たとえば、改正前の記載方法によれば
H17.10.21に
自宅において、
販売目的で
わいせつかつ児童ポルノである電磁的記録を
所持した
という場合、このままで犯罪事実(被疑事実、公訴事実、罪となるべき事実)として記載すると、大恥をかきます。
現行法には「販売」の字句はないし、「提供」と「販売」とは異なる概念だし、「提供目的」にしても、特定少数への提供目的(7条2項)か、不特定多数への提供目的(7条5項)かが不明確です。
児童ポルノについては、
不特定又は多数の者に対して提供する目的で
と読めるように記載する必要がある。
第7条(児童ポルノ提供等)
1 児童ポルノを提供した者は、三年以下の懲役又は三百万円以下の罰金に処する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を提供した者も、同様とする。
2 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
3 前項に規定するもののほか、児童に第二条第三項各号のいずれかに掲げる姿態をとらせ、これを写真、電磁的記録に係る記録媒体その他の物に描写することにより、当該児童に係る児童ポルノを製造した者も、第一項と同様とする。
4 児童ポルノを不特定若しくは多数の者に提供し、又は公然と陳列した者は、五年以下の懲役若しくは五百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する。電気通信回線を通じて第二条第三項各号のいずれかに掲げる児童の姿態を視覚により認識することができる方法により描写した情報を記録した電磁的記録その他の記録を不特定又は多数の者に提供した者も、同様とする。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
この点については、各裁判所においていろいろ試行錯誤がなされているわけですが、名古屋地裁H16.12.27などを参考にすれば
H17.10.21に
自宅において、
販売する目的かつ不特定又は多数の者に提供する目的で、
わいせつかつ児童ポルノである電磁的記録を
所持した
と記載するのが条文を見た痕跡もあるし整然としているのではないでしょうか?
ところで、自宅に電磁的記録をもっている場合には、「所持」ではなくて「保管」だという裁判例もあります。
- 名古屋簡裁H16.8.27
- 名古屋簡裁H16.9.22
- 名古屋簡裁H16.9.24
略式命令も3つあれば影響力ありますよね。
5 前項に掲げる行為の目的で、児童ポルノを製造し、所持し、運搬し、本邦に輸入し、又は本邦から輸出した者も、同項と同様とする。同項に掲げる行為の目的で、同項の電磁的記録を保管した者も、同様とする。
だとすれば、児童ポルノである電磁的記録については「保管」になりますから、
H17.10.21に
自宅において、
販売する目的かつ不特定又は多数の者に提供する目的で、
わいせつかつ児童ポルノである電磁的記録を
所持かつ保管した
ということになります。
なにか違うような気もしますが、裁判例をつぎはぎするとこうなります。