児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

<児童ポルノ>「排除総合対策」を決定 ブロッキング導入へ

 主体はISPなので、クレームのISPで受けることになるんですが、決めるのは政府らしいです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100727-00000029-mai-soci
総合対策は「児童の権利を保護するためには、画像発見後、速やかに児童ポルノ掲載アドレスリストを作成し、接続事業者によるブロッキングを講じる必要がある」としたうえで、通信の秘密や表現の自由に不当な影響を及ぼさない運用に配慮しながら対策を講じるとした。
 総合対策の原案に対する意見募集では、延べ1316件が寄せられ、アドレスリストを作成・管理する団体に対して「中立性を確保すべきだ」との意見が約140件あった。これを踏まえ、アドレスリストの作成・管理について「中立性の確保に配意」との文言が原案に加えられた。
 総合対策はこのほか(1)PTAの大会などでの保護者への働きかけ(2)学校や家庭での情報モラル教育の充実(3)被害児童の早期発見と保護(4)児童ポルノの流通に加担するサイト管理者などへの責任追及−−などの施策を盛り込んだ。

 「(1)PTAの大会などでの保護者への働きかけ(2)学校や家庭での情報モラル教育の充実(3)被害児童の早期発見と保護(4)児童ポルノの流通に加担するサイト管理者などへの責任追及」というのは当たり前の話を取って付けただけ。すでにやってないとだめ。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100726-00000094-jij-soci
総合対策は、2009年の児童買春・ポルノ禁止法違反事件の摘発件数や被害児童数が過去最多だったことなどを受け策定。政府は「官民一体となった対策が必要」としている。
 ブロッキングについては、表現の自由や通信の秘密に不当な影響を及ぼさないように配慮しつつ、違法画像の閲覧・防止に向けた実効性を確保できる運用が必要だとしている。

 とりあえずWEBアクセスだけですからね。



追記
 なんとなく「権利侵害」が強調されて「社会的風潮」が後退した表現になってます。

平成22年7月27日  児童ポルノ排除総合対策
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/hanzai/kettei/100727/porno_hon.pdf
序「児童ポルノ排除総合対策」の策定に当たって
我が国における児童ポルノ事犯は、検挙件数・被害児童数いずれも増加傾向にあり、平成21年は、検挙件数が前年比約4割増の935件、また、被害児童数が前年比約2割増の405人に達し、いずれも過去最多となっている。
これらの犯行形態を見ると、5割以上がインターネットを利用したものであり、特に児童ポルノ提供事犯・公然陳列事犯では、約9割に及んでいる。加えて、児童を守るべき実母による事犯や、児童が信頼を寄せている教員、保育士等による事犯も発生しており、極めて憂慮すべき事態に至っている。
国際的にも、児童ポルノは国境を越えて取り組むべき世界的な課題となっており、例えば、平成19年以来3年続けて、G8司法・内務大臣会議の総括宣言において、各国連携による児童ポルノ対策の推進の必要性に関する記述が盛り込まれている。さらに、平成21年7月の国連特別報告者による人身取引対策に関する訪日調査で児童ポルノ等への取組が不十分である旨指摘されるなど、人身取引対策の分野においても、児童ポルノ対策の推進が求められている。
そもそも児童ポルノは、児童の性的搾取・性的虐待の記録であり、児童の権利条約で保護された児童の権利を踏みにじるものである。しかも、児童ポルノが一旦インターネット上に流出すれば、その回収は事実上不可能であるため、被害児童の苦しみは将来にわたって続くこととなる。このような児童ポルノは絶対に許されるものではなく、蔓延・氾濫を食い止め、排除を進めていかなければならない。
その一方で、児童ポルノ問題を解決するためには、警察による取締りの果たす役割は大きいものの、それだけでは決して十分ではなく、国民の理解と協力を得ながら、児童ポルノ被害の未然防止・拡大防止、被害児童の保護・支援の充実等を図っていくことが必要不可欠である。
こうしたことを踏まえ、政府において、この度、今後3年間を目途に、児童ポルノを排除するための総合的な対策として「児童ポルノ排除総合対策」を策定したものである。

