児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

控訴していろいろ理屈こねて軽くなるのか?

 実刑被告人や関係者からの容赦ない質問ですが、ちゃんとやれば軽くなるんですよ。
 量刑不当以外にいろいろ控訴理由を並べると心証が悪くなると思ってる一般の方や経験不足の弁護士もいるようですが、結果的に有利になるような主張だけを並べています。
 最近の実刑控訴事件の結果を示します。刑事確定訴訟記録法により誰でも閲覧可能となっています。

名古屋高裁金沢支部 児童ポルノ・児童買春 懲役2年→1年10月(195日)
阪高裁 児童福祉法違反 懲役7年→6年10月(271日)
阪高裁 児童ポルノ・児童買春・強姦・強制わいせつ 懲役8年→棄却(控訴審未決210日算入)
東京高裁 児童ポルノ・児童買春 懲役1年4月→1年(164日)
東京高裁 児童福祉法違反 懲役4年6月→3年6月(勾留なし)
東京高裁 児童ポルノ・児童買春 懲役2年4月→2年(141日)
札幌高裁 児童ポルノ・児童買春 懲役2年棄却(控訴審未決120日算入)

( )の数字は、一審判決日から控訴審判決日までの数字で、破棄された場合の未決勾留日数の法定通算の概算として挙げています。懲役の期間から差し引かれます。
 原判決の未決算入もありますから、控訴して損したということはないと思います。

刑訴法第495条〔未決勾留日数の法定通算〕
上訴の提起期間中の未決勾留の日数は、上訴申立後の未決勾留の日数を除き、全部これを本刑に通算する。
②上訴申立後の未決勾留の日数は、左の場合には、全部これを本刑に通算する。
一 検察官が上訴を申し立てたとき。
二 検察官以外の者が上訴を申し立てた場合においてその上訴審において原判決が破棄されたとき。
③前二項の規定による通算については、未決勾留の一日を刑期の一日又は金額の四千円に折算する。
④上訴裁判所が原判決を破棄した後の未決勾留は、上訴中の未決勾留日数に準じて、これを通算する。

 高裁が遠い地域では、控訴したこと自体で騒ぎになることがあるようですね。「お上に逆らう」という思想でしょうか。
 福祉犯については高裁も法令適用がわからないので、どの事件も、慎重に審理されています。