児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

強姦罪の既遂時期につき,陰茎の先端部が数ミリメートル程度陰部に食い込むような状態となっただけでは,未だ姦淫の既遂には至っていないとされた事例(仙台高裁H28.5.24)

 姦淫・性交を要件とする他の罪にも応用できそうです。

要旨
強姦罪における姦淫は,交接作用すなわち陰茎の没入によって既遂に達するとされている(大審院大正2年11月19日判決参照) ところ, その字義に照らせば,単に陰茎の先端部を女性の陰部の入口に押し付けたというだけでは既遂に達したとはいえず, これを超えて陰茎の少なくとも一部が女性の陰部に没する必要があることは明らかである。そして,陰茎の先端部が凸型の曲面状で女性の陰部が凹型であるという形状や,いずれも弾力を有するという性質からすれば,陰茎を女性の陰部の入ロに押し付けるだけでも先端部が数ミリメートル程度陰部に食い込むような状態とはなり得るが, これは陰茎を押し付ける行為に必然的に伴うものであって,かかる状態をもって陰茎が没入したとは評価し難いから, このような状態では未だ姦淫の既遂には至っていないものと解すべきである。