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4 被害児童の早期発見及び支援活動の推進
(1) 早期発見・支援活動
① 関係職員の意識啓発
地方公共団体等と連携し、児童ポルノ事犯について学校関係者、児童福祉関係者等の潜在的な被害児童に接する可能性のある職員の意識啓発を図り、児童ポルノ事犯による被害の早期発見に努める。(警察庁厚生労働省文部科学省
② 街頭補導等を通じた被害防止及び被害児童の早期発見・保護活動
警察において、街頭補導時における積極的な声掛け及び補導並びに少年相談受理時における専門職員等による適切な対応等により、児童ポルノ事犯による被害の未然防止及び被害児童の早期発見・保護に努める。(警察庁
③ 被害児童に対する継続的支援の実施
警察において、被害児童の精神的打撃の軽減を図るため、少年補導職員、少年相談専門職員等により、個々の被害児童の特質に応じた計画的なカウンセリングの実施や、家庭、学校等と連携した環境調整等による継続的な支援を行う。(警察庁文部科学省厚生労働省法務省
④ カウンセリング態勢の充実
警察において、被害児童の精神的打撃の軽減を図るための継続的な支援は、担当の職員のみでは対応が困難な場合も多いことから、あらかじめ臨床心理学、精神医学等の専門家を委嘱しておくなど、必要に応じて部外の専門家の助言を受けることができる態勢を整備する。なお、性犯罪被害者の負担軽減及び捜査の的確な推進のため、性犯罪被害者に対する各種支援及び捜査を一つの場所で行う平成
22年度モデル事業に係る性犯罪被害者対応拠点に性犯罪被害児童が来所した場合は、これらの専門家と連携して適切な対応を行うよう努める。(警察庁
スクールカウンセラーを活用した教育相談体制の充実
児童の臨床心理に関して高度に専門的な知識や経験を有するスクールカウンセラーを配置し、教育相談体制の整備を支援することで、児童ポルノ事犯の被害に遭った児童の早期発見等に資する。また、児童ポルノ事犯を含む事件・事故や災害によって心のケアが必要になった児童への対応として、学校へのスクールカウンセラーの緊急派遣に係る支援を行う。(文部科学省

児童ポルノ事犯の取締りの強化
① 悪質な児童ポルノ事犯の徹底検挙
サイバーパトロールの一層の推進やインターネット・ホットラインセンター及び匿名通報ダイヤルからの各種情報の積極的な活用を図るほか、都道府県警察間の合・共同捜査の積極的推進、児童ポルノ愛好者グループの実態解明等を通じ、低年齢児童の性犯罪被害を伴う児童ポルノ製造事犯等に重点を置いた捜査を強化し、悪質な児童ポルノ事犯の検挙の徹底を図る。(警察庁
② 悪質な関連事業者に対する責任追及の強化
児童ポルノの提供等に加担しているサイト管理者、サーバー管理者といった悪質な関連事業者について、当該関連事業者に対する指導・警告を徹底し、風営適正化法に基づき当該サーバー管理者等に対して勧告を行うほか、刑事責任の追及を図るなど、悪質な関連事業者に対する責任追及を強化する。(警察庁
③ 外国捜査機関等との連携の強化
国際刑事警察機構(ICPO)、G8ローマ・リヨン・グループ等の国際的な取組への積極的な参加や、米国連邦捜査局(FBI)が実施する研修への職員の派遣、平成14年から実施している東南アジアにおける児童の商業的・性的搾取対策に関するセミナー及び捜査官会議の拡充等を通じて、外国捜査機関等との情報交換や国際捜査協力のための調整を行うとともに、連携態勢の強化を図る。(警察庁
児童ポルノ関連事犯に対する厳正な対応
児童ポルノ関連事犯に対しては、国外犯規定を含め、児童買春・児童ポルノ禁止法等の積極的な適用を通じて、厳正な科刑の実現に努める。(法務省
児童ポルノ事犯に関する捜査能力等の向上
警察庁において、平成22年4月に児童ポルノ対策官の設置や画像分析体制の拡充等体制の強化が図られたところであるが、こうした体制の下、被害児童の特定や犯行手口の解明等、児童ポルノ画像等のより綿密な分析を行うとともに、合・共同捜査を積極的に推進するなどして、全国警察の児童ポルノ事犯捜査力の向上を図る。また、各都道府県警察におけるファイル共有ソフト利用事犯を含む児童ポルノ事犯に対する捜査能力の向上を図るため、平成22年度から児童ポルノ事犯捜査に特化した専科教養を実施する。(警察庁
⑥ 検察官に対する研修の実施
検察官に対して、その経験年数等に応じた各種研修において、児童に対する配慮等に関する講義を実施するなどして、児童ポルノ事犯に関する知識の取得に努める。(法務省

6 諸外国における児童ポルノ対策の調査等
① G8ローマ・リヨン・グループにおける「性的搾取による被害児童の支援」プロジェクトの推進
G8各国のテロ対策専門家及び国際組織犯罪対策専門家で構成されるG8ローマ・リヨン・グループにおいて、平成22年2月、「性的搾取による被害児童の支援」に関する新規プロジェクトを提案し、承認されたところであり、今後、本プロジェクトを推進していくことで、各国における性的搾取による被害児童支援対策の好事例集の作成を行う。(警察庁
② 諸外国の児童ポルノ対策の調査
G8を中心とした諸外国における児童ポルノ関連法規制について、在外公館を通じて調査を行ってきているところ、法規制に関する動向及びインターネット上のブロッキング等の新たな規制を始めとする諸動向に関する調査を継続し、定期的に結果を取りまとめる。(外務省、警察庁法務省
③ 民間団体による取組への支援
安心ネットづくり促進協議会」等において実施する諸外国のブロッキング等流通・閲覧防止対策に関する調査等の実施に向けた取組への支援を行う。(総務省