児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者わいせつ・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

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青少年条例の年齢知情条項が主張されたときの反論

「~~の規定に違反した者は、当該青少年の年齢を知らないことを理由として、~~の規定による処罰を免れることができない。ただし、過失のないときは、この限りでない。」という条項については、国法上非使用者に年齢確認義務がないことから、法律違反ではないかと考えています。
 淫行処罰規定についていえば、児童買春罪が故意犯とされたときから、年齢知情条項の合理性が疑わしくなりました。
 各県の青少年条例の解説書を分析しましたが、どういう場合に年齢確認義務が発生するのかも明らかになりませんでした。

 検事の論稿でも、性交類似行為が許される熟女風俗店の遊客がサービスを受けるのに戸籍謄本を確認する義務があるのかという疑問が呈されています(結論としてそれは児童買春罪なので過失は処罰されません)


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第1 県条例条は憲法94条に反して無効である。 5
1  5
2 国法上の年齢確認義務 7
(1)刑法の場合 7
(2)児童淫行罪の場合 8
①東京高裁h7.5.31*2 8
②東京高裁s40.1.19*3 8
③大阪高裁S31.2.21*4 8
(3)児童買春罪の場合 9
②東京高裁s40.1.19 10
3 18歳未満への性的行為の規制について、有償・無償を問わず、使用者には年齢確認義務を負わせ、非使用者には年齢確認義務を負わせないというのが国法である。 11
4 児童買春罪と青少年条例の関係についての検察官の論稿 14
①山川景逸「いわゆる児童買春等処罰法と青少年保護育成条例の関係について」研修635号*5 14
②栗原雄一「児童買春の罪と青少年育成条例の関係について」研修644号*6 14
③島戸純「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」 研修652号**7 15
④藤宗和香(東京地方検察庁検事(当時))「青少年保護 16
5 まとめ 19
第2 県条例は過失がないことの立証責任を被告人に負わせるものであって、第一項に故意犯を規定しながら、第二項で年齢を知らなかったとしても処罰を免れず、過失がなかったことを行為者が証明して、はじめて処罰を免れるとしているのであるが、法律によらずに挙証責任を転換する点は、憲法31条、94条に反する。 20
1 検察官の「無過失の挙証責任が、行為者にあると主張する」という主張 20
2 立証責任が転換されるのか、挙証責任が転換されるのかは法文からは出てこない。 21
山口県青少年健全育成条例の解説 令和元年7月 21
3 各地の青少年条例をみても、挙証責任・立証責任の説明がマチマチであること 22
4 青少年条例違反につき、刑事訴訟法の原則である挙証責任が転換される理由がない 51
①山川景逸「いわゆる児童買春等処罰法と青少年保護育成条例の関係について」研修635号(弁1) 53
②栗原雄一「児童買春の罪と青少年育成条例の関係について」研修644号(弁2) 53
③島戸純「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」 研修652号(弁03) 53
④藤宗和香(東京地方検察庁検事(当時))「青少年保護 55
5 まとめ 56
第3 過失の青少年淫行罪における年齢確認義務の内容・程度と発生する場合が定まらないこと(憲法31条違反) 57
1 はじめに 57
2 各地の青少年条例における年齢確認義務の内容 57
①両親が示した戸籍謄本も疑えとするもの~香川県・埼玉県 57
②戸籍・住民票まで調査すべきとするもの~山形・福島・愛知・愛媛 60
ア 大阪高裁s46を引用して、この程度の年齢確認義務があると説明する~山形・福島・愛知・愛媛 60
イ 大阪高裁s46には言及しないが、戸籍・住民票まで調査する義務があるという自治体~群馬・埼玉・静岡・香川・沖縄 62
ウ その他公信力のある証明書での確認を求めるもの~宮城・茨城千葉・新潟・石川・兵庫・鳥取・鹿児島 66
③必ずしも証明書までは必要なく、干支や生年月日尋ねれば足りるとするもの~北海道・・岩手・秋田・富山・岐阜・滋賀・京都・奈良・和歌山・島根・岡山・広島・愛媛・高知・福岡・宮崎 69
④通常人ならば青少年でないかと疑いを持つようなときに、相手方に年齢を問う程度のものであり、身分証明書運転免許証等による年齢調査義務まで求めたものではないとするもの~山口県 75
山口県青少年健全育成条例の解説 令和元年7月 75
⑤ 過失犯を処罰しないもの(東京都) 76
⑥ 具体的内容が不明のもの~栃木・徳島・佐賀・熊本・大分 76
3 検察官の主張も根拠不足である。 78
(1)保護法益の理解を誤っている 80
最高裁判所判例解説刑事篇昭和60年度201頁福岡県青少年保護育成条例違反被告事件昭和60年10月23日高橋省吾 81
②亀山継夫「児童に淫行をさせる罪(その二)」研修347号P59(弁5) 82
(2)年齢確認義務に関する国法の規定を青少年淫行罪に類推する根拠がないこと 84
3 検事の論稿でも否定的であること 85
①山川景逸「いわゆる児童買春等処罰法と青少年保護育成条例の関係について」研修635号 86
②栗原雄一「児童買春の罪と青少年育成条例の関係について」研修644号 86
③島戸純「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」 研修652号 87
④藤宗和香(東京地方検察庁検事(当時))「青少年保護 88
4 ネット上の性交類似行為・わいせつ行為 89
(1)送信型強制わいせつ罪・非接触型児童淫行罪 89
④札幌地裁h29.11.15*12 チャットによる児童淫行罪 91
(2)児童ポルノ要求罪 91
児童ポルノ要求行為について過失処罰条項を適用しない自治体 91
児童ポルノ要求行為に過失処罰条項を適用する自治体 92
児童ポルノ要求行為の過失処罰条項一覧 92
5 終わりに 118
第4 過失がないこと 120
1 注意義務違反発生の根拠と注意義務の内容が定まらない 120
2 容姿風貌から青少年を疑えという点 120
(1)検察官は容姿・風貌等から、青少年と疑えと主張する。 120
(2)顔貌容姿からの年齢推定はできないこと 123
(3)裸体からの年齢推定 127
宮沢りえ サンタフェ 127
(4)裁判所の実務では、生体の場合は骨・歯牙で判断する 129
3 被告人の職業から重い注意義務を課されているか 130
②東京高裁s40.1.19 131
4 原判決 132
5 まとめ 133
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