児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

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公訴時効が完成した事件に対する遡及適用について

 やっぱりこの辺の罪名ですよね。
 児童ポルノの流通に関する罪も、止まらないわけで、一種の継続犯として、時効が伸びる解釈もありうるとみています。

http://www.moj.go.jp/SHINGI2/091209-1-4.pdf
公訴時効が完成した事件に対する遡及適用について
○ Stogner v. California, 123 S.Ct. 2446 (2003)(連邦最高裁判所
【事案の概要】
(1) 1993年,カリフォルニア州は,児童に対する性的虐待の罪に関する公訴時効(statute of limitations)について,新たな法律を制定した。
同法は,?被害者が警察に虐待の事実を報告したこと,?被害者の申告と符合する明白で説得力のある独立した証拠があること,及び?訴追が被害者の申告から1年以内に開始されたことの3つの要件を満たすときは,児童に対する性的虐待の罪についての訴追を認めるものであった。
そして,1996年に同法の改正が行われ,同法の適用範囲については,上記3つの要件を満たす場合は,同法制定(1993年)前に公訴時効が完成した事件についても,訴追権限を復活させるものであることが明確にされた。
(2) 1998年,被告人は,1955年から1973年の間に犯した児童に対する性的虐待の罪でカリフォルニア州の大陪審により起訴された。同罪を犯した時点における同罪の公訴時効期間は3年であった(したがって,公訴時効は,早ければ1958年に,遅くとも1976年には完成していたことになり,被告人は,公訴時効完成後22年以上経過してから起訴されたこととなる。)。
(3) そこで,新法を本件に適用して被告人を訴追することが,合衆国憲法の事後法禁止条項に違反するか否かが問題となった。
【結論】
連邦最高裁は,5対4で,本件カリフォルニア州法の適用は事後法禁止条項に違反すると判断した。