児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

沖縄タイムズと琉球新報の社説

 沖縄県警って、これまで地理的に県外の事件に手を出しにくかったですよね。長期出張の連続になるから。
 違法にデリヘルとか売春業をやってる人は、どうせ違法なんだから児童を使用するのも平気です。
 裁判所も児童の福祉を害した程度は測定できないので被害感情に頼ってしまいがちで、児童を強制的に従事させていなければ、被害感情が強く出ないので、量刑も重くありません

[社説]/中高生売春/ネットの闇から子守れ
2013.08.25 朝刊 5頁 オピ2 (全1,176字) 
 ネット社会に潜む闇が、10代の少女らを犯罪の被害に巻き込んだ。大人の身勝手な欲望による極めて卑劣な犯行だ。
 県警は、沖縄や宮城、福島など約10県のホテルなどで県内の中高生を含む18歳未満の少女13人に客を取らせ、淫行をさせたとして県内の男らを児童福祉法違反などの疑いで逮捕した。
 事件が特異なのは、犯行の過程全てで、携帯電話によるインターネットを使った組織的な犯罪という点だ。
 主犯とみられる男(33)=同罪などで起訴済み=らは、ことし1月から2月ごろ、少女らが18歳未満と知りながら出会い系サイトなどで集めた男性を相手に、みだらな行為をさせた疑い。男らは携帯電話で女性になりすまして、待ち合わせ場所に少女らを送迎していたという。
 県警が確認できた18歳未満の被害少女13人の内訳は中学生5人、高校生4人、18歳未満の少女4人。このほか18歳以上も6人いた。
 犯行グループは「もうかる」などとソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などに書き込み、少女らを募っていたという。
 携帯電話は今や生活の一部。家族や友人との連絡、おしゃべり感覚でのやりとりなど日常の光景だ。これを悪用した行為は、絶対に許されるものではない。
 県警が押収した口座からは約8千万円の売り上げが確認されたという。その一部が暴力団の資金源になったとみられており、事実なら言語道断というほかない。
 県警のまとめによると、情報技術を利用したサイバー犯罪の2012年の県内摘発件数は、前年比31件増の97件。出会い系サイトなどを通し少女が被害に遭う児童福祉法違反が急増したのが要因だ。
 摘発件数では最も多い詐欺38件に次いで、児童買春・児童ポルノ法違反14件、児童福祉法違反10件、青少年保護育成条例違反10件などとなっている。
 18歳未満が被害に遭った事件のうち、出会い系サイトが関係したものが14人、SNSなどのコミュニティーサイトは12人。その全てが携帯電話で被害に遭っている。
 県警では子どもがトラブルに巻き込まれないために、有害サイトを閲覧できないようにするフィルタリングサービスの利用を呼びかけている。
 ただ、保護者が同サービスを「知っていた」割合が全国平均の54・5%に対し、沖縄では42・1%と低い状況だ。
 生まれたころから、IT機器に囲まれてきた子どもは、今や親世代の理解を超えたネット世界の住人だ。
 だが、人生経験の浅い子どもには、ネット上の書き込みの裏にある「悪意」の存在を敏感に判断することは容易ではない。
 子どもを守るのは大人の責務である。ネットが持つ便利さは、危険なわなと背中合わせだ。
 ネット利用のあり方を指導するとともに、家庭で、学校で、地域で子どもの異変に目を配り、ネットに潜む危険性から子どもを守りたい。
沖縄タイムス

