児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・不同意わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 sodanokumurabengoshi@gmail.com)

性犯罪・福祉犯(監護者わいせつ罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

東京都内では「年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせない。」

東京都内では「年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせない。」
 緩い方です。
 淫行・わいせつ行為には適用されません。

東京都青少年の健全な育成に関する条例の解説 令和元年8月
第28条
第9条第1項、第10条第1項、第1 1条、第13条第1項、第13条の2第1項、第15条第1項若しくは第2項、第15条の2第1項若しくは第2項、第15条の3,第15条の4第2項又は第16条第1項の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、第24条の4,第25条又は第26条第1号、第2号若しくは第4号から第6号までの規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。
【解説】
本条は、第9条第1項の指定図書類の販売等の制限、第10条第1項の指定映画の観覧の制限、第11条の指定演劇等の観覧の制限、第13条第1項の指定がん具類の販売等の制限、第13条の2第1項の指定刃物の販売等の制限、第15条第1項又は第2項の質受け又は古物買受けの制限、第15条の2第1項又は第2項の着用済み下着等の買受け等の禁止、第15条の3の青少年への勧誘行為の禁止、第15条の4第2項の深夜の青少年の連れ出し等の禁止、第16条第1項の深夜における興行場等への立入りの制限等の規定に違反した場合に、違反者は、その相手方の年齢が18歳に満たない者であることを知らなかったとしても、それを理由として処罰を免れることができないことを規定したものである。
本条でいう「過失」とは、注意すれば相手が青少年であるという事実を認識することができたのに不注意で認識しなかったことをいい、「この限りでない。」とは、過失がないと認められる場合は、消極的に本条の罰則適用を打ち消すとの意味である。
すなわち、年齢確認をした際、当該青少年が他人の身分証明書や年齢を詐称した定期券を提示した場合等で、誰が見ても見誤る可能性が十分あり、見誤ったことに過失がないと認められるような状況にあった場合は、あえて責任を負わせないとしたものである。

 最判s34.5.11を引き合いに出している埼玉・静岡・香川が最も厳しい注意義務を課していると思われます。

埼玉県青少年健全育成条例の解説R3
用語の 説明
「過失がないとき」とは、単に青少年に年齢や生年月日を確認しただけ、又は身体の外部的発育状況等から判断しただけでは足り ず、学生証、運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の保護者 に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を講じて青少年の年齢を確認している場合をいう。
関係する判例( 「過失がないとき」
○ 昭和 34 年5月 11 日最高栽判決(児童福祉法違反)児童又はその両親が児童本人の氏名を偽り、他人の戸籍抄本をあたかも本人のごとく装って提出した場合、他人の戸籍抄本をあたかも児童本人のものであるかの使用することも職業の特殊性から当然あり得ることが容易に想像できるから、一方的な陳述だけで たやすく軽信することなく、他の信頼すべき客観的資料に基づいて調査をなすべきである。この調査を怠っている
場合、児童福祉法第 60 条第3項但し書きにいう年齢を知らないことにつき過失がない場合に該当しない。

昭和 38 年4月 13 日東京家裁判決(風適法違反)
風俗営業者は、 全て の場合に戸籍謄本等を提出させたり、戸籍の照会をなすべき義務まで負うものではないが、応募者全員に対し住民票その他氏名、年齢等を通常明らかにし得る資料の提出を求めるか、 全て の場合に、単にその氏名、年齢等を述べさせ若しくは記載させ、又はその容姿を 観察するだけでなく、進んでその出生地、いわゆる「えと」年、その他、親兄弟や学校関係等について適宜の質問を発して事実の有無を確かめるとかの方法を講ずべきであり、すくなくとも本人の言うところ等に多少でも疑問があれば、右のような方法の外、進んで戸籍の照会を行う等客観的に通常可能な方法をとって事実を確かめ、その年齢を確認すべき法的な注意義務を有するものと解する。"

単に青少年に年齢や生年月日を確認しただけ、又は身体の外部的発育状況等から判断しただけでは足り ず、学生証、運転免許証等の公信力のある書面、又は当該青少年の保護者 に直接問い合わせるなど、その状況に応じて通常可能とされるあらゆる方法を講じて青少年の年齢を確認している場合

静岡県青少年のための良好な環境整備に関する条例の解説r04
8 第8項関係
本項は、第14条の2(淫行及びわいせつ行為の禁止)、第14条の3(入れ墨の禁止)、第14条の4(着用済み下着等の譲受け等の禁止)、第14条の5(児童ポルノ等の提供を求める行為の禁止)、第15条(場所の提供及び周旋の禁止)の各規定に違反する行為を行った者は、青少年の年齢を知らなかったことを理由として処罰を免れることができない旨を定めた規定である。
これらの行為は特に悪質な行為であり、このような行為が年齢の不知をもって処罰を免れることは、本条例の目的である青少年の健全育成に反するため、青少年の年齢を知らなかったことに過失のないときを除き、処罰の対象とするものである。
(1) 「過失のない」とは、通常可能な調査が尽くされていると言えるか否かによって判断される。具体的には、青少年に対して、年齢、生年月日を尋ねたり、本人の容姿、体格等の身体的発育状況によって満18歳以上であると信じたというだけでは足りず、戸籍謄本、運転免許証等の客観的な資料に基づいて、通常可能な調査方法を講じ、更には父兄に直接問い合わせる等、年齢確認に万全を期したものと認められない限り、過失がないとはいえない。
(2) 無過失であることの挙証責任は、違反する行為を行った者にあると解される。
。具体的には、青少年に対して、年齢、生年月日を尋ねたり、本人の容姿、体格等の身体的発育状況によって満18歳以上であると信じたというだけでは足りず、戸籍謄本、運転免許証等の客観的な資料に基づいて、通常可能な調査方法を講じ、更には父兄に直接問い合わせる等、年齢確認に万全を期したものと認められない限り、過失がないとはいえない。

香川県青少年保護育成条例の解説R2
「過失がないとき」とは、社会通念上、通常可能な年齢確認が適切に行われているか否かで判断され、例えば、相手方となる青少年に年齢や生年月日、干支等を聞いたり、身分証明書の提出を求める等客観的に妥当な確認措置がとられたにもかかわらず、その青少年が年齢を偽ったり、虚偽の証明耆を提出する等行為者に過失がないと認められる場合をいう。

例えば、相手方となる青少年に年齢や生年月日、干支等を聞いたり、身分証明書の提出を求める等客観的に妥当な確認措置がとられたにもかかわらず、その青少年が年齢を偽ったり、虚偽の証明耆を提出する等行為者に過失がないと認められる場合

【参考判例】(昭和34年5月11日最高裁判決、要旨)
児童を接客婦として雇い入れる雇主は、児童、「両親がその実家で差し出した他人の戸籍抄本が児菫本人のものか否かを確かめるべきであり、そのために、単に児童、両親の一方的陳述だけで軽信することなく、他の客観的資料に基づいて調査をなすべきである。"