児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノと性犯罪/4 再犯防止の取り組み

 児童ポルノ・児童買春の実刑率が低いのは、法定刑が甘いから。それは立法者が被害を甘く見ていて、裁判所も条文からそう読み取っているから。
 裁判所は児童ポルノ罪でも「被害者の処罰感情」を重視して量刑しているのですが、児童ポルノの画面の児童は被害訴えてないし。法令適用でも被害者の個性を重視しないで包括一罪。裁判所の姿勢は石のように固い。
 マスコミはそっちの問題点を書かない。法律は難しいからか?常識で考えてもわかりそうだが。
 立法者も裁判所もそう考えているから、犯人にだけ加害の意識が生まれるわけがない。

http://mainichi.jp/select/jiken/news/20080606ddm041040044000c.html
児童ポルノ事件は実刑になることはあまりない。このため罪の意識が希薄で、再犯を繰り返して重大事件につながることも少なくない。

 奈良県の小1女児誘拐殺害事件(04年11月)を機に、法務省は性犯罪の再犯防止プログラムを作成し、06年度から全国18施設で実施している。最長8カ月をかけて思考や行動のゆがみを自覚し、自己制御を身につける。

 埼玉県川越市の川越少年刑務所。受刑者8人がテーブルを囲み、それぞれの事件を振り返る。児童ポルノを見るうちに強制わいせつ事件を起こした者や自分の犯行を撮影し販売していた者もいる。

 児童ポルノ製造と強制わいせつ罪・強姦罪(暴力的性犯罪)は犯人と行為としては一部重なるんですが、児童ポルノ製造罪って「暴力的性犯罪」じゃないので、性犯罪の再犯防止プログラムの対象ではありません。
 児童淫行罪も児童買春罪も児童ポルノ罪も性犯罪の再犯防止プログラムの対象ではありません。再犯防止の取り組みはありません。国の方針で対象外。
 奈良県の小1女児誘拐殺害事件をきっかけにしてとりあえず試行中。

 思いつきの架空の事例ですが、一連の連続性犯罪+児童ポルノ製造販売で「強姦で地裁で9年 児童淫行罪で家裁15年」になったような受刑者は、9年だけ性犯罪の再犯防止プログラムの対象。しかも形式的に適用すると、児童淫行罪の15年が執行終えてからの9年間。治療は早いほうがいいし、長くでも治るまでが理想的なんじゃないか?

刑訴法第474条〔刑の執行の順序〕
二以上の主刑の執行は、罰金及び科料を除いては、その重いものを先にする。但し、検察官は、重い刑の執行を停止して、他の刑の執行をさせることができる。