着替え盗撮は、被害者100人くらいでも執行猶予になっている。
文献・裁判例がそうなっています。
(ひそかに製造罪創設前の児童ポルノ法について)
「盗撮された児童は、盗撮の事実に気付かず何ら特別の性的行為を強いられ、あるいは促されるわけではないから、直ちに性的虐待を受けたものとはいえないし、提供目的を欠く場合、盗撮の結果が児童の心身に悪影響を及ばす危険が具体化しているともいえない」(島戸純「児童買春,児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律の一部を改正する法律」について(警察学論集57巻08号P97))
判例タイムズ1432号53頁
特別法を巡る諸問題[大阪刑事実務研究会]
児童ポルノ法(製造罪, 罪数)
武田正大阪地方裁判所判事
池田知史大阪地方裁判所判事
57)なお,平成26年改正により犯罪化された, ひそかに児童の姿態を描写する行為(盗撮による製造)においては,被害児童ごとの法益侵害を観念できるが,被害児童に対する直接の働きかけはないほか,衣服をつけない場所に来る不特定の被害児童を描写することも多いと予想される。この点,街頭募金詐欺について包括一罪と解することができるとした事例では,不特定多数人に対して一括して,適宜の日,場所で,連日のように, 同一内容の定型的な働きかけをする態様で,かつ, l個の意思,企図に基づき継続的に行ったこと,被害者は名前も告げないし,現金は直ちに混和して特定性を失うことから包括評価が是認できるとされ(最決平成22年3月17日刑集64巻2号lll頁), その補足意見において,被害者及び被害法益の特定性が希薄であるときに無理に特定して別々に扱うべきではないとしており,多数の被害者に対する一括性(没個性性)や匿名性,被害者及び法益侵害の特定性の希薄さを考慮要素に挙げていることが参考となろう。
これは法令適用にも現れていて、横浜地裁r05では、1名1名特定する必要があるという主張が排斥されて、1回の製造罪が(被害者数を考慮せず)単純一罪とされています
横浜地裁r05.12.6
2〔1〕判示第1の1~5について
(1)〔ア〕訴因不特定との主張について
弁護人は、児童ポルノ製造罪は個人法益に関する罪であり、個人の実在性、年齢、児童ポルノ該当性が訴因において特定されなければならず、判示第1の1~5において「18歳に満たない」「女子生徒71名」等としか記載されていないのは、訴因が特定されておらず刑訴法256条3項に反すると主張する。
しかし、判示第1の1~5はいずれも、被告人が勤務する小学校内で行われた同校の女子児童に対する盗撮であることを示し、健康診断、着替えなどと撮影の状況も付した上で、犯行時刻、犯行場所を特定していることなどからすれば、審判対象は明確であり、被告人の防御に支障を生じさせるおそれもないから、訴因は特定されているといえる。
(法令の適用)
罰条
第1の1ないし5
いずれも児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律(以下「児童ポルノ法」という。)7条5項、同条2項、2条3項3号
被害者176人の事案
さいたま地方裁判所H28.10.25宣告
事件名 児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反
被告人を懲役2年に処する。
この判決が確定した日から4年間その刑の執行を猶予する。
被告人をその猶予の期間中保護観察に付する。
(量刑の理由))
本件は、3回にわたる、いずれも中学校内において女子生徒らの検診ないし着替えを動画で盗撮し、児童ポルノを製造した事案である、被告人は上記学校に勤務する立場を悪用してその機会を狙って小型カメラを仕掛け、多数の児童を盗撮したものであって、その犯行態様は計画的で相当に悪質なものである。
被害者150人くらい
提供 TKC
【文献番号】 25596585
【文献種別】 判決/横浜地方裁判所(第一審)
【裁判年月日】 令和 5年12月 6日
【事件名】 強制わいせつ