児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

刑法改正にまたがるわいせつ図画公然陳列罪とわいせつ電磁的記録記録媒体公然陳列罪

 包括一罪で新旧両罪にまたがります。
 刑法6条の関係では、現行法の方が罰金任意的併科になっているので、重くなっているのですが、「包括一罪には、その完成前に刑の変更があっても、これを分割することなく、その全体に対して新法を適用する。(大判昭6・11・26刑集10-634)」という古い判例があるので、営利性があれば罰金の併科も可能です。
 併合罪だから改正前の行為には罰金併科できないという主張もあり得ますが、普通の弁護士には怖くてできないでしょう。

第6条(刑の変更)
犯罪後の法律によって刑の変更があったときは、その軽いものによる。

現行法
第175条(わいせつ物頒布等)
わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2 有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

 さらに、法定刑が2年だと公訴時効が3年になりますが、公然陳列罪は継続犯なので、法益侵害の状態が継続する限り犯罪行為は終了しないとされています。仮に10年前の画像も含めて同一サイトを運営していると、時効にかからないことになります。知らないふりして公訴時効の主張をしてみれば、裁判所にも勉強になるでしょう。

刑事訴訟法
第253条〔時効期間の起算点〕
1時効は、犯罪行為が終つた時から進行する。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120724-00000045-mai-soci
インターネットの掲示板サイトにわいせつ画像を公開したとして、警視庁サイバー犯罪対策課は24日、容疑者(57)をわいせつ電磁的記録記録媒体陳列容疑などで逮捕したと発表した。
 逮捕容疑は10年4月〜今年1月、自ら運営していた掲示板サイト「NEO JJ」に携帯電話を使い、わいせつ画像を15回公開したとしている。「仕事のストレスでやった」と容疑を認めている。
 同課によると、容疑者は同小の学級担任と生活指導を担当。小中学校教諭と有識者による「全国生活指導研究協議会」の指名全国委員として講演や執筆活動も行っていた

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120724-00000061-jij-soci
 逮捕容疑は2010年4月〜今年1月、自分で開設したネット掲示板に携帯電話から計15回、わいせつな画像を投稿した疑い。 

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20120724-00000548-san-soci
同課によると、容疑者は10年ほど前に画像掲示板を立ち上げ、毎晩のように、「せいさん」のハンドルネームでわいせつな画像を投稿していた。掲示板は自分のホームページからリンクできるようになっており、誰もが自由に閲覧、画像と書き込みを投稿できる仕組みだった。昨年11月〜今年7月、9万件を超えるアクセスがあったとみられる。
 逮捕容疑は、平成22年4月〜今年1月、携帯電話から自分で管理する掲示板に、下半身を露出した女性の画像など15画像を投稿したとしている。
 容疑者は学校では生活指導担当をしていた上、教育者向けに生活指導の雑誌を発刊している「全国生活指導研究協議会」の指名全国委員だった。また、生活指導に関する著書も出版していた。
 同市教育委員会は「逮捕が事実であれば誠に遺憾。関係者に謝罪したい」と話している。

 教員の被疑者・被告人はしばしば担当しますが、普通の人ですね。