復讐目的とかでわいせつっぽい行為をした場合、
強制わいせつ罪から攻めると、非傾向犯(性的意図不要)だといい、
強要罪から攻めると、傾向犯(性的意図必要)だというのです。
東京高裁h26.2.13は要らんこと書いた感じですね。
東京高裁h26.2.13
なお,本罪の基本犯である強制わいせつ罪の保護法益は被害者の性的自由であると解されるところ.同罪はこれを侵害する行為を処罰するものであり,客観的に被害者の性的自由を侵害する行為がなされ,行為者がその旨認識していれば,同罪の成立に欠けることはないというべきである。本件において,被告人の行為が被害者の性的自由を侵害するものであることは明らかであり被告人もその旨認識していたことも明らかであるから,強制わいせつ致傷罪が成立することは明白である。被告人の意図がいかなるものであれ本件犯行によって被害者の性的自由が侵害されたことに変わりはないのであり犯人の性欲を刺激興奮させまたは満足させるという性的意図の有無は上記のような法益侵害とは関係を有しないというべきである。そのような観点からしても,所論は失当である。
検察官答弁書
なお,控訴趣意書18頁記載の東京高判平成26年2月13日東京高刑裁速報35 1 9号は,確かに,なお書きとして,強制わいせつ罪の成立に性的意図は不要であるかのような説示をしている。しかし,当該事件は,まさに同事件の被告人が犯行当時性的意図を有していたか否かが争点であり,同事件の第一審判決は,同事件が性的意図を欠いた報復目的で行われたとする同事件の第一審弁護人の主張を排斥し,同事件の被告人に性的意図と共に報復目的が併存していたことを認定しているところ,控訴審たる東京高等裁判所判決も,同事件が報復目的のみで行われたとする同事件の控訴審弁護人の主張を排斥して,第一審の判断を支持し,同事件の被告人に性的意図と共に報復目的が併存していたことを明確に認定した上,更に,なお書きで,上記の説示をし,弁護人の控訴を棄却したのである。そこで,上告審弁護人は,上告趣意として,同東京高判が最判昭和45年1月29日刑集24巻1号1頁に反していると主張したが,最高裁判所第二小法廷は,当該判例違反の論旨は原判決に影響のないことが明らかな事項に関する判例違反の主張であって刑訴法第405条の上告理由に当たらない旨判示して,決定で上告を棄却し,同事件の被告人からの異議申立てをも決定で棄却したのである。よって,上記東京高判の存在にもかかわらず,最判昭和45年1月29日刑集24巻1号1頁は,判例として変更されてはいないことになる。