児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

非親告罪化

 非親告罪ばっかり扱っているので、被害者がそれでいいのなら、別にいいんじゃないかと思います。

http://www.gender.go.jp/danjo-kaigi/boryoku/siryo/bo66-1.pdf
? 検討内容
非親告罪
強姦罪親告罪であり、その理由は、犯罪の性質上、訴追することによって被害者の名誉やプライバシーが害される場合があり得るため、すなわち、被害者保護のためとされているが、被害者の負担を考慮する被害者保護の観点、また、被害の潜在化を避け性犯罪への厳正な対処を図る観点から、非親告罪化することについて調査検討を行った。
被害者保護の観点からは、「告訴が公訴提起の要件となっている親告罪では、事件によって大きな精神的ダメージを負った被害者に、告訴を行うかどうかについての葛藤を伴う重い判断が求められる。
また、加害者側の弁護士等からの告訴取り消し要求が激しくなり、その対応が被害者の負担となるケースもあり得る。こういったことを考慮すると、親告罪であることが、かえって被害者保護につながらない面がある」旨の見解が示された。
また、裁判例においても、低年齢の被害者の告訴能力の有無が争点となるケースが存在した中で、低年齢等で主体的判断が難しい者等が被害者である事案(とりわけ、告訴権を有する親等の法定代理人が、加害者である場合や加害者の影響下にある場合)の告訴の判断について懸念する旨の見解もある。
さらに、親告罪の理由の一つとされる名誉の保護について、強姦の被害を不名誉と考えることが現在では妥当ではないのではないかとの見解がある。
親告罪ではない性犯罪である強姦致死傷や集団強姦においても被害者の名誉やプライバシーの保護は重要であるが、それらの犯罪との整合性の観点からも親告罪が妥当なのか疑問であるとの見解も示された。
また、性犯罪に対して厳正な対処を図る観点からは、「性犯罪が重大な犯罪であるとの国民の認識の下、それが刑法犯の中でも高い起訴率や量刑にも表れているとの指摘もある。そうした中、被害の深刻さから凶悪性が高い強姦罪について、告訴がなされなければ、訴追されず、その結果被害が潜在化し、性犯罪の厳正な対処が実現できなくなるため、告訴がなくても訴追し得るよう非親告罪とすることが適当である」旨の見解が示された。
なお、韓国では 19 歳未満の者に対する一部の性犯罪に関し、適切な処罰を阻害している状況を解消し、処罰の実効性を高めることを立法趣旨として、被害者が積極的に処罰を希望しない旨の意思表示をしない限り訴追し得る制度へと法改正がなされたことがあり、そうした仕組みは参考となり得るとの見解が示された。
こうした見解を踏まえて、被害者保護、性犯罪の厳正な対処を図るために、非親告罪化が有意義であるとの見解が多く見られた。
一方で、「強姦罪については、不起訴処分となったもののうち、当該処分となった理由において、被害者による告訴の取消が一定を占める状況である。非親告罪化については、そうした告訴取消を選択する被害者の権利行使への影響に十分留意することが必要である」旨の見解も示された。