児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドライン

 名古屋地裁H19.1.10が掲示板開設行為を幇助犯とした理由付けをみると、単にこういうガイドラインを守っていても、脇の甘いプロバイダは幇助で立件できそうです。

プロバイダ責任制限法第4条に基づく発信者情報開示制度の円滑かつ適切な運用を支援する取組
http://www.soumu.go.jp/s-news/2007/070110_1.html

プロバイダ責任制限法 発信者情報開示関係ガイドラインhttp://www.telesa.or.jp/consortium/provider/2007/20070110.htm
http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/pdf/20070110_provider_guideline_2.pdf

 違法情報を媒介しないように日々努力して、権利侵害の連絡があったら、しかるべき対応をしていて、初めて民事刑事の責任を逃れうるという感じですね。
 ざっと読んでみても、(法律は変わらないのだから)目新しい事項はなくて、マニュアル的に細かく・丁寧に・わかりやすく記載されているだけで、迷ったら、弁護士とか裁判所に聞けということのようです。
 これでなにか変わるでしょうか?

プロバイダ責任制限法発信者情報開示ガイドライン(案)

http://www.telesa.or.jp/consortium/provider/pdf/20070110_provider_guideline_2.pdf
発信者情報の開示を受けるべき正当な理由の判断
(1) プロバイダ等は、請求書の記載に基づいて、請求者が発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有しているかについて判断することとする。
(2) 発信者情報の開示を求める理由が、①損害賠償請求権の行使のためである場合、②謝罪広告等名誉回復措置の要請のため必要である場合、③発信者への削除要請等、差止請求権の行使のため必要である場合には、通常は、請求者は発信者情報の開示を受けるべき正当な理由を有しているものと考えられるが、例えば差し止め請求の場合に既に権利侵害情報が削除されており、請求の必要性がなくなっていることなどもありうることから、発信者の意見も考慮した上で判断する必要がある。
 その他の理由であって、正当な理由を有しているか否かについての判断が困難な場合には、プロバイダ等は、弁護士等の専門家に相談した上、判断を行うことが望ましい。

IV 権利侵害の明白性の判断基準等
総論
発信者情報開示請求権は、匿名で発信された情報の流通により被害を受けた者の救済の観点から有益なものであるが、他方で、発信者情報は発信者のプライバシーや表現の自由、通信の秘密とも深く結びついた情報であるため、そのバランスをとることが重要である。法第4条は、このような被害者救済の必要性と、発信者の利益の調和を図る観点から、発信者情報の開示については、「権利が侵害されたことが明らか」であることを要件として定めている。

ここで、「明らか」とは、権利の侵害がなされたことが明白であるという趣旨であり、不法行為等の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことまでを意味すると解されている。

したがって、①情報の流通により権利が侵害されたこと及び②不法行為等の成立を阻却する事由の存在をうかがわせるような事情が存在しないことが認められる場合には、発信者情報の開示を行うことが可能となるものである。

ところで、情報の流通による権利侵害の態様としては、類型的に、①名誉毀損、プライバシー侵害、②著作権等(著作権及び著作隣接権をいう。以下同じ)侵害、③商標権侵害が考えられるところであり、本ガイドラインにおいては、発信者情報の開示が認められた裁判例等を参考に、各類型ごとに権利が侵害されたことが明らかと考えられる場合や、その判断要素等について記載するものである。本ガイドラインで取り上げていない類型の権利侵害については、当該事案に応じて、権利侵害の明白性の有無が判断されるべきことは言うまでもない。

名誉毀損、プライバシー侵害
(1) 名誉毀損
b) これらの事情等は、個別の事案の内容に応じて判断されるべきものであり、プロバイダ等において判断することが難しいものでもある。したがって、現時点において権利侵害の明白性が認められる場合についての一般的な基準を設けることは難しい。発信者に対して意見を聴取した結果、公益を図る目的がないことや書き込みに関する事実が真実でないことを、発信者が自認した場合などには、名誉毀損が明白であると判断してよい場合があるが、それ以外の場合については、以下の発信者情報の開示を認めた裁判例等を参考にして、権利侵害の明白性の判断を行い、判断に疑義がある場合においては、裁判所の判断に基づき開示を行うことを原則とする。