児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

見学クラブで稼働していた児童のインタビュー

 「仁藤さんは「学校に知られ、退学になる子もいるのに、客が何も罰せられないのはおかしい」。警察が客の家族や職場に連絡するようになるのが理想という。」というのですが、遊客を処罰する規定はなく、感情的です。

「『このぐらいならいいか』と感覚がまひしていた」。改正条例の初適用で経営者の男(51)が逮捕された名古屋市の見学クラブ「スタジオEe」。約2カ月間、働いていた愛知県内の少女(17)は店での体験をこう振り返った。

 高校進学は経済的な理由であきらめたという。勤めていた飲食店を辞め、収入に困っていた今春、インターネットで「スタジオEe」の求人を見つけた。

 ホームページに載っていた業務内容は「制服を着て、しゃべったり、トランプをしたりしているのを見られるだけの仕事」。本当なのかメールで問い合わせ、同じように説明され「危険はなく、給料もいい」と応募を決めた。

 数日後、面接のため店を訪れ、案内された部屋に入ると、壁の一部がマジックミラーになっていた。「キャスト」と呼ばれる制服姿の5人の若い女性がくつろいでいた。ミラーの向こう側に客がいて部屋をのぞいているという。

 突然、電話が鳴った。すると、赤いひもの名札をつけた一人が立ち上がった。ミラーの前に進み、スカートをたくしあげたり、よつんばいになって下着を見せたりする「パフォーマンス」を始めた。青いひもの子は座ったままだった。

 「赤と青、どっちがいい? 赤のほうが稼げるよ」

 少女は「性風俗で働きたくない」と思っていた。しかし、ミラーに自分が映っているだけで、意外と抵抗感はなかった。「赤でお願いします」と答えていた。

 指名があれば、指名料の半分が給料に上乗せされる。「指名を競うため、過激になっていった」。初めは体育座りするだけだったが、下着の中に手を入れるようになった。飲食店では週6日働いて月収約10万円。スタジオEeでは週5日、ほとんど座っているだけで15万円を超えた。「楽して稼げるから、はまりかけた」

 改正条例施行を前に、県警の捜査員から7月以降は、違法行為になると知らされた。「親が悲しむことはしたくない」と店を辞め、別の仕事に就いた。

 スタッフから性行為を求められたキャストもいた。「『もっと稼げる』と言われて過激な仕事を紹介されていたらやっていたと思う。思い出すと怖さがこみあげてくる」(杉浦達朗)

■調査難航、地下化の懸念も

 愛知県警は改正条例が施行された7月1日、県内のJKビジネス店などを一斉に立ち入り調査した。「条例が新しくなったので確認に来ました」。名古屋市中村区椿町メイド喫茶には、開店と同時に捜査員が訪問。メイド服姿の女性従業員3人に身分証の提示を求め、メニューや料金システムを確認した。

 メイド喫茶も、18歳未満が水着や制服などで接客すれば「有害役務営業」となる。この店は全員18歳以上だったが、従業員名簿が備え付けられていなかったため、指導を受けた。

 2013年に店がオープンした当時は高校生も働いていたという。店にとって時給の安さも魅力だ。オーナーの男性(24)は「競争が厳しい世界。『若さ』をブランドにしたくなる気持ちもわかる」と話した。

 水着で接客するガールズ居酒屋にも調査に入ったが、違反はなかった。入り口にはビキニ姿でポーズをとる女性が写った看板があった。捜査員は「看板を堂々と出す店は、大丈夫だと自信を持っている。看板を出さないような店が怪しい」と指摘する。

 次に向かったのは店の看板が出ていない雑居ビルの店舗。中に入った捜査員はすぐに戻った。「閉まってました」。この店は、少女が客と個室で会話やゲームをする「コミュニケーションルーム」という業態。中村署などが条例改正前に家宅捜索していた。捜査員は「閉店したか、今日だけ閉めたのかは分からない」。

