強制わいせつ罪説というのは、奥村弁護士独自の見解です。高裁で5回位否定されています。
「強制わいせつ罪で逮捕」という報道を追いかけても、検事が弱きで、強要になったり起訴猶予になったりで、収集困難です。
東京 地裁 H18.3.24
大分 地裁 H23.5.11
東京 地裁 H27.12.15
高松 地裁 H28.6.2
横浜 地裁 H28.11.10
松山 地裁 西条 H29.1.16
高松 地裁 丸亀 H29.5.2
岡山 地裁 H29.7.25
札幌 地裁 H29.8.15
札幌 地裁 H30.3.8
東京 地裁 H31.1.31
長崎 地裁 R1.9.17
高松 地裁 丸亀 R2.9.18
熊本 地裁 R3.1.13
京都 地裁 R3.1.21
京都 地裁 R3.2.3 製造と強制わいせつ罪は観念的競合
公刊されている送信させる強制わいせつ罪の裁判例はこの2件
わいせつの定義は示せないのに、自慰行為させて撮影すると強制わいせつ罪かな。
長崎地方裁判所令和1年9月17日
(犯罪事実)
被告人は、A(当時16歳)から入手した同人の画像データ等を利用して強いてわいせつな行為をしようと考え、
平成30年10月26日午後10時6分頃から同月27日午前2時21分頃までの間に、D市内又はその周辺において、自己の携帯電話機及びタブレットから、同人が使用する携帯電話機に、アプリケーションソフト「E」の通話機能及びビデオ通話機能を利用して通信し、D市内にいた同人に対し、「写真を援助交際サイトに載せる。」「学校や家の近くに何人かの人が来る。」「連れていかれたことがある。」などと脅迫し、もしこの要求に応じなければAの自由や名誉等にいかなる危害を加えるかもしれない旨畏怖させ、その反抗を著しく困難にし、ビデオ通話機能を通じて、同人に胸や陰部を露出した姿態及び陰部を指で触るなどした姿態をとるよう指示し、同人にそれをさせた上、その姿態の映像を前記ビデオ通話機能を用いて被告人の携帯電話機に送信させ、
もって強いてわいせつな行為をした。
大分地判平成23年5月11日
強制わいせつ,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律違反被告事件
(罪となるべき事実)
被告人は,
第3 A子(当時14歳)に強いてわいせつな行為をしようと企て,
平成○年×月12日午後3時53分頃から同月14日午前6時40分頃までの間,55回にわたり,前記被告人方において,被告人の携帯電話機ないしゲームサイト「G」のメール機能を利用して,同女の携帯電話機及び「G」上の同女が閲覧できるメール受信箱に「送らんとマジでB中にいけんように画像ばらまくよ」「B中学生の全員に画像送るから」「マンコを指でひろげたやつを撮れ」「乳首つまんだやつ撮れ」「まだ終わりやないよ」「胸なめよんやつ撮れ」「メールせんならゲームオーバー」「今日中に送らなかったら明日から家の外でれないね」「マンコの中がみえるように指でつまんでひろげろ」などと記載した電子メールを送信し,その頃,同女方において,同女をして,その電子メールを閲覧させて脅迫し,
別表3記載のとおり,同月12日午後9時2分頃から同月14日午前6時50分頃までの間,21回にわたり,同女方において,同女をして乳房を露出させたり,陰部に指を挿入させるなどした姿態をとらせた上,その姿態を同女の携帯電話機で撮影させてその画像データを被告人の携帯電話機に電子メール添付ファイルとして送信させ,
もって強いてわいせつな行為をした
・・・
2 まず,本件で強制わいせつ罪が成立するかどうか検討する。
本件の事案は,被告人がメールにより送信した脅迫,指示の回数が55回と多く,被害者からこれに応えてメールに添付してわいせつな映像を送付した回数も21回と多い点で,弁護人が指摘する下級審裁判例の事案と異なっているようにも思われる。