<社説>中高生売春/根絶へ本気度が問われる
2013.08.25 琉球新報
 宜野湾署や県警暴力団対策課などは23日までに、18歳未満と知りながら沖縄本島内の中高生の少女ら13人に出会い系サイトで仲介した客とみだらな行為をさせたとして、西原町の自営業の男(33)ら5人を児童福祉法違反で逮捕した(4人は起訴済み)。少女たちを性の道具のごとく扱う卑劣な犯罪は断じて許せない。
 警察によると、男らは女性を客がいる場所に派遣し、性的サービスを提供する「デリバリーヘルス」という手法を用い合計19人の女性を県内外の客と引き合わせ、少なくとも約8千万円を得ていた。
 被害少女の数、容疑者らが手にした売上額、福島、宮城、愛知など8県にまたがる現場など、県内の出会い系サイト関連犯罪としては異例の大がかりな事件だ。警察は事件の収益が指定暴力団旭琉会の資金源にもなったとみている。全容を解明し、不正な資金の流れがあるなら断ち切らねばならない。
 出会い系サイトは、サイトを利用した未成年者が買春などの被害に遭う事例が多発したため、2009年に年齢確認の厳格化が義務付けられた。しかし、今回の事件で未成年でも簡単に利用できる実態が浮き彫りとなった。
 警察庁は出会い系サイトに関する専用ページを開設し、中高校生には大人の甘い言葉にだまされないよう注意を喚起している。保護者には子どもたちが使用する携帯電話などで違法・有害コンテンツを閲覧できなくするフィルタリングを奨励し、子どもを有害サイトから守るよう呼び掛けている。
 だが事件は絶えない。関係機関は出会い系サイト関連犯罪の実態を徹底的に洗い出し、再発防止対策を強化・再構築すべきだ。
 こどもが犯罪の危険にさらされる背景にも目を向けたい。有害サイトに詳しい米盛徳市琉大教授は「ネットの世界は、やりたい放題の世界といってもいい。自宅にネットを開通し子どもにスマートフォンを持たせるなら、親は子どもが危険に巻き込まれる覚悟が必要ともいえる」と述べ、親もメディア活用力をつけるべきだと強調する。重い指摘だ。
 病的なネット依存が疑われる中高生が全体の8%(51万人)を占めるとの国の調査結果もある。ネット社会の病理と向き合い、子どもたちをどう犯罪から守るか、社会全体で踏み込んだ議論をすべきだ。大人の本気度が問われる。

中高生ら19人売春/「他にも未成年」/風俗業関係者 仲介者も増加傾向
2013.08.25 琉球新報
 18歳未満の中高生の少女ら19人を「デリバリーヘルス」嬢として働かせ、児童福祉法違反容疑などで男女5人が逮捕された事件で、県内のデリヘル業者は急増しており、出会い系サイトなどを悪用して少女売春を仲介する業者や個人が他にもいる可能性があることが24日、県警や業界関係者への取材で分かった。県内の性風俗業関係の男性は「潜在化しているだけで未成年者が在籍する業者は他にもいる。今回の事件は氷山の一角だ」と証言した。現役デリヘル嬢は中高生の少女が風俗業界で働けば「必ず後悔する」と語った。
 デリヘルは、性的サービスを伴う無店舗型の風俗業のことで、県警のまとめでは、11年に確認された営業所数は97件で、5年前の49件からほぼ倍増した。
 県警がまとめた犯罪統計書(2011年版)によると、02〜11年の間に、売春事犯で警察に保護された18歳未満の少女の数が最も多かったのは、04、05、09年で、それぞれ9人だった。これに対し今回、事件に関わった少女は分かっているだけでも13人おり、近年の傾向と比べて突出して多い。
 県警幹部によると、今回の事件で問題となった出会い系サイトを悪用した業者は他にも一定程度存在している。県警幹部は「実態が見えにくい上に手口が巧妙化しており、把握が難しい。少女売春を防ぐためにも、取り締まり強化だけではなく、未成年者の性に対する規範意識を高めていくことも必要だ」と話した。
 風俗業関係者の男性によると、最近、那覇市松山などでは県外のデリヘル業者が増えている。「業者が乱立し、激安店が増えている。少なくとも200を超える業者がいる。県警は全然実態を把握していない」と指摘した。
 未成年者を雇っている業者が県内に複数あるとも断言した。「店舗型の風俗店と違って、デリヘルは女性が自由に動ける。特に未成年は個人でやっている所で働く場合が多く、警察にもばれにくい」と語った。