児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

CG児童ポルノ論争 検察側「実在女児がモデル」 弁護側「創作物で芸術作品」

 重量級の弁護団
 期日間整理手続で争点を整理している最中なんだが、読売新聞によって争点が整理されている。

http://www.yomiuri.co.jp/it/20141105-OYT1T50033.html
コンピューターグラフィックス(CG)は児童ポルノにあたるのか−−。女児の裸のCGを製造・販売したとして児童買春・児童ポルノ禁止法違反(提供目的製造など)に問われた被告の弁護側が、東京地裁の公判で「CGは創作物で違法性はない」と無罪を主張し、検察側と対立している。1999年の禁止法施行以降、規制強化と表現の自由のはざまで揺れてきた児童ポルノの定義を巡り、判決まで激しい応酬が続きそうだ。
 ◆東京地裁で公判
 昨年7月に禁止法違反で逮捕、起訴されたのは、岐阜市に住むグラフィックデザイナーの高橋証(あかし)被告(53)。CGが児童ポルノとして摘発された初のケースだった。

 起訴状によると、被告は2008年〜13年、女児の裸の写真を素材にCGを製造したり、インターネット上で販売したりしたとしている。検察側は、被告は80年代に出版された女児の裸の写真集を参考にしたとして、「実在する女児の写真を基に精巧に作った児童ポルノにあたる」と主張している。

 一方、弁護側は、昨年12月に始まった公判で、被告は、様々な女性の画像や人体図を参考にしてCGを創作したと主張。「実在しない人物を描いた芸術作品であり、刑事罰の対象にはならない」と反論している。

 写真集のモデルについても、弁護側は「検察側は(規制対象となる)18歳未満との立証ができていない」と指摘。これに対し、検察側証人として出廷した小児科医は、モデルの体つきから、「18歳未満と判断できる」と証言した。
 公判は今年6月までに計4回開かれたが、その後は証拠開示などに関する非公開の協議が続いている。今後の公判では、弁護側はCGの作成過程を明らかにし、被告が創作したことを立証する方針といい、弁護人を務める山口貴士弁護士は「児童ポルノの定義が恣意(しい)的に拡大され、表現の自由が脅かされることは許されない」と話している。
 ◆禁止法 漫画・アニメは除外
 児童ポルノは過去にも規制が強化されてきたが、「表現の自由」への配慮から対象は限定されている。1999年に児童買春・児童ポルノ禁止法が施行されて以降、女児の裸を撮影した写真集などは市場から消え、2006年には国会図書館でも閲覧が禁止された。ただ、禁止法が児童を性的搾取や虐待から保護することを目的としているため、規制対象は実在の児童を描写したものに限られ、漫画やアニメは除外されている。

 愛好者の間では、写真に代わって精巧なCGが流通するようになり、法の「抜け穴」になりかねない状況が生じていた。警視庁が今回摘発に踏み切ったのは、モデルを特定できるほどCGが精巧だったためとみられ、ある検察幹部は「実在の児童をモデルに作成したと立証できれば、今後も摘発する」と話す。

 先進国の中には児童ポルノの規制がより厳しい国もある。外務省の調査では、米国やイタリアは、モデルが実在しなくても、写実的なCGであれば規制対象にしている。日本では今年6月に禁止法が改正され、新たに児童ポルノの個人的な所持が禁止されたが、当初の与党案が問題視していた漫画やアニメ、CGは、表現の自由への配慮から改正法に盛り込まれなかった。

 CG技術に詳しい映像ジャーナリストの大口孝之さん(55)は、「CGは実写と変わらないほどリアルな制作技術が確立しているのが現実。こうした技術は本来、文化や芸術の発展に使われるべきもので、CG作成者は捜査の介入を招かないよう、自覚が必要だ」と指摘している。
 図=裁判の主な争点
読売新聞社

http://woman.infoseek.co.jp/news/entertainment/otapol_39721
空想した少女のヌードを写実的に描いたCGが「児童ポルノ」にあたるか否かをめぐって争われている、CG児童ポルノ裁判。7月14日以来続けられている争点の整理がいまだまとまらず、年内に公判の再開は行われない見込みであることがわかった。
 この事件は、昨年7月に岐阜県在住の男性がCGで作成した少女のヌードを描いた作品が「児童ポルノ」にあたるとして、逮捕起訴されたもの。昨年12月の初公判以来、男性は一貫して無罪を主張し、争っている。
 争点の整理が難航しているのは、主に検察側の都合によるものだ。検察側は、男性が制作したCGが現実の少女を被写体としたヌード写真を素材として利用しているため、そのCGが児童ポルノにあたるとしている。したがって、検察側は逮捕容疑となった作品がどのような過程を経て制作されたものなのかを明らかにするよう求められているのだ。
 当初、検察側はあたかも男性が実際の少女ヌード写真をトレースしてCGを制作したようにとらえ、「もとの写真(注:検察側が素材に使ったとする「児童ポルノ」)とCG(Photoshopのデータ)とは明らかに似ている」と主張。もとの写真が児童ポルノであることを理由に、弁護側への証拠開示を拒否する姿勢すら見せていた。そうした経緯もあり、裁判官の判断によって非公開で整理を行ってから公判を再開するという形になったのであ
主任弁護士の山口貴士氏は語る。
「まだ、証拠開示でごちゃごちゃしている段階なので、公表するような内容になっていません。そのような状態なので、年内に公判が再開される予定はありません」
 予想を超えて長期化しているCG児童ポルノ裁判。今年7月の時点では、山口氏は「来年2月には判決が出るのではないか」との見方を示していたが、本件はさらに長期化することになりそうだ。
(取材・文/昼間 たかし)