児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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迷惑防止条例と国法の罪の関係~群馬県公衆に迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例解説s38

 古本屋にて
 国法と重ならないように解釈するようです。

s38群馬県公衆に迷惑をかける暴力的不良行為等の防止に関する条例解説
第2条例の性格
この条例は、地方自治法第2条に定める地方公共団体の固有事務である住民および滞在者の安全を保持すること(同条第3項第1号) 、風俗のじゅん化に関する事項(同条第3項第7号)および犯罪の防止に関すること(同条第3項第8号)を執行するために制定されたものであって、その行政目的を実現するため、各条において住民一般に一定の義務を課し、その義務違反者に対しては、一定の刑罰を科することによって実効性を確保している。すなわち、この条例は、単なる刑罰法令ではなく、また国の委任事務を執行するための条例でもなくて、地方公共団体が固有する立法権に基づいて制定した固有の行政事務条例である。
次に、この条例は、その制定の目的趣旨において述べたように、現行法令の不備を補完するものとして立案されたものであるため、必然的に既存法令と密接な関連を有する。たとえば、粗暴行為、不当な金品の要求行為等については、刑法や軽犯罪法を主に適用し、景品買行為については、風俗営業等取締法、同施行条例、たばこ専売法、道路交通法等を適用していたものである。
その他この条例の各条項と関連を有するものとしては、刑法のわいせつ罪、暴行罪、脅迫罪、強要罪、詐欺罪、恐喝罪、器物毅棄罪等があるほか、売春防止法、船舶安全法等の特別法があるが、この条例は、そのいずれの条項をみても、既存法令の先占にふれるところはない。しかしこの条例は、既存法令の不備を補完するものであるため、既存法令とは、観念的競合、法条競合、牽連犯、併合罪等複雑な罪数関係を生じているのであるが、その詳細については後記の逐条の説明のとおりである。
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2捜査についての基本的な心構え
捜査手続きの具体的な要領については、後記第6によるが、この条例違反の捜査にあたっては、刑事訴訟法、犯罪捜査規範等の一般的原則にのっとって実施することはもちろんであるが、事犯の性質上、特に次の事項について留意する必要がある。
(1) 第1点は、関係法令との関連性を明確に認識しなければならないということである。
すなわち、この条例が、現行法令の不備欠陥を補なうために制定されたものであるため、規制の対象となっているものの多くは、前にもあげたとおり、刑法、軽犯罪法のほか、道路交通法物価統制令鉄道営業法風俗営業等取締法、同施行条例、船舶安全法等に規定する罪と、行為の形態、構成要件、保護法益等の点で密接な関連性をもっている。
そこで、この条例の特質をは握するためにも、また個々の罪の構成要件を理解するためにも、常にこれらの関係法令と比較対照して、関連性を明らかにし、いかなる程度に達し、いかなる要件を充足した場合に、刑法犯またはその他の特別法令の罪を構成するかについてよく検討し、その適用に誤りのないようにすること。
このことは、要するに、この条例は既存の法令とはその目的、趣旨において、あるいは手段方法において、または行為の主体や客体において重複をさけ、その先占を侵すことのないようにされているが、そのため、一行為数罪の関係を生じ、または手段もしくは結果たる関係を生じて、刑法第54条の適用をみるほか、あるいは法条競合となり、もしくは部分規定と包括規定としての包括一罪の関係を生ずる等、複雑な罪数関係を生じているものであり、したがって、捜査にあたっても単純一罪か否かによって、立証すべき内容を異にし、また実質的数罪の場合において、告訴、告発等の特別な訴訟条件をもつ犯罪の有無により、立件の方法を異にする等、罪数問題は現実の捜査活動に重要な関係をもつものである。
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第6 捜査書類作成上の留意事項
1 一般的留意事項
(1) この条例は、現行法令の不備または欠陥を補うために制定されたものであるため、その規制の対象となっている行為のほとんどは刑法、軽犯罪法物価統制令または鉄道営業法等の既存法令と競合する場合が多い。
したがって、このような場合には、この条例のほか競合する法令の構成要件を充足するような捜査を行なって送致するよう配意すること。