児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

家出娘を泊めた行為を、非行助長行為(岡山県青少年健全育成条例)として起訴した事例

 家出娘を泊めるのは普通は深夜同伴で処理しますよね。
 岡山県警児童ポルノ要求行為も助長行為に含まれるという解釈で、万能です。
 抱きつきは普通は暴行と評価されているので、わいせつの定義も確認した方がよさそうです。

https://news.yahoo.co.jp/articles/6d02d6727be74ea8e9c71bca51aa3e101ebe3efb?source=sns&dv=pc&mid=other&date=20230803&ctg=loc&bt=tw_up
起訴状などによると7月3~4日、少女=県南部=が18歳未満で家出中と知りながら駐在所に泊め、4日には性欲を満たす目的で布団の上に座っていた少女に背後から抱き付いたとされる。

https://news.ksb.co.jp/article/14972124
 起訴状などによりますと、被告は7月3日、倉敷市の公園にいた家出中の10代の少女を駐在所に翌日まで宿泊させて家出を手助けした上、布団の上に座っている少女の背後から抱きついて全身を密着させるなどのわいせつな行為をした罪に問われています。
被告は7月13日、岡山県青少年健全育成条例違反と強制わいせつの疑いで逮捕され、強制わいせつの容疑については否認していました。条例違反だけでの起訴となった理由について、岡山地検は「強制わいせつの構成要件である『暴行』または『脅迫』が証拠上認められなかったため」としています。

岡山県青少年健全育成条例の解説r03
(非行助長行為の禁止)
第19条
1何人も、青少年に対し、暴行、傷害、恐喝、窃盗、違法運転、淫行、わいせつ行為若しくは有害薬品類等の不健全使用(次項において「著しい非行」という。)若しくは家出を行うよう勧誘し、あおり、そそのかし、若しくは強制し、又はこれらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益又は職務を供与してはならない。
2何人も、青少年を構成員の全部又は一部として著しい非行を行う集団を結成し、指導し、若しくは援助し、又は青少年に対し、著しい非行を行う集団へ加入するよう勧誘し、若しくは強制してはならない。
[解説]
1 本条は、財産上の利益の提供等による非行助長行為の禁止及び非行集団の結成、指導、加入勧誘等の禁止等について定めたものである。
2第1項の規定は、青少年に著しい非行を行うよう勧誘し、あおり、そそのかし、強制し、又は青少年に著しい非行を行わせるため、財産上の利益等を供与することを禁止するものである。
3 「暴行」とは、刑法第208条の暴行を、「傷害」とは、刑法第204条の傷害を、「恐喝」とは、刑法第249条の恐喝を、「窃盗」とは、刑法第235条の窃盗をいう。
4 「違法運転」とは、道路交通法昭和35年法律第105号)、道路運送車両法(昭和26年法律第185号)等の法令に違反して自動車、原動機付自転車等を運転することをいう。淫行及びわいせつ行為については、次条の解説を参照のこと。
5 「有害薬品類等の不健全使用」とは、条例第2条第12号に定める有害薬品類等を本来の使用目的である治療、予防、又は溶剤、接着剤、塗料、充てん料としての用途に反してみだりに摂取し、又は吸入することをいう。第16条においては、第2条第12号の有害薬品類等のうち知事が別に定めるものとして、「トルエン並びに酢酸エチル、トルエン又はメタノールを含有するシンナー(塗料の粘度を減少させるために使用される有機溶剤をいう。)、接着剤、塗料及び閉そく用又はシーリング用の充てん料」を対象としているが、本条ではこれらに限定されず、広く睡眠薬覚せい剤、麻薬、解熱剤、鎮痛剤、有機溶剤等で催眠、めいてい、興奮、幻覚、麻酔等の作用を有するものの使用はすべて該当する。(第21条、第30条において同じ。)
6 「家出」とは、保護者の同意を得ないで、あるいは、保護者の監督から免れる目的で、帰宅する意思がなく保護者のもとを離れている状態をいう。
7 「勧誘」とは、他人に対し、自己の欲するとおりにある行為をするよう勧めることをいう。
8 「あおり」とは、特定の行為を実行させる目的をもって文書若しくは図書又は言動等により、人に対し、その行為を実行する決意を生ぜしめ又はすでに生じている決意を助長させるような勢いのある刺激を与えることをいう。
9 「そそのかし」とは、他人をしてある行為を実行させる目的をもって、同人等にその実行の決しょうよう意を新たに生ぜしめるに足る懲憩行為(傍らから誘い勧めること)を行うことをいい、その懲撤行為が客観的に相手方に実行の決意を生じさせることができ、相手方が実行行為に及ぶ危険性がある限り、実際に相手方が新たに実行の決意を生じたかどうか、すでに生じている決意を助長させたかどうかは問わない。(刑法第61条の教唆と同義であるが、単にそそのかすだけで足り、そそのかした結果が現実に犯罪等の成立をみなくても該当する点が刑法と異なる。)
10 「強制」とは、物理的、心理的な圧迫を加えることによって実行の意思なき者に対してその意に反して実行を求め、又は実行せしめようとすることをいう。
11 「金品その他の財産上の利益」とは、人の需要又は欲望を満足させるべき利益のうち金銭をもって換算しうるものをいい、通貨、有価証券、物品等の有形物に限らず、債権譲渡、債務の免除等無形物も含まれる。
「職務」とは、人が社会生活上の地位に基づいて行う役務(サービス)のことをいい、その提供にあたって報酬の有無は問わない。
「これらの行為を行わせる目的をもって金品その他の財産上の利益又は職務を供与し」とは、著しい非行又は家出を行わせ、助長し、又はそれらに利便を与えるために金銭、仕事、役務、宿舎等を提供する場合がこれに当たる。