児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

青少年保護育成条例についての関係省庁の見解(福岡県青少年保護育成条例の解説H04)

青少年保護育成条例についての関係省庁の見解
この資料は、福岡県において、昭和31年6月26日制定をみた背少年保護育成条例案の審議にあたり、従来とかく論議の対象とせられていた規制事項等同条例案の内容につき、法務省、自治庁、法制局等関係省庁らか聴取した見解を取りまとめられたものである。



1 条例全般に関する意見
保護育成条例を設けることの可否につき所見を問う。

法務省
l 中央青少年問題協議会の意見は次のとおりである。
(イ) 専門委員会の意見
社会悪からの青少年の保護を法律をもって直ちに規制することは、現在の法制度や社会情勢からして相当問題が多いので、当分の間関係者や一般国民の自粛を侠つのが賢明である。ー
(ロ)中央青少年問題協議会の意見
社会の現状では法律的規制を断行し、問題を根本的にしかも全般的に解決するように仕向けなければ真に効果はあがらない。
2 思うに国全体に亘る青少年保護規制の法律を作るのは、現在の国情からして尚早で、もう少し様子を見るべきだ。
条例の制定については、先ず条例施行県の実際の運用状況をみれば、その土地の事情の特殊性によってかなりの差異が認められる。
たとえば、新潟の或る村(中之島村のこと)の条例の加きは、罰則一つだにない変りもので、しかもその規律範囲が非常に広汎なものであるが、予想に反し、条例ができたために新潟一の模範村になったという話も伝え聞く。大阪の質屋の規制条例も非常に効果が挙がっている。岡山県の条例では諮問機関がその予算や事務局職員の貧弱なため無力化し、運用の実効を挙げていない。神奈川県では有害物の指定もかなり積極的に行い活発な動きをみせている。
以上総じて言えば、法律的に細かく論議すればきりがないが、先ず各県共今までのところは問題なく動いている。条例でも神奈川県程度の条文とその運用状況であれば、その効果も挙っていることだから別段異存はない。
要するにこの種条例を問題なからしめる途は、運用如何の一点にかかっている。
従って知事の指定における恣意専断を未然に防止する機能をもっ諮問機関は特に予算面及ひ事務局人事の強化の面について十分留意すると共に、知事部局の関係職員の資質や良識においても格別の考慮を払わねばな.らない。
又条例を掘り廻し、やたらに指定したり罰したりするのではなくて関係者に対し、条例に触れないように事前に十分警告を発するよう努め、更に背少年の保護育成に対し、積極的な協力を尽すよう常々啓蒙宣伝に重点を置くべきだ。当該条例の反対論に対しては抽象論では駄目であくまで実際的な資料を集めて実例をもって抗してゆくことが賢明であると思う。