中、何が実行行為かが判然としないが、果たして、着手時期・既遂時期を抽出できるだろうか?
まず、画像掲示板の現象を観察してみると、次のような経過である。アップロード者の公然陳列罪については、アップロード開始時に着手、閲覧可能時に既遂が認められる。
ところで、アップロード者と連絡のない画像掲示板の管理人に何らかの作為義務が発生するとすれば、それは管理者を含む一般人が閲覧可能になった後である。
しかも故意責任を問うとすれば、管理人が当該画像を現実に認識した後である。
しかし、たとえば、「管理人が当該画像を現実に認識した時」ないしはそれ以後に作為義務が発生するとしても、「その物の内容が不特定又は多数の者が認識できる状態に置かれた状態」は、その作為義務発生の前後で全く変化がない。
管理者が当該画像を認識しようがしまいが、作為義務が発生しようとしまいが、作為義務違反が認められようがいまいが、全く変化がない。「公然と陳列した」とは,その物のわいせつな内容を不特定又は多数の者が認識できる状態に置くこと
という判例は「その物の内容を不特定又は多数の者が認識できない状態から、認識できる状況に置くこと」を意味するから、画像掲示板の管理者の不作為では、「その物の内容を不特定又は多数の者が認識できない状態から、認識できる状況に置くこと」は認められないから、陳列罪の実行行為は認められない。
公然陳列罪は状態犯である。既遂後に残る法益侵害状態は陳列罪で評価されており別罪を構成しない。既遂後の関与に共犯が成立する余地はない。
だとすると、本件は窃盗既遂犯人を既遂後に見つけながら止めなかったスーパーマーケットの店員や殺人既遂後に殺人犯人を見つけながら止めなかった警察官の責任と同じであって、窃盗正犯の責任を問うことは無理である。
5 表現の自由との関係
インターネット上に掲示板を設置することは表現の自由(憲法21条)によって保障される。
ところが、掲示板に違法となるおそれがある内容を掲載された場合に、被害者からの削除要求もないのに即時に削除義務を負わせるときは、管理者は四六時中監視するか、疑わしい場合には削除するか、掲示板の設置を断念するかという選択を迫られることになり、また、投稿者の投稿を差し控えるようになったら、インターネット上の表現行為が著しく萎縮する。
また、管理者が負う責任は、児童ポルノ陳列罪にとどまらず、わいせつ図画、名誉毀損罪、信用毀損罪にも広がる。素人にこれらの内容の削除を求め、適切に削除しなければ故意犯が成立するというのは、不可能を強いるものである。
これでは、ネット上の表現の自由が保障されているとはいえない。
従って、表現の自由の観点からも、掲示板管理者の不作為が刑事責任は極めて限定的に解さなければならない。さらに、画像掲示板への投稿の場合、投稿者を児童ポルノ公然陳列罪の正犯として処罰すれば、プロバイダーによる削除も期待できるから、立法目的は達成できる。掲示板管理者を処罰する必要はない。
大阪高裁H12.10.24は処罰の必要性から、本法の合目的性を導くが、それによれば、不作為による陳列は処罰の必要性がないから、立法目的を逸脱する。【文献種別】 判決/大阪高等裁判所(控訴審)
【判決年月日】 平成12年10月24日
【事件番号】 平成12年(う)第649号
(3)法7条2項における規制対象行為について
所論は,法7条2項は,児童ポルノの製造,所持,運搬についても処罰することとしているが,これらの行為を禁じても,児童虐待を防ぐという立法目的を達成することはできないから,これらの行為をも処罰する法7条2項は,表現の自由に対する過度に広範な規制というべきであり,憲法21条に違反する,という。
