児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強制わいせつ罪(176条後段)と3項製造罪は併合罪だという検察官の答弁書

 天下の高検が間違うなよ。
 広島高裁岡山支部判決・平成22年12月15日って、弁護人は奥村なんだが、3項製造罪と強要罪判例じゃなかったかしら。性的自由は強要罪の保護法益じゃありませんよ。

(2)検察官の意見
本件強制わいせつ行為と本件児童ポルノ製造行為が大部分において重なり合うのはそのとおりであるが,本件においては,強制わいせつの被害者が13歳未満であったことから,強制わいせつ罪の定型的な構成要件である暴行脅迫を必要としなかったという特段の事情が存在したからであり3 犯罪類型としては,強制わいせつ罪の実行行為と児童ポルノ三項製造罪の実行行為が通常伴う関係にあるとは言えず,行為者の動態は社会的見解上別個のものである。
また,両罪の保護法益は,強制わいせつ罪が被害者の人格的自由である性的自由であり,その手段として暴行・脅迫が行われる点では,身体的自由も含まれるのに対し,児童ポルノ製造罪は当該児童の人格権とともに,抽象的な児童の人格権とされていることに鑑みても,保護法益の一個性ないし同一性も認められないのであって,刑法45条前段の併合罪の関係にあるというべきである(広島高裁岡山支部判決・平成22年12月15日,高等裁判所刑事裁判速報集(平22)号182頁)。

高等裁判所刑事裁判速報集(平22)号182頁
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,強要被告事件
広島高等裁判所岡山支部平成22年12月15日判決
 控訴棄却
平成22年12月22日上告
判示事項
児童ポルノ製造罪と強要罪併合罪の関係にあるとして,両罪を観念的競合であるとした原判決に法令適用の誤りがあるとした事例