児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

[ハイテク犯罪・サイバー犯罪] [児童福祉法]逮捕を回避して欲しいという相談

 GWから今日まで増えてきたのが
    逮捕だけは勘弁してください。
    弁護士費用がもったいないから、自分でできる方法を教えてくれ
という相談。主に性犯罪の類。
相談料前払いを徹底して、一時減ったんですが、また増えてきました。

 逮捕の主体は捜査機関、逮捕状出すのは裁判官ですから、弁護士に言われても困りますが、関係法条を見ると、逮捕されそうな事情と逮捕されそうな事情がわかります。

逮捕されない方向の事由

  • 生活は安定
  • 警察署が逮捕状の請求時までに証拠を相当程度有していた
  • 逃亡のおそれなかった
  • 罪証隠滅のおそれがなかった

逮捕される方向の事由

  • 同人が捜査機関による任意出頭の要求に対して正当な理由がなく出頭しない
  • 組織的な背景・共犯
  • 生活は不安定(無為徒食、住所不定・・・)
  • 警察署が逮捕状の請求時までに証拠を相当程度有していない
  • 逃亡のおそれがある
  • 罪証隠滅のおそれがある

 まあ一般論としてはこうなるわけですが、現実には、社会的地位のある人や、堅い職業の人も逮捕されてますね。
 特にハイテク犯罪では、履歴が消えたり消されたりするので「罪証隠滅のおそれ」、児童ポルノ・児童買春・児童福祉法違反・青少年条例違反だと、履歴が消えたり消されたりに加えて、密室性とか口止めの危険とかを「罪証隠滅のおそれ」と評価しているようです。
 弁護人奥村の「この行為は○条○項○号の児童ポルノ・児童買春罪に間違いない」という意見書があると、警察は先々安心するので、逮捕しない方に傾くかもしれない。

 弁護士としてこういう相談はどう対応するか難しいですね。「わからん」と回避するのが一番無難。
 逮捕の要件がわかっているのだから、一つずつつぶして行けば、逮捕の危険は減少するというのはわかる。しかし、細かくつぶしていくというのは能率悪くて面倒な話。
 相談を受けてしまうと、相談中に逮捕されたら多少なりとも弁護士を恨むでしょう。相談者の行為は逮捕の理由を満たすから逮捕されたのだから自業自得なわけですが、少しいやですね。
 情状弁護も早いほうがいいわけで、弁護人選任届と着手金をいただいて、逮捕前の被疑者弁護を受けることもありえますが、これで逮捕されたら、ますます恨まれますよね。
 でも、うまくいけば、逮捕されないで在宅で略式命令とか不起訴というのも経験があって、同じ罪を犯して、自分だけ逮捕されないんだから、これは感謝されますね。でもずるい話ですよね。

第199条〔逮捕状による逮捕〕
検察官、検察事務官又は司法警察職員は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があるときは、裁判官のあらかじめ発する逮捕状により、これを逮捕することができる。ただし、三十万円(刑法、暴力行為等処罰に関する法律及び経済関係罰則の整備に関する法律の罪以外の罪については、当分の間、二万円)以下の罰金、拘留又は科料に当たる罪については、被疑者が定まつた住居を有しない場合又は正当な理由がなく前条の規定による出頭の求めに応じない場合に限る。
②裁判官は、被疑者が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由があると認めるときは、検察官又は司法警察員(警察官たる司法警察員については、国家公安委員会又は都道府県公安委員会が指定する警部以上の者に限る。以下本条において同じ。)の請求により、前項の逮捕状を発する。但し、明らかに逮捕の必要がないと認めるときは、この限りでない。

第60条〔勾留〕
裁判所は、被告人が罪を犯したことを疑うに足りる相当な理由がある場合で、左の各号の一にあたるときは、これを勾留することができる。
一 被告人が定まつた住居を有しないとき。
二 被告人が罪証を隠滅すると疑うに足りる相当な理由があるとき。
三 被告人が逃亡し又は逃亡すると疑うに足りる相当な理由があるとき。