児童ポルノ・児童買春の年齢認識については、「認めれば罰金で釈放になる」という誘導でかなりのえん罪があると思います。弁護人が事実関係を調べていくと、結構、「年齢を知らなかった」という資料が出てくるものです。
奥村の経験では、児童ポルノ所持罪の自白事件で、「被告人全部有罪、弁護人一部無罪」という主張で「一部無罪」という判決を受けた経験があります。
他方、「自白事件ではそこまでこだわってやらなくていいよ」と判決に書かれたこともありますね。適当に手を抜けというわけです。
手を抜きすぎたときには被告人に致命的な不利益になって、手を抜かないときには裁判所から怒られることになりますが、奥村にはその手の抜き加減がよくわかりません。だから裁判所から怒られる方がましかなと思ってギリギリのところまでくどくどやってるわけです。
http://www.asahi.com/paper/editorial20080203.html?ref=any#syasetu2
冤罪を防ぐ―弁護士は頼りになるのか
やってもいない犯罪で逮捕されたとき、頼りになるのは弁護士だ。そうした信頼を揺るがす報告が出た。
強姦(ごうかん)と強姦未遂の容疑で富山県警に逮捕され、実刑判決を受けた男性の冤罪問題を日本弁護士連合会が調べた。
報告書は「捜査当局がうその自白を強要し、男性に有利な証拠を無視したことが原因だ」と結論づけている。
捜査側の問題点は、すでに最高検などの検証で明らかになっている。日弁連の調査で注目されたのは、弁護士は何をしていたのか、との疑問への答えだった。
逮捕された男性は、逮捕直後に弁護士会から派遣された当番弁護士と接見し、犯行を否認したが、その後、自白した。国費でつけられる国選弁護人は当番弁護士とは異なる弁護士が担当することが多いが、この事件では、たまたま同じ弁護士が国選弁護人になった。
ところが、この弁護士は自白に転じた理由を男性に尋ねなかった。「自白が正しく、否認がうそと考えた。否認した理由を詳しく聞くと、容疑者を追いつめることになると考えた」と日弁連に説明した。このとき詳しく問いただしていたら、男性が自白を強要されていたことに気づいたのではないか。
驚くのは、弁護士が男性に接見したのは、逮捕から公判までの半年間に4回、計1時間半ほどしかなかったことだ。
この事件では、男性にアリバイがあり、事件現場に残された靴跡のサイズも男性のものとは異なっていたにもかかわらず、裏付け捜査はほとんどされていなかった。弁護士が証拠などをきちんと調べていれば、ずさんな捜査を暴いて無罪判決を得ることもできたはずだが、そうした調査もしていなかった。
なぜなのか。報告書は「男性との意思疎通が不十分なまま、起訴事実を認めていると判断した」と分析している。しかし、その見方は甘い。どう見ても、手を抜いているとしか考えられない。
権力からの独立をうたう「弁護士自治」をいうからには、こうした弁護士はきちんと自ら処分すべきだろう。
この弁護士に限らず、容疑者が自白している事件では、手抜きが珍しくないのではないか。埋もれた冤罪はまだあるかもしれない。