すなわち,本件において,被害者が終わりにしようという趣旨のメールを被告人に送ってメールアドレスを変更した後,被告人は,ゲームサイトのメール機能を使って被害者を脅迫し,さらに,携帯電話機のメール機能を使って,「上脱いで撮れ」「パンツも脱いで撮れ」「下から撮れ」「マンコ指で開いてみせろ」「指で開けって」「開いて中がみえるやつな」「ちゃんと入れちょんのがわかるようにうつせ」「マンコを指でひろげたやつを撮れ」「指2本」「胸寄せて撮れ」「乳首つまんだやつ撮れ」「胸なめよんやつとれ」などと順次わいせつな内容の指示をしつつ,わいせつな内容の添付ファイルが届くと,これを確認しつつ,次の指示を出す形で,被告人の具体的な指示に従って被害者をしてわいせつな行為を次々とさせている。
そうすると,本件では,被告人のわいせつな内容の具体的指示に基づいて,被害者が継続的にわいせつな行為を強いられており,わいせつ性や被害者の性的自由が侵害された程度が大きいと認められる。よって,本件を強制わいせつ罪として起訴した点が不当とまではいえず,本件では,強要罪にとどまらず,強制わいせつ罪が成立するといえる。
強要罪構成はたくさんあって、最近ではこんなのがある
乳房陰部露出させて撮影させるくらいは、強要罪で、
指挿入とか自慰行為させるまでいくと強制わいせつ罪かなあ。
千葉地裁H31.2.22
(罪となるべき事実)
被告人は,
第1 ■■■(当時16歳)の性行為を撮影した動画を入手したと装って同人を脅迫し,被告人との性交等に応じさせようと考え,
2 同月5日午後4時10分頃から同日午後7時54分頃までの間,前記千葉市□□消防署△△出張所において,被告人の使用する携帯電話機から,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,前記■■が使用する携帯電話機に,「今日暇だから自撮りでも送ってよ」「むねとかね」「あーいいんだー」「まわっても」等のメッセージを送信し,いずれもその頃,前記■■において,前記■■にこれらを閲覧させ,同人の胸を撮影した画像の送信を要求し,その要求に応じなければ,同人の名誉に危害を加えかねない旨を告知して同人を脅迫し,同人を怖がらせ,よって,同日午後7時37分頃から同日午後7時59分頃までの間,3回にわたり,同人に,乳房を露出するなどした姿態をとらせ,これを同人の携帯電話機で撮影させた上,前記「ツイッター」のダイレクトメール機能を利用して,その画像データ3点を被告人の使用する携帯電話機に送信させ,もって前記■■に義務のないことを行わせた。"
・・
大阪地裁H30.6.26
第2(平成29年11月8日付け起訴状記載の公訴事実第1)
Bの裸体写真等を既に入手していたことを利用し,更に同人に乳房等の写真を撮影させ,その画像データを被告人宛てに送信させようと考え,別表1記載のとおり,平成29年4月12日から同年5月23日までの間,大阪市淀川区(以下略)当時の被告人方において,Bに対し,アプリケーションソフト「LINE」を利用して,被告人の携帯電話機からBの携帯電話機宛てに,「俺言う事聞かんカスはとことんまでやる主義なんで」「写真に住所と中学名とフルネームはってあるから」「家の周りにとかにもくばっとくわな」「俺は完全な奴隷以外いらんのよ」「今すぐ顔つきで裸おくれ」等と記載したメッセージを送信し,いずれもその頃,Bにこれらのメッセージを閲読させて脅迫し,同人をして,もしこの要求に応じなければ,同人の裸体等の画像データを不特定多数の者に頒布するなど,同人の名誉にいかなる危害を加えられるかもしれない旨畏怖させ,よって,別表2記載のとおり,同年4月30日午後7時44分頃から同年5月23日午後10時16分頃までの間,5回にわたり,同人に,前記「LINE」を利用して,同人の乳房等の画像データ5点を被告人の携帯電話機に送信させ,もって人に義務のないことを行わせ"