児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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青少年条例の「わいせつ」は当該行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度等を総合考慮し,社会通念に照らして判断される(某地裁R03)

 大法廷h29.11.29の影響で、青少年条例のわいせつの定義も失われました。
 「わいせつ」の説明に「わいせつ」が入っていて、循環してます。
 別件ですが、高松高裁R03.3.2も同様の判断をしています。

某地裁R03
(法令の適用に関する補足説明)
第1 青少年条例の明確性について
弁護人は,判示第事実に関し, 当裁判所が適用した青少年条例条号について, 同号がわいせつな行為を処罰するのは,強制わいせつ罪の補充的性格を有し, 同号における「わいせつ」の定義は刑法と同様であると理解したとしても,裁判例の状況等に照らすと,強制わいせつ罪における「わいせつ」の定義が不明確となっているから,同号は罪刑法定主義に反し,文面上無効である旨主張する。、
 そこで検討すると, 「わいせつ」な行為に当たるか否かは, 当該行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度等を総合考慮し,社会通念に照らして判断されるものであって, このように判断される「わいせつ」な行為の内容が不明確であるとはいえない。また,弁護人の指摘する裁判例の状況等を踏まえても, 「わいせつ」な行為の内容が不明確であるとはいえない。 したがって,上記弁護人の主張は,前提を欠き,採用することができない。

高橋判事は最判S60.10.23の判例解説で、「わいせつな行為」についても判決の影響があるとされているが、最判の事例は性行為の事案であるから、「わいせつ行為」についての解釈は変更されていない。再定義が必要である。

最高裁判所判例解説
刑事篇昭和60年度251頁
最高裁判所大法廷判決昭和57年(あ)第621号
福岡県青少年保護育成条例違反被告事件
昭和60年10月23日高橋省吾
五 本判決の影智等について
本判決は、まず、青少年の性という極めて今H的な問題に最高裁が真正面から取り組んだものとして注目されよう。次に、本判決は、近年肯少年保護育成条例違反の検挙件数が増加しているといわれる状況の下において、
淫行処罰規定の合憲性を肯認するとともに、「淫行」概念の具体化、明確化を図ったものであって、他に影響するところが大きいであろう。以下、本判決の影響として考えられる点につき記してみたい。
(二)
本条例と同様、淫行処罰規定は「荏行」又は「みだらな性行為」のほか、「わいせつの行為」を禁止しているが、「わいせつの行為」についても、本判決の多数意見の示した限定解釈が及ぶということになると思われる。

そこで、これをわいせつ行為に当てはめると

最大判S60.10.23
「「淫行」とは、広く青少年に対する性行為一般をいうものと解すべきでなく、
①青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行う性交又は性交類似行為のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないような性交又は性交類似行為をいうものと解するのが相当である。(最大判S60.10.23)

最大判S60.10.23
「わいせつ行為」とは、広く青少年に対する性的行為一般をいうものと解すべきでなく、①青少年を誘惑し、威迫し、欺罔し又は困惑させる等その心身の未成熟に乗じた不当な手段により行うわいせつ行為(わいせつ」な行為に当たるか否かは,当該行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度等を総合考慮し,社会通念に照らして判断される)のほか、
②青少年を単に自己の性的欲望を満足させるための対象として扱つているとしか認められないようなわいせつ行為(わいせつ」な行為に当たるか否かは,当該行為そのものが持つ性的性質の有無及び程度等を総合考慮し,社会通念に照らして判断される)をいうものと解するのが相当である。

ということになって、もはや、いかなる行為がわいせつなのかがわからない。

某高裁R03.3.2
第3法令適用の誤りの論旨について
1論旨は,
①本条例条1項の「わいせつ」の定義が明らかでなく,かつ,処罰の範囲が広汎に過ぎるため,同項は刑罰法令の明確性を欠いて,憲法31条に違反して無効であるのに,原判決が同項を適用している点,において,原判決には,それぞれ判決に影響を及ぼすことが明らかな法令適用の誤りがあるというのである。
2論旨①について
原判決は,論旨と同旨の原審弁護人の主張に対し,行為そのものが持つ性的性質から「猥せつ」に該当するか否かを判断することが可能であり,本件行為は「わいせつ」な行為に該当するとして,原審弁護人の主張を排斥した。原判決の説示は正当であり,当裁判所も是認することができる。
補足すると,「わいせつ」という言葉はある程度評価的な概念を含むものではあるものの,一般的な言葉として社会に通用しているものであるから,青少年の福祉を阻害するおそれのある行為を防止してその健全な保護育成を図るという本条例の目的を踏まえて一般的な社会通念に照らしてみれば,どのような行為がいかなる場合に違法なわいせつ行為に該当するのかを判断することができるというべきである。
そして,本件行為が本条例条1項の「わいせつの行為」に該当することは,一般的な社会通念に照らせば明らかであるといえる。
そうすると,本条例条1項が不明確かつ処罰の範囲が広過ぎて憲法31条に違反するとはいえず,原判決が本件行為に本条例条1項を適用したことに誤りはなく,理由の不備もない。