児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

ネット掲示板に殺人予告 大阪府警、26歳男を逮捕

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20040908-00000246-kyodo-soci

 先日も相談を受けたんですが、刑法の伝統的視点からすれば、ネット掲示板上の情報流通型犯罪(脅迫・名誉毀損・信用毀損)は犯罪規模が大きいです。

 明治40年生まれの刑法(改正とか法定刑の見直しはあるわけですが、古いことは確か)ですから、悪口を言い触らすといっても、せいぜい「口伝え」で「村中」に、程度を予定してるからです。
 ネット以前に刑法を学んだ裁判官もそう見る。
 掲示板に書き込んでいる若い人は、ネットで発言するのを当たり前に考えているが、
法律の世界では、善にも悪にも、えらいことをやっていることになる。

 そのうち、この種犯罪の法定刑の上限を引きあげるという動きになると思います。

刑 法
(明治40年4月24日・法律第45号)
第230条(名誉毀損) 
公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

被告人が、確証もないのにAが放火したものと思いこみ、自宅で火事見舞に来たBらに、また、A方でAの妻ら数名に対して、「Aの放火をみた」旨を述べた結果、その噂が村中に相当広まったときは、公然と事実を摘示したものというべきである。(最判昭34・5・7刑集13-5-641)

第233条(信用毀損及び業務妨害) 
虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

虚偽の風説を告知されたのは、わずか三名でも、その者の口から順次多数の者に伝わるおそれがある場合は、流布にあたる。(大判昭12・3・17刑集16-365)

信用毀損罪には詳しい。判例違反を主張したら80年ぶりに判例変更された弁護人。
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/webview/3FDA5339A86D26BA49256CFA0006EDBB/?OpenDocument
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/WebView2/3FDA5339A86D26BA49256CFA0006EDBB/?OpenDocument
http://courtdomino2.courts.go.jp/schanrei.nsf/0/b7d7738c071deeaf49256d7200269e05?OpenDocument
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/tyosaku/avenue-sinnyo.htm
http://www.okumura-tanaka-law.com/www/okumura/tyosaku/avenue-sinnyo2.htm

 予断だが、大阪高裁第1刑事部H14.6.13は判例違反までして控訴棄却したわけで、法解釈に重みがない。その後、児童ポルノDL販売事件H15.9.18で原判決を破棄させて、借りを返した。
http://courtdomino2.courts.go.jp/kshanrei.nsf/WebView2/27642C03FB01140B49256E6700180854/?OpenDocument