児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

児童ポルノ製造・強制わいせつ罪後段事件の法令適用

 刑事事件判決起案の手引き風

 観念的競合の例を紹介しておきます。
 1回でも執行猶予がつきません。

(法令の適用)
罰条
判示行為のうち,
 強制わいせつの点は,刑法176条後段
 児童ポルノを製造した点は,児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及ぴ児童の保護等に関する法律7条3頃,1項,2 条3項3号

科刑上一罪の処理
 刑法54条1項前段, 1 0条(1罪として重い強制わいせつ罪の刑で処断)

未決勾留日数の本刑算入
 刑法21条

(法令の適用)
 被告人の判示第1及び第2の各所為中強制わいせつの点は,いずれも行為時においては平成16年法律第156条による改正前の刑法176条後段に,裁判時においてはその改正後の刑法176条後段に該当するが,これらは犯罪後の法令によって刑の変更があったときに当たるから刑法6条,10条により軽い行為時法の刑によることとし,判示第3及び第4の各所為中強制わいせつの点はいずれも同法同条後段に,判示第2ないし第4の各所為中児童ポルノを製造した点はいずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項,2条3項3号にそれぞれ該当するが,判示第2ないし第4の各所為について,これらはいずれも1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるから,刑法54条1項前段,10条により1罪として重い強制わいせつ罪について定めた懲役刑でそれぞれ処断することとし,前記の前科があるので,同法56条1項,57条により判示第1ないし第3の各罪の刑についてそれぞれ再犯の加重をし,以上は同法45条前段の併合罪であるから,同法47条本文,10条により最も重い判示第3の罪の刑に同法14条の制限内で法定の加重をした(ただし,平成16年法律第156号付則4条ただし書による。)刑期の範囲内で被告人を懲役○年に処し,同法21条を適用して未決勾留日数中10日をその刑に算入し,訴訟費用については,刑事訴訟法181条1項ただし書を適用して被告人に負担させないこととする。

(法令の適用)
罰条
第1の事実中強制わいせつについて
 平成16年法律第156条による改正前の刑法176条後段(行為時は平成16年法律第156条による改正前の刑法176条後段に裁判時は改正後の刑法176条後段に当たるが,刑法6条10条により)
第2から第5までの事実中各強制わいせつについて
 いずれも刑法176条後段
第1から第5までの事実中各児童ポルノ製造について
 いずれも児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律7条3項1項,2条3項2号,3号

科刑上一罪の処理
 第1から第5までいずれも刑法54条1項前段10条
 (いずれも重い強制わいせつの罪の刑)

併合罪の処理
 刑法45条前段,47条本文,10条
 (犯情の最も重い第5の罪の刑に加重)
未決勾留日数の算入
 刑法21条
没収
 刑法19条1項3号2項本文