青少年条例違反(淫行)というのは具体的な権利侵害はないとされています。
量刑理由にも「同種事案の量刑傾向を踏まえると、本件については執行猶予を付すことが相当である」とあるように、量刑相場としては、示談できなくても執行猶予はつきますよね
大津地方裁判所令和5年11月16日
主文
被告人を懲役2年に処する。
この裁判が確定した日から4年間その刑の全部の執行を猶予する。理由
(罪となるべき事実)
起訴状記載の公訴事実と同一であるから、これを引用する(なお、この判決においては、公訴事実第1から第3の被害児童をA、同第4及び第5の被害児童をBと、それぞれ表記する。)。(法令の適用)
罰条 第1、第4 滋賀県青少年の健全育成に関する条例27条1項、24条1項
第2 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ処罰法」という。)7条4項、2項、2条3項1号
第3、第5 児童ポルノ処罰法7条4項、2項、2条3項3号
刑種の選択 いずれも懲役刑
併合罪の処理 刑法45条前段、47条本文、10条(刑及び犯情の最も重い第2の罪の刑に加重)
刑の全部執行猶予 刑法25条1項
(量刑の理由)
本件は、中学校の教員であった被告人が、元教え子である当時16歳の青少年2名と性交したという青少年に対するいん行2件と、その様子を動画撮影するなどしたという児童ポルノ製造3件の事案である。
被告人は、被害者らの好意や被告人に嫌われたくないなどという心情に付け込んで、直接ないしビデオ通話等を通じた性的行為に応じるよう言葉巧みにあおり、同様の行為を繰り返す中、本件各犯行に及んでいる。本件は常習的犯行の一環である上、各犯行の内容は、被害者らの心情に意を払わず、自らの性欲を満たすための道具のように扱うもので、被告人が中学校の教員として、青少年の健全な成長を促すべき立場にあったことを踏まえると、とりわけ強い非難に値する。本件により、被害者らの健全な成長に悪影響が生じることが懸念され、その保護者らが被告人に対する厳しい処罰を望むのは当然である。
他方で、被告人が被害者のうち1名に対し500万円を支払って示談を成立させたこと、事実を認めていること、自らの認識や行動の誤りを自覚して改善するため、専門機関において認知行動療法を受けていること、被告人の父が監督を約束していること、これまで前科前歴がないことなどの事情も認められ、これらの事情に加え、同種事案の量刑傾向を踏まえると、本件については執行猶予を付すことが相当であると判断し、主文のとおり刑を定めた。
(求刑 懲役2年)