有体物(CDROM DVD等)に化体した児童ポルノが国境を越える行為については、輸出入罪や関税法違反(輸入禁制品輸入罪)として厳しく規制されていますが、サーバーからダウンロードさせる、ファイル交換ソフトを用いる等という手口で児童ポルノデータが国境を越える行為については、特に規制されていません。
輸入罪だ輸出罪だといったって、薬物犯罪みたいに海上でやりとりされるとか聞きませんよね。児童ポルノは電波で飛ばせるからな。
「外国から送信罪」とか作れるけど作ってない。
第7条(児童ポルノ提供等)
児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
6 第四項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを外国に輸入し、又は外国から輸出した日本国民も、同項と同様とする。
ネット時代に理解に苦しみますね。
写真集でもビデオでも、データにして送れば輸出入罪の罰則を逃れられるようにしてある。
そこで、こんな主張を考えました。独自の見解。
国際間の有体物の移動の場合にのみ、提供行為の処罰に加えて、輸出入のみについて処罰するのは不合理であり、憲法14条及び21条に違反する。
CDROMやDVDという電磁的記録である児童ポルノの場合、電気通信の方法を用いれば、国境を越える場合でも(提供罪の他に)輸出入罪は成立しない。
現在、児童ポルノの拡散は、winny・winmxというファイル交換ソフトによって、有体物の媒体に乗せられずに行われるのが主流である。
少し古い裁判例になるが大阪高裁H15.9.18で扱われた「ダウンロード販売」の手口もある。http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/WebView2/27642C03FB01140B49256E6700180854/?OpenDocument
このような手口が国境を越えて使われた場合には、輸出入罪は成立しない。
道具としては、インターネットに接続されたPCだけがあればよく、発送や受領の手間(これらは発覚のリスクでもある)も不要である。その分、回数や量や地域的広がりの面において、有体物の場合と比較できないほどの児童ポルノを拡散することができるのである。
ところが、このように電気通信の方法による国境越えが主流であるにもかかわらず、児童ポルノ法は、有体物の場合には輸出入罪を別途設けているのに、データである場合には国境越えを処罰する特別の罰則を全く設けていない。法律上故意に野放しにしているのである。他方、同じ児童ポルノ画像データを有体物の媒体に記録して持ち込もうとすると、提供罪(販売)に輸出入罪や関税法違反罪が加わり、国内における提供罪よりも重く処罰されるのである。
有体物による児童ポルノの移動は、その有体性(重量・体積)によって限界があるにもかかわらず、その方が処罰が重くなるのである。これは、同じく児童ポルノを国境を越えて移動させる行為のうち、有体物による場合のみを処罰すること、しかもデータの場合よりも重く処罰する点で、不合理な差別である。
摘発されている国内の販売(提供罪)の事案についても、入手先はwinnyが多くて、winnyユーザーが交換しているのは事実上野放しで(おそらくそっちの方が圧倒的に多い)、焼いて売ったのだけ取り締まってもなんだかむなしいよな。
なにせwinnyユーザーは通路・水道管扱いだから、