児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)と、監禁致傷が、地裁で併合審理された事例(熊本地裁h17.3.1)

熊本の少女売春強要:2被告、起訴事実認める−−熊本地裁初公判 /熊本
2005.02.02 地方版/熊本 19頁 (全382字) 
 熊本地裁(裁判官)で1日、少女に繰り返し売春させるなどしたとして、売春防止法児童福祉法違反などの罪に問われた、(34)▽(37)の2被告の初公判があり、両被告は起訴事実を認めた。
 冒頭陳述で検察側は、被告らが知人の紹介で知り合った家出中の無職少女(17)を自宅に住まわせ「約2週間で42人の客をとらせ84万円受け取り、少女にほとんど渡さなかった」と指摘した。
 起訴状によると、両被告は04年10月21日〜11月5日、携帯電話の出会い系サイトで少女の相手を募り、熊本市内のホテルなどで売春させた疑い。また、被告は同年11月5日、少女が客の1人と連絡を取っていたことを知り激高。自宅で少女に殴るけるの暴行を加えたうえ、手足を縛り約1時間にわたって監禁したとして、逮捕監禁致傷の罪にも問われている。
毎日新聞社

 報道でも地裁で児童福祉法違反(淫行させる行為・児童淫行罪)になっています。
 記者の聞き違いだと思ってたんですけど、こういう判決報道があって、

少女を管理売春 2人に有罪判決 熊本地裁=熊本
2005.03.02 西部朝刊 32頁 (全432字) 
家出中の少女に売春をさせるなどしたとして、売春防止法違反(管理売春)などの罪に問われた(34)と(37)両被告の判決公判が1日、熊本地裁で開かれた。裁判官は「極めて悪質な犯行で、少女に与えた心身への悪影響は計り知れない」として・・・
判決によると、両被告は共謀し、2004年10月下旬から11月上旬にかけ、少女(当時16歳)が18歳未満と知りながら、携帯電話の出会い系サイトで募った男性客らと繰り返し売春させた。
被告は家出中だった少女を自宅マンションに同居させ、被告に少女を監視させるなどした。また被告は同11月5日夜から6日未明にかけ、逃げ出そうとした少女の顔や体を殴るなどしたうえ、手足を縛って約1時間監禁、手やひざに擦り傷を負わせた。
読売新聞社

判決書の事件番号は
   熊本地方裁判所平成16年わ第○○号児童福祉法違反
です。
 奥村の見間違いだったらいいんですけどね。監禁致傷と、淫行させる行為は、絶対一罪にはならない。
 踏んだり蹴ったりして逮捕監禁しつつ、遊客と淫行させることはできないじゃん。

少年法
第37条(公訴の提起) 
次に掲げる成人の事件については、公訴は、家庭裁判所にこれを提起しなければならない。
一 未成年者喫煙禁止法(明治三十三年法律第三十三号)の罪
二 未成年者飲酒禁止法(大正十一年法律第二十号)の罪
三 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第五十六条又は第六十三条に関する第百十八条の罪、十八歳に満たない者についての第三十二条又は第六十一条、第六十二条若しくは第七十二条に関する第百十九条第一号の罪及び第五十七条から第五十九条まで又は第六十四条に関する第百二十条第一号の罪(これらの罪に関する第百二十一条の規定による事業主の罪を含む。)
四 児童福祉法第六十条及び第六十二条第五号の罪
五 学校教育法(昭和二十二年法律第二十六号)第九十条及び第九十一条の罪
2 前項に掲げる罪とその他の罪が刑法(明治四十年法律第四十五号)第五十四条第一項に規定する関係にある事件については、前項に掲げる罪の刑をもつて処断すべきときに限り、前項の規定を適用する。

これが許されるのであれば、家裁事件はなんでも、地裁事件に併合できますね。そういう使い方ができると思います。