児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

子供への性犯罪、再犯者の過半数が「出所後1年未満」26人が所在不明

 何罪についても同じですが、全部の性犯罪者が再犯するというわけではなく、出たり入ったりして繰り返すグループがいるんです。
 犯人の人数は多くないのですが、1人で10件20件やるので、大問題なんです。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101104-00000541-san-soci
出所時の年齢をみると、20代が22人(21%)、30代が44人(42%)と若年層が6割以上を占めた。最年長は76歳だった。出所時年齢が1歳高くなると、再検挙の可能性が3・6%低下するという。
 さらに、再検挙者の7割の74人が満期出所者だった。残りの仮釈放者も大半が保護観察が付く仮釈放期間終了後に再検挙されており、自由になると再犯を起こしやすい傾向が浮き彫りになっている。

 また、再検挙までの期間は平均444・3日で、1カ月以内8人▽1〜2カ月4人▽2〜3カ月10人▽3〜6カ月12人▽6カ月〜1年23人▽1〜2年14人▽2〜3年8人▽3年以上1人。性犯罪の検挙暦が多いほど、再検挙までの日数が短くなる傾向もみられたという

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101104-00000026-mai-soci
 ◇同意前提に面談も 高リスク出所者への対応強化…警察庁
 13歳未満の子供への暴力的性犯罪の再犯リスクに関する分析で、満期出所者の再犯可能性は仮釈放者の約2倍であることが明らかになり、警察庁は今後、満期出所者や若年層など相対的にリスクの高い出所者へのかかわり方を検討する。安藤隆春長官は4日の記者会見で「社会復帰に十分配慮しながら、同意を前提にした(警察官による)面談などを検討する必要がある」との考えを明らかにした。具体化に向けては法務省とも連携する。【鮎川耕史】

 満期出所者と仮釈放者の再犯リスクの差は両者の法的な立場の違いが大きい。仮釈放には、更生保護法に基づき出所者を指導監督する保護観察の制度がある。このうち性犯罪者には、認知行動療法を取り入れたプログラムの受講が06年から義務化されるなど、治療を目的とした処遇も整備されつつある。

 一方、満期出所者については、公的機関がかかわる法的な根拠はない。住居を届け出る義務も、更生を支援する制度上の仕組みもない。この違いは法務省から警察庁に提供される出所者情報にも影響し、満期出所者は一般に居住の確認が難しいとされる。だが、刑務所での生活状況や再犯の可能性など仮釈放の要件がそろわなかったという満期出所の側面は、再犯防止の観点から無視できない。

 元法務省矯正局専門官の藤岡淳子・大阪大大学院人間科学研究科教授は「犯した罪の問題性が大きく、社会とのつながりに乏しい者ほど保護観察が必要なはずなのに、こうした者は満期出所になる可能性が高い。監視や指導、支援を必要とする出所者が何の受け皿もないまま社会に放り出されることのないよう、公的機関の連携した取り組みが求められている」と指摘している。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20101104-00000033-jij-soci
子供に対する暴力的性犯罪を起こした服役者の出所後の居住予定地などを、法務省警察庁に提供する同制度は開始から約5年が経過。制度の対象者は5月末時点で740人に上り、服役中の者もいるため、今後さらに増加するとみられる。
 警察当局は出所者の居住地を確認するため、年2回程度、自宅周辺を巡回。社会復帰に配慮して、出所者本人や近隣住民、職場などには接触してこなかったが、今後は本人の同意を得た上で警察官が面談する可能性があるという。 

 現状では、再犯危険が高いと仮釈放が付きにくく、満期出所後は野放しということになっているんですが、行為責任主義で裁判所が量刑するとなると、刑罰以外の対応しかないですよね。

http://www.npa.go.jp/safetylife/seianki/saihanboushi20101104.pdf
「子ども対象・暴力的性犯罪の出所者」の再犯等に関する分析平成22年11月
4 考察
今回の分析結果は、満期出所者の再検挙の可能性は、仮釈放者と比べ、相対的に大きいことを強く示唆するものだと考えられる。
仮釈放者と満期出所者との違いに関して特に注目されることは、出所後間もない時期には、①両者の間の長期間の差異と、②仮釈放期間中に限定された、仮釈放の再犯抑止効果とが、相乗的に作用すると考えられることである。この①②の相乗効果により、出所後間もない時期には、満期出所者の再検挙の可能性は、仮釈放者と比べて約5.5倍*16程度高い水準にあると見られる。ただし、今回の分析結果は、あくまでも、追跡可能再犯防止対象者の再検挙データのうち、最初の出所から、その後の最初の再検挙までの情報だけしか扱っていない。
また、再検挙の可能性に影響することが予想される変数も、ごく限られたものだけしか考慮しておらず、例えば、過去の犯罪歴は、再検挙のない者についての情報が未収集のため、今回の分析には含めていないといった限界もある。
さらに、追跡可能再犯防止対象者の性的犯罪による再検挙率が、例えば、子どもを対象としない暴力的性犯罪により服役し出所した者と比べて高いのか低いのかも、相互のデータを比較をしなければわからない。
このように、今回の分析は、まだ多くの制約や要検討事項を含む、暫定的なものと言わざるを得ない。その一方で、法務省から供与された「子ども対象・暴力的性犯罪の出所者情報」と、警察の保有する犯罪経歴情報とを組み合わせ、生存分析の手法による分析を行ったことにより、これまで客観的なデータに基づく議論が困難だった諸問題に、新たな角度から一石を投じることが可能になったと思われる。