児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

性犯罪再犯防止指導の受講前後比較による効果検証

 有効だ。ということにしておこう。

山本麻奈「性犯罪者処遇の現状と展望(第3回)性犯罪再犯防止指導の受講前後比較による効果検証について(その2)」刑政 第123巻11号
まとめ
本研究の結果をまとめると、以下のとおりである。
(1)総じて、プログラム受講後に動的リスクが低下して
いると考えられた。
(2)具体的には、動的リスクのうち、特に「性的自己統制」(性衝動の統制力の開題の大きさ)、「性暴力支持的な態度」(性犯罪の言い訳となるような、性犯罪を許容し又は大目に見る態度や価値観を抱いている傾向の強さ)、「一般的自己統制」(対象者が自己の反社会的な考えや行動を自覚し、抑制する能力の乏しさ)がプログラム受講後に大きく低下した。
(3)プログラム受講前後で動的リスクが低下した群と上昇した群とで、両群に質的な差異(年齢、能力等)が見られるかどうかを検討したが、今回の分析からは質的な違いは認められなかった。
(4)指導密度別の分析では、その低下の程度は指導密度ごとに異なっていたが、全ての密度においてプログラム受講後に動的リスクの低下が見られた。
(5)受刑歴別の分析では、前号で報告した質問紙調査と同様に、初入群の方が累入群に比べて、もともと動的リスクが低く、処遇効果も上がりゃすいと考えられた。
(6)年代別の分析では、あらゆる年代においてプログラム受講後で同程度の動的リスクの低下が見られた。また、比較的若年である三〇歳未満の群が三〇歳以上の群に比べて動的リスクが低かった。
(7)知的水準別の分析では、IQ相当値により便宜的に群分けをして分析を行ったところ、全ての群においてプログラム受講後で動的リスクの低下が見られた。
(8)罪名により、強姦群、強制わいせつ群、迷惑行為防止条例違反群、その他の群に分けて分析したところ、迷惑行為防止条例違反群の得点が最も高かった。全ての群においてプログラム受講後で同程度の動的リスクの低下が見られた。