弁護人も気付かないようですが被害児童は被告人に「淫行した」というので、被告人は被害児童に「淫行させた」ということになるのですが、強姦されているのを「淫行した」とは言わないですよ。
金沢地方裁判所
平成28年08月31日
上記の者に対する児童福祉法違反、暴行、準強姦被告事件について、当裁判所は、検察官宮下浩及び金谷梨紗並びに国選弁護人北村勇樹(主任)及び山本啓二各出席の上審理し、次のとおり判決する。
理由
(罪となるべき事実)
第5 (平成26年10月28日付け訴因変更及び罰条追加請求書による訴因変更後の平成26年4月4日付け起訴状記載の公訴事実)
被告人は、××の四女であるV4(平成j年k月l日生、当時17歳)に対し、同女が15歳の頃から性的虐待を繰り返すとともに、その面前で同女の姉等に対して暴行を加えるなどしていたこと等から、V4が被告人を恐れ抗拒不能の状態に陥っていることに乗じて、同女が18歳に満たない児童であることを知りながら、同女を姦淫しようと企て、平成26年2月10日午後2時10分頃、上記アパートAの405号室内において、同女を姦淫し、もって同女の抗拒不能に乗じて姦淫するとともに、18歳に満たない児童に淫行をさせる行為をした。(法令の適用)
被告人の判示第1の1ないし3の各所為はいずれも刑法208条に、判示第2、第3及び第4の1ないし4の各所為並びに第5の所為のうち準強姦の点はいずれも同法178条2項、177条前段に、判示第5の所為のうち児童に淫行させる行為をした点は児童福祉法60条1項、34条1項6号にそれぞれ該当するところ、判示第5の所為は1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから、刑法54条1項前段、10条により重い準強姦罪の刑で処断することとし、判示第1の1ないし3の各罪についていずれも所定刑中懲役刑を選択し、以上は同法45条前段の併合罪であるから、同法47条本文、10条により刑及び犯情の最も重い判示第5の罪の刑に法定の加重をした刑期の範囲内で被告人を懲役23年に処し、同法21条を適用して未決勾留日数中500日をその刑に算入することとし、訴訟費用は、刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。