児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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オウム事件の裁判記録 無期限保存へ 今後の調査研究のため

 刑事確定訴訟記録法9条の刑事参考記録として保管されるようです。
 

刑事確定訴訟記録法
第九条(刑事参考記録の保存及び閲覧)
1 法務大臣は、保管記録又は再審保存記録について、刑事法制及びその運用並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料であると思料するときは、その保管期間又は保存期間の満了後、これを刑事参考記録として保存するものとする。
2法務大臣は、学術研究のため必要があると認める場合その他法務省令で定める場合には、申出により、刑事参考記録を閲覧させることができる。この場合においては、第四条第四項及び第六条の規定を準用する。
3刑事参考記録について再審の手続のため保存の必要があると認められる場合におけるその保存及び閲覧については、再審保存記録の保存及び閲覧の例による。
4法務大臣は、法務省令で定めるところにより、第一項又は第二項の規定に基づく権限を所部の職員に委任することができる。


刑事確定訴訟記録法施行規則
第十四条 法第九条第二項の法務省令で定める場合は、次に掲げる場合とする。
一 民事上又は行政上の争訟に関して刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
二 刑事上の手続に関して刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
三 その他特に刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
(権限の委任)
第十五条 法第九条第四項の規定に基づき、刑事参考記録の保存及び閲覧に関する法務大臣の権限(刑事参考記録として保存する旨の決定に関する権限を除く。)は、刑事参考記録に係る被告事件について第一審の裁判をした裁判所に対応する検察庁の長(区検察庁にあつては、その所在地を管轄する地方裁判所に対応する検察庁の検事正。以下同じ。)に委任する。
(刑事参考記録の閲覧の申出等)
第十六条 法第九条第二項の刑事参考記録の閲覧の申出をしようとする者は、刑事参考記録閲覧申出書(様式第六号)を前条に規定する検察庁の長に提出しなければならない。
2 第十二条の規定は、刑事参考記録の閲覧について準用する。この場合において、同条中「保管検察官」とあるのは、「検察庁の長」と読み替えるものとする。

注釈 刑事確定訴訟記録法 押切謙徳 外著 
解釈
第一項
本項は、刑事参考記録としての保存の要件について定めるものである。
刑事参考記録は、刑事法制及びその運用に関する調査研究の重要な参考資料並びに犯罪に関する調査研究の重要な参考資料としての件質を有する記録であるがハ注一二〉、ここにいう「刑事法制」とは、刑事に関する法律制度の意であって、手続法に関するもののみならず、実体法に関するものも含む概念である。
刑事参考記録の保存の円的は、法務省の所掌事務である司法制度に関する法令案の作成(法務省設置法第三条第四号)、内外の法令並びに司法制度及び法務に関する資料の調査、収集、整備及び編纂(同条第五号)、犯罪捜査の科学的研究(同条第二二号)、刑事に関する法令案の作成、犯罪の予防(同条第一五号)、犯罪者及びその改善更生に関する科学的研究(同条第二四号〉、刑事政策に関する総合的な調査研究(同条第三五号)等に資することに「犯罪に関する調査研究の重要な参考資料」としての刑事参考記録の範囲は、その目的から、自ずから限あり、定されることとなろう。
刑事参考記録は、刑事法制等の重要な参考資料となるものであるので、通常の場合は、記録の全部についてこれを保存することとなろうが一部についてのみ、例えば判決書だけを刑事参考記録として保存することもあり得るところである。
刑事参考記録としての保存期間については本法の定めるところではないが、その性質上半永久的に保存されることとなるものが多かろうと思われる。

第二項
本項は、刑事参考記録の閲覧に関する規定である。
法務大臣は、学術研究のため必要があると認める場合及び法務省令で定める場合には、閲賢しようとする者の申出により、刑事参考記録を閲覧させることができることとされている。
本条に基づき、刑事確定訴訟記録法施行規則第一四条は、民事上又は行政上の争訟に関して刑事参考記録を閲監する必要があると認める場合を列挙している
刑事上の手続に関して刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
その他特に刑事参考記録を閲覧する必要があると認める場合
刑事参考記録を閲覧させる場合については、謄本閲覧に関する第四条第四項の規定と閲覧者の義務に関する第六条の規定が準用される。第七条の規定の準用はなく、閲覧手数料の納付を要しない。
刑事参考記録の問覧の申出に対する法務大臣の措置に対しては、本法による不服申立てはできない(第八条参照)。また刑事参考記録の閲覧は権利又は法律上保護された利益として認められているわけではないので、行政不服審査法による不服申立て行政事件訴訟法による不服申立てもできない(注四

https://www3.nhk.or.jp/news/html/20180803/k10011561951000.html
オウム事件の裁判記録 無期限保存へ 今後の調査研究のため
2018年8月3日 13時50分

先月オウム真理教の一連の事件で13人の死刑囚全員に死刑を執行したことに関連し、法務省は、通常は一定期間過ぎると廃棄する刑事裁判の記録を、オウム真理教が関わった事件の記録などについては、今後の調査や研究のため、期限を定めず保存することを決めました。

法務省によりますと、刑事裁判の記録は、判決の内容によって確定後3年から50年、判決文は最長で100年間、検察庁で保管すると定められていて、一定期間過ぎると廃棄してしまいます。

こうした中、法務省は、オウム真理教が関わった事件の刑事裁判の記録については、今後の調査や研究のため、期限を定めずに「刑事参考記録」として保存することを決めました。

また、先月オウム真理教の一連の事件で13人の死刑囚全員に死刑を執行したことに関連し、死刑執行に関する行政文書についても無期限で保存することを決めました。