児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

サイト管理者らによるわいせつ電磁的記録等送信頒布被告事件につき再犯加重した上で執行猶予(刑法25条1項2号)を付した事例(名古屋地裁R02.10.22)

サイト管理者らによるわいせつ電磁的記録等送信頒布被告事件につき再犯加重した上で執行猶予(刑法25条1項2号)を付した事例(名古屋地裁R02.10.22)
 警察官に頒布したということは買受捜査ですね。
 罰金は実刑です。

第一七五条(わいせつ物頒布等)
1 わいせつな文書、図画、電磁的記録に係る記録媒体その他の物を頒布し、又は公然と陳列した者は、二年以下の懲役若しくは二百五十万円以下の罰金若しくは科料に処し、又は懲役及び罰金を併科する。電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録その他の記録を頒布した者も、同様とする。
2有償で頒布する目的で、前項の物を所持し、又は同項の電磁的記録を保管した者も、同項と同様とする。

第二五条(刑の全部の執行猶予)
1 次に掲げる者が三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金の言渡しを受けたときは、情状により、裁判が確定した日から一年以上五年以下の期間、その刑の全部の執行を猶予することができる。
一 前に禁錮以上の刑に処せられたことがない者
二 前に禁錮以上の刑に処せられたことがあっても、その執行を終わった日又はその執行の免除を得た日から五年以内に禁錮以上の刑に処せられたことがない者

主文
 被告人を懲役1年及び罰金100万円に処する。
 その罰金を完納することができないときは,1万円を1日に換算した期間被告人を労役場に留置する。
 この裁判確定の日から3年間その懲役刑の執行を猶予する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,アダルト動画像データ販売ウェブサイト「a」を管理運営するものであるが,同サイト創業者のA,同サイトのシステムを総括するB1ことB,同サイトの管理運営等を担当するC及び氏名不詳者と共謀の上,
令和元年6月21日,「b社」が管理するサーバコンピュータにあらかじめ記録・保存させた女性器等を露骨に撮影したわいせつな画像データ1点を含むデータフォルダ1点(商品名○○)を,前記「a」を利用して同サーバコンピュータにアクセスした不特定の者であるDが使用する名古屋市〈以下省略〉愛知県c警察署に設置されたパーソナルコンピュータに送信させる方法により,同パーソナルコンピュータに記録・保存させ,電気通信の送信によりわいせつな電磁的記録を頒布した。
 (証拠の標目)
 (累犯前科)
 (法令の適用)
 罰条 刑法60条,175条1項後段
 刑種の選択 懲役刑及び罰金刑を選択
 再犯加重 刑法56条1項,57条(判示の罪の懲役刑に加重)
 労役場留置 刑法18条
 刑の執行猶予 刑法25条1項(懲役刑について)
 (量刑の理由)
 本件は,わいせつな画像の出品を受け,これをアップロードして,不特定の客に販売するウェブサイトを運営するなかで敢行された犯行であり,海外に活動拠点を置くなど巧妙かつ組織的な犯行である点で悪質である。被告人は,共犯者のBの紹介により,分け前欲しさに,サイト運営に関与することになった挙げ句,本件に及んでおり,その関与には営利性,職業性が認められる。このように,本件の動機,経緯等に特段酌むべき事情は見当たらず,被告人が前刑執行終了から5年以内に本件を犯したことも考慮すると,被告人の意思決定は,強い非難に値する。
 もっとも,起訴された共犯者の中では,被告人の地位は最も低く,分け前も最も少ない。この事情は,被告人に有利に考慮する必要がある。その他,被告人が,本件犯行を素直に認め,反省の情を示すとともに,共犯者らとの関係を断ち切り,正業に就き更生する意欲を示していること,被告人の母親が情状証人として出廷し,被告人の監督を誓約していることなど,被告人にとって酌むべき事情も認められる。さらに,前刑の判決宣告から10年近く経過しており,同種の前科は見当たらない。
 以上の諸事情を考慮して,懲役刑については,今回に限りその刑の執行を猶予することとした。
 (求刑 懲役1年及び罰金100万円)
 (検察官加藤幸裕,私選弁護人北澤嘉章各出席)
 名古屋地方裁判所刑事第5部
 (裁判官 板津正道)