児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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「携帯電話のメールで家出をそそのかし、少女の自宅周辺で車に乗車させて家出させた疑い。」という茨城県青少年健全育成条例違反(非行助長行為)の逮捕事例

茨城県青少年健全育成条例違反(非行助長行為)の逮捕事例
 児童ポルノ要求行為というのも「非行助長行為」で検挙できそうです。

(非行助長行為の禁止)
第38条
何人も,青少年に対し,有害行為,家出,傷害,脅迫,恐喝,詐欺,窃盗,強盗,器物損壊逮捕若しくは監禁を行うよう勧誘し,あおり,そそのかし,若しくは強要し,又はこれらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益若しくは便宜を供与してはならない。

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茨城県青少年の健全育成等に関する条例 の解説h21
【要旨】
本条は,青少年が非行や不良行為に及ぶことのないよう,青少年に有害行為等を行うよう勧誘するなどの非行助長行為を禁止する規定である。
【解説】
家庭や地域の教育カの低下や,大人の規範意識の低下が問題となっている状況下にあって,青少年が人から勧誘されるなどして非行や不良行為に及ぶ事例が後を絶たないことから,青少年を保護するため,青少年に非行や不良行為を勧誘,強要等したり,非行や不良行為を行わせるために金品等を供与してはならないことを規定するものである。
「何人」 - 県民はもとより,旅行者,滞在者も含め,成人であると,未成年者であるとを問わず,現に本県内にいるすべての人(法人を含む。)を指すものである。
「有害行為」第32条の有害行為のための場所提供等の禁止で、規定する行為をいう。具体的には, 「みだらな性行為」,「わいせつ行為」,「賭博」,「飲酒」, 「喫煙」,「暴行」,「入れ墨若しくはこれに類するものを施す行為」,「指定薬品類等の乱用」,「毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定する興奮,幻覚若しくは麻酔の作用を有する物の乱用」,「麻薬の使用」,「大麻の使用」,「覚せい剤の使用」,「催眠剤の使用」,「使用済みの下着の売渡し(青少年が使用した下着(青少年がこれに該当すると称した下着を含む。))」 をいう。
「家出」一地域や学校などが行う外泊の終期が決まっている行事への参加や,児童虐待の防止等に関する法律第2条各号に規定する児童虐待行為を回避する必要があるなどの正当な理由がなく,生活の本拠から離脱することをいう。
「傷害,脅迫,恐喝,詐欺,窃盗,強盗,器物損壊,逮捕若しくは監禁」ーそれぞれ,刑法に規定する「傷害」,「脅迫」,「恐喝」,「詐欺」,「窃盗」,「強盗」,「器物損壊」,「逮捕」,「監禁」をいう。
「勧誘」一青少年に対し,自己の欲するとおりのある種の行為を行うよう誘い勧めることをいい,手段,方法や青少年の意思の有無を問わない。また,勧誘された行為を実行することを要しない。例えば,青少年に対して,一緒に喫煙しようと誘う,みだらな性行為やわいせつ行為を行おうと家出を誘うなどが該当する。
「あおり」 一特定の行為を実行させる目的をもって,青少年に対し,その行為を実行する決意を生ぜしめ,又は既に生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいい, 「あおり」を受けた青少年が犯罪を実行することを要しない点が,刑法上の教唆犯及び常助犯と異なる。例えば,青少年に対して,喫煙をすると気分が良くなるなどと言い喫煙させる,家出をすれば自由が得られるなどと言い家出させるなどが該当する。
「そそのかし」一特定の行為を実行させる目的をもって,青少年に対し,その行為を実行する決意を新たに生じさせるに足りる慫慂(しようよう)行為をすることをいい, 「そそのかし」を受けた青少年が犯罪を実行することを要しない点が,刑法上の教唆犯と異なる。例えば,青少年に対して,この場所ならば喫煙しでも見つからないなどと言い喫煙させる,両親がいない隙に家出すればうまくいくなどと言い家出させるなどが該当する。
「強要」一物理的,心理的な圧迫を加えることによって,特定の行為を実行する意思がない青少年に対し,その意に反して当該行為の実行を求め,又は実行させようとすることをいい,生命,身体,財産等に害悪を加える旨を告知して脅迫し,又は暴行を用いることを要件としない点が,刑法上の強要と異なる。例えば,青少年に対して,喫煙や家出をしないと仲間はずれにするなどと言い喫煙や家出をさせるなどが該当する。
「金品その他の財産上の利益」一人の需要又は欲望を満足させるべき利益のうち,金銭,有価証券,物品等の有形的利益のほか,債権の譲渡,債務の免除など金銭をもって換算し得る無形的利益をいう。
「便宜の供与」 一人の社会生活上の地位に基づいて行う一切の役務の供与をいい,例えば,就職先,住居等の斡旋,提供や,非行の用に供する物品の提供等が該当する。なお,これらの提供にあたって報酬の有無は問わない。
【罰則】
青少年に対し,有害行為等を行うよう勧誘等し,又はこれらの行為を行わせる目的をもって金品等を供与した者は, 1年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処せ.られる。

(有害行為のための場所提供等の禁止)
32条 何人も,みだらな性行為,わいせつ行為,賭と博,飲酒,喫煙,暴行,入れ墨若しくはこれに類するもの(第36条において「入れ墨等」という。)を施す行為,指定薬品類等若しくは毒物及び劇物取締法施行令(昭和30年政令第261号)第32条の2に規定する興奮,幻覚若しくは麻酔の作用を有する物の乱用,麻薬,大麻覚醒剤若しくは催眠剤の使用又は使用済みの下着(青少年が使用した下着(青少年がこれに該当すると称した下着を含む。)をいう。第37条において同じ。)の売渡し(以下この条及び第38条において「有害行為」と総称する。)が,青少年に対してなされ,又は青少年が有害行為を行うことを知って,場所を提供し,又はその周旋をしてはならない。
(令2条例40・一部改正)

2022.04.28 茨城新聞
 取手署は26日、県青少年健全育成条例違反(非行助長行為)の疑いで、容疑者を逮捕した。逮捕容疑は1月2日午後9時10分ごろ、県内在住で当時中学3年の少女(15)が18歳未満と知りながら、携帯電話のメールで家出をそそのかし、翌3日ごろ、少女の自宅周辺で車に乗車させて家出させた疑い。同署によると、容疑を否認している。同日に少女の父親が行方不明届を出していた。4月26日、容疑者が自宅とは別に契約している東京都のアパートで、同署員が少女を発見、保護した。