「当時10歳の女児に、18歳未満の児童であることを知りながら、2022年10月9日、女児に携帯電話で自身の裸体を動画撮影させ、その動画を送信させた」場合の罪名
最近では強制わいせつ罪(176条後段)と児童ポルノ姿態をとらせて製造罪(7条4項)にするのが一般的です。
参考判例
大阪高裁r040120(児童ポルノ製造とは観念的競合)
大阪高裁r030714(児童ポルノ製造とは観念的競合)
札幌高裁r050119(児童ポルノ製造とは観念的競合)
札幌高裁r060305(上告棄却)
https://news.yahoo.co.jp/articles/a614d1c5aa147a08f2863aa63e816dbb8ea934b4
児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反(児童ポルノ製造)容疑で逮捕されたのは、福岡市中央区舞鶴の自営業の男(37)です。
警察によりますと、男は、SNSで知り合った岡山県南部に住む当時10歳の女児に、18歳未満の児童であることを知りながら、2022年10月9日、女児に携帯電話で自身の裸体を動画撮影させ、その動画を送信させた疑いがもたれています。
警察は、男が児童ポルノ画像を製造し、売買しているという情報を入手して所要の捜査を行い、男の容疑を特定して逮捕したものです。
ところが、高裁岡山支部h22.12.15は、送信させる行為をわいせつ行為ではないとしています。
速報番号平成23年1号
児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反,強要被告事件
広島高等裁判所岡山支部平成22年12月15日判決控訴棄却
平成22年12月22日上告
〔控訴申立人〕弁護人
〔検察官〕見越正秋
〔第一審〕岡山地方裁判所
判示事項
児重ポルノ製造罪と強要罪は併合罪の関係にあるとして,両罪を観念的競合であるとした原判決に法令適用の誤りがあるとした事例
岡山支判の未掲載部分に、「送信させ受信し」はわいせつ行為に該当しないという判示があります。
広島高裁岡山支部H22.12.15
そして,強制わいせつ罪が個人の性的自由を保護法益とするのに対し,児童ポルノ法7条3項,1項,2条3項3号に該当する罪(以下「3項製造罪」という。)は,当該児童の人格権を第一次的な保護法益としつつ,抽象的な児童の人格権をも保護法益としており,両者が一致するものではない。しかも,原判示各事実は,前記のとおり,原判示第1及び第2の各事実については,各被害者に児童ポルノ法2条3項3号所定の姿態をとらせるに際し,脅迫又は暴行によった旨認定していないし,上記各事実と同旨の各公訴事実も同様に脅迫又は暴行によった旨訴因として掲げていない上,原判示各事実及びこれらと同旨の各公訴事実についても,それぞれ,各被害者をして撮影させた画像データを被告人の使用するパーソナルコンピューターに送信させてこれらを受信し,さらに,上記コンピューターに内蔵されたハードディスクに記録して蔵置した各行為を含んでいるところ,上記各行為はいずれも3項製造罪の実行行為(原判示第3の事実については強要罪の実行行為の一部でもある。)であって,強制わいせつ罪の構成要件該当事実には含まれない事実である