ところで,法7条2項は,同条1項所定の,児童ポルノの頒布,販売,業としての貸与又は公然陳列の目的による児童ポルノの製造,所持,運搬等の行為を処罰するものであるところ,上記各行為は,児童ポルノに描写された児童の心身に有害な影響を与え続けるのみならず,このような行為により児童ポルノが社会に広がるときには,児童を性欲の対象として捉える風潮を助長するとともに,身体的,精神的に未熟である児童一般の心身の成長にも重大な悪影響を与えることになり,前記児童ポルノ法の立法の趣旨,目的にもとることになるものである。したがって,同条1項所定の製造,所持,運搬等の行為を処罰する必要性は高いというべきであるから,法7条2項において,上記各行為を処罰の対象としていることが,表現の自由を過度に広範に規制するものとは言えない。6 まとめ
さらには、本来、不作為を含まないものとして規定されている条項に不作為を含めて処罰することは罪刑法定主義(憲法31条)に違反する。
その他の主張。目次だけですけど。
第11 事実誤認・法令適用の誤り 因果関係がない 158
第12 事実誤認 作為可能性がない。 159
第13 法令適用の誤り 法律上の削除義務がない 162
1 はじめに 162
2 学説 162
(1)堀内捷三教授(研修588号) 162
(2)園田寿・川口直也(「わいせつ画像のデータが記憶・蔵置されたパソコン…」関大法学論集48巻2号1998年 165
(3)前田雅英 インターネットとわいせつ犯罪 ジュリスト1997.6.1 no.1112. 166
(4)園田寿コンピュータ・ネットワークとわいせつ罪 ジュリスト増刊『変革期のメディア』'97 167
(5)永井善之サイバー・ポルノの刑事規制P298 168
3 警察庁の説明 176
(1)警察学論集52巻4号 176
(2)後藤啓二(警察庁) コンピュータネットワークにおけるポルノ問題・下 ジュリスト1145号P81 184
(3)後藤啓二(警察庁)「インターネット上の違法有害情報」ジュリスト1159号P122 185
4 民事裁判例 186
(1)東京高裁H14.12.25 186
(2) 東京地裁H11.9.24 186
(3)東京高裁H13.9.5 188
5 刑事裁判例 190
(1) 京都地裁H9及び大阪高裁H11の事例 190
(2) 公然猥褻被告事件 福岡高裁判決S27う933号他 193
(3) 永井の分析(永井善之サイバー・ポルノの刑事規制P319) 195
6 被告人の作為義務 196
(1) 196
(2)違法な先行行為がない。 197
(3) 削除可能性がない(ソフトの問題 通信環境の問題) 197
? 旧掲示板について 197
? 新掲示板について 199
(4)現実には画像の認識がないこと 201
(5) 保証者的地位がないこと 202
(6) 積極的管理行為がないこと 205
(7) 削除する努力 206
(8) まとめ 206
第14 法令適用の誤り(正犯とはなりえない) 208
1 はじめに 208
2 UL者の擬律 209
3 陳列罪継続犯説 210
4 まとめ 211
第15 事実誤認(画像の認識がない) 213
1 原判決 213
2 画像認識の重要性 213
(1)作為義務の発生根拠として 213
(2)故意の要素として 213
3 被告人の認識 214
4 まとめ 215
追記
神奈川県警・横浜地検は東京高裁H16.6.23(作為犯の正犯という構成)を研究して、それを下敷きに証拠集めようとしているので、捜査弁護のメモとしては、
横浜地裁h15.12.15(管理者正犯説)
東京高裁H16.6.23(管理者正犯説)
最高裁h19.3.29(管理者正犯説)
に出てくるような、管理者側の事情・主観的要素を取られないようにということですね。
まあ、事前承認型にしていないということは未必の故意も認められてしまうし、広告載せているので営利目的とか既発の違法画像を利用する意思もあるし、ということで、なかなか厳しいですね。
名古屋地裁H18.1.16や名古屋地裁h19.1.10なんかを参考にして幇助に落とす戦法もあるでしょう。
なお、名古屋高裁での争点は、正犯か幇助かという点になっています。