児童ポルノ・児童買春・児童福祉法・監護者性交・強制わいせつ・青少年条例・不正アクセス禁止法・わいせつ電磁的記録記録被告事件弁護人 奥村徹弁護士の見解(弁護士直通050-5861-8888 hp3@okumura-tanaka-law.com)

性犯罪・福祉犯(監護者性交罪・強制わいせつ罪・児童ポルノ・児童買春・青少年条例・児童福祉法)の被疑者(犯人側)の弁護を担当しています。専門家向けの情報を発信しています。

12歳との児童買春罪・強制性交の猶予判決(名古屋地裁R011205)

 755万円で示談して酌量減軽
 援助交際型というのは強制性交罪の科刑状況としては一番軽い部類になります。
 対償供与約束が児童買春罪の実行行為とすると、部分的にしか重なり合って居ませんが、観念的競合とされます

名古屋地裁令和元年12月 5日
事件名 強制性交等、児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反被告事件
主文
 被告人を懲役3年に処する。
 未決勾留日数中40日をその刑に算入する。
 この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
理由
 (罪となるべき事実)
 被告人は,A(別紙記載。当時12歳)が13歳に満たない児童であることを知りながら,平成31年3月9日午前2時15分頃から同日午前3時13分頃までの間に,愛知県大府市〈以下省略〉aホテル217号室において,Aに対し,約1万3000円相当のチケット代金等の支払を対償として供与する約束をして,Aと性交及び口腔性交をし,もって児童買春をするとともに,13歳未満の者に対し,性交等をしたものである。
 (証拠の標目)
 (法令の適用)
 罰条
 児童買春の点 児童買春,児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律4条,2条2項1号
 強制性交等の点 刑法177条後段
 科刑上一罪の処理 刑法54条1項前段,10条(1個の行為が2個の罪名に触れる場合であるので,1罪として重い強制性交等罪の刑で処断)
 酌量減軽 刑法66条,71条,68条3号
 未決勾留日数の算入 刑法21条
 刑の執行猶予 刑法25条1項
 (量刑の理由)
 本件は,LINEを通じて知り合った被害者に対する犯行であるところ,被害者が小学6年生であることを確定的に認識した上で敢行している点,性交と口腔性交に及んでいる点で,悪質である。被害者は,本件後,通学に支障を生じるなど,本件により心身に悪影響を受けている。被害者の母親が,被告人との示談成立後も,心情の意見陳述として,本件が忘れたくても忘れられない出来事であって,被告人に対し,裁判が終わった後も,本件犯行を一生かけて償ってほしいなどと述べるのは当然である。
 以上の事情によれば,被告人の刑事責任は軽いものではない。
 しかしながら,被告人が被害者に対して暴行や脅迫を加えていないこと,被告人が示談金として755万円の支払義務を認めるといった内容で,被害者らとの間で示談が成立し,約束どおり500万円を支払済みであること,示談書において,被害者とその母親が被告人に対する実刑判決を望まない旨を表明していることが認められ,これらの事情は量刑上相応に考慮する必要がある。その他,被告人に前科がないこと,被告人が本件犯行を認めて反省の態度を示していること,被告人の母親が出廷して被告人の監督を誓約していること等を考慮し,刑法改正後の同種事犯の量刑傾向を踏まえると,本件については,酌量減軽の上で刑の執行を猶予するのが相当であると判断した。
 (検察官吉川剛史,同庭野永基,私選弁護人春田藤麿各出席)
 (求刑 懲役5年)
 令和元年12月6日
 名古屋地方裁判所刑事第5部
 (裁判長裁判官 板津正道 裁判官 西脇真由子 裁判官 新田浩志)