児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

26年前に中学教師から受けた「性被害」、訴えた教え子が敗訴 「時間の壁」越えられず(札幌地裁R01.08.23)

 判決書は札幌市への情報公開請求で入手可能です。
 

札幌地裁R01.08.23
その他,本件において,原告が除斥期間の経過前に本訴請求に係る損害賠償請求権を行使することが現実的に困難であるなどの特段の事情があるとは認められないから,加害行為の時が除斥期間の起算点となると解することが原告にとって著しく酷であるとも言えない
(3) したがって,原告らの主張に,係る被告教諭から原告の受けた性被害は「加害行為が行われた時に損害が発生する不法行為の場合」に該当し,原告らの主位的請求及び予備的請求に係る損害賠償請求権は,~ これが仮に成立するとしても,その除斥期間の起算点は被告教諭による最終の加害行為があったという平成9年7月頃となり、本訴が提起される前に20年の除斥期間(民法724条後段)が経過したことにより消滅したこととなる(仮に被告らの主張を前提としても,被告教諭による最終の加害行為があったのは平成10年秋頃となるにすぎず,原告らの主位的請求及び予備的請求に係る損害賠償請求権が本訴提起前の20年の除斥期間の経過により消滅したことに変わりはない。)
3以上と異なる原告らの主張は,上記1で認定し,上記2で判示したところに照らして採用することができない。
第4結論
よって 原告らの主位的請求及び予備的請求は, その余の点(争点(1)被告教諭の不法行為責任、被告市の国家賠償責任、争点(2)原告の被った損害及びその額,争点(3)消滅時効)について判断するまでもなく、いずれも理由がないから, これを棄却することとして,主文のとおり判決する。

民法 第七二四条
不法行為による損害賠償請求権の期間の制限)
第七二四条 不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から三年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から二十年を経過したときも、同様とする。

https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190823-00010045-bengocom-soci
訴状などによると、さんは1993年3月、中学卒業式の前日に教師から呼び出され、キスされるなどわいせつな行為をされたという。わいせつな行為は19歳になるまで繰り返され、さんは2016年2月にPTSDを発症したと訴えていた。

争点となったのは、20年間を経過すると賠償請求の権利が消滅してしまう「除斥期間」を過ぎているかどうかだった。さん側はPTSDと診断された2016年を起算点としたが、裁判所はこれを認めず、除斥期間は過ぎていると判断した。さんは控訴する意向を示している。