 この日は調査予定の半数が休みだった。捜査員は「条例をきっかけに地下に潜られると嫌だな」と漏らした。

 県警が7月1〜20日に、県内167店に調査に入ったが49店は休業・廃業していた。「有害役務営業」と判断されたのは57店で、従業員名簿の備え付けがなかったり、18歳未満の立ち入り禁止の看板掲示がなかったりしたとして、26店が行政指導を受けた。(山本恭介)

■客の取り締まり、求める声

 居場所のない少女を支援する女子高生サポートセンター「Colabo」代表の仁藤夢乃さん(25)は、条例改正について「大きな一歩だが、経営者らを罰するだけでなく、客の取り締まりも必要」と訴える。

 JKビジネス店で働く少女は補導され、家族などに連絡が入る。仁藤さんは「学校に知られ、退学になる子もいるのに、客が何も罰せられないのはおかしい」。警察が客の家族や職場に連絡するようになるのが理想という。

 仁藤さんらの調査では、JKビジネスで働いたことがある少女の3分の2は貧困や虐待などの問題を抱えていた。寮を完備したり、携帯電話の充電ができる休憩所を設けたりしている店もあり、家に居づらい少女を取り込んでいるという。

 JKビジネスのスカウトたちは、毎晩夜の街に立ち、SNSを使って少女たちを巧みに勧誘している。しかし、少女の多くは自分が支援を受ける必要があることに気づいていない。仁藤さんは「支援する側が積極的に外に出て、少女たちとつながるべきです」と話す。(小林直子)

 中日新聞でも児童のコメントがでています

JK店経営者ら再逮捕 愛知県警 児童買春の疑い
2015.09.02 中日新聞
 容疑者は名古屋市中区上前津のJK店「スタジオ」などを経営。逮捕容疑では、六月五日と同二十七日、同市昭和区内のホテルなどで当時十六歳の女子高校生ら二人が十八歳未満と知りながら、金を払う約束をしてみだらな行為をしたとされる。容疑者は六月二十三日、岐阜県羽島市内などの車中で、女子高校生=当時(16)=に、同様の行為をしたとされる。
 県警によると、一部の少女は容疑者のJK店で従業員だった。同容疑者は「間違いありません」、容疑者は「シロかクロかと言えばクロでしょ」といずれも容疑を認めている。
 県警は八月十二日、十八歳未満の少女を有害な仕事に勧誘したとして、七月に施行された改正県青少年保護育成条例を初適用して、容疑者を逮捕。同条例違反容疑については一日、処分保留となった。
 怖くて何も言えなかった
 少女 性犯罪と隣り合わせ
 経営者らが逮捕された名古屋市中区のJKビジネス店「スタジオ」。過激なサービスの説明を受けないまま、同店で働き始めた少女(17)が取材に応じた。客への「パフォーマンス」が次第にエスカレートし、性犯罪の危険と隣り合わせだった日々を振り返った。
 制服姿の少女らを、客がマジックミラー越しにのぞく「見学」などが行われていた同店。指名が入った少女は、パフォーマンスをする。「体操座りだけでいいよ」。少女は入店前、容疑者に言われていた。
 ところが、大部屋では他の少女らが競い合うように、短いスカートのまま脚を開いたり、四つんばいになったりしていた。「何もしないと指名が取れないんです」。気が付けば、自ら下着の中に手を入れていた。五分間で自分の取り分は五百円。金が必要だった。制服や水着姿での「撮影会」も。客と接触する撮影は断ったつもりだった。だが、ある時、指名されて言われるままに四つんばいになると、後ろから客の手が下着にかかった。周りには誰もいない。「怖くて、何も言えませんでした」
 少女は一家の暮らしが苦しく、高校進学を断念。同居の両親から自立しようと定職に就いたが、続かなかった。「つなぎ」のつもりで、友人に聞いたJKビジネスに足を踏み入れた。
 採用面接の際、容疑者から年齢確認のための身分証提示を強くは求められなかったという。後ろめたさはあっても月十五万円ほどの収入は魅力的だった。飲食店のアルバイトでは届かなかった金額を楽に稼げた。
 知り合いの少女は「容疑者からエン(援助交際)に誘われた」と話していたという。そんな店で働いていたことを、両親はまだ知らない。「言えませんよ。悲しむだろうから」
中日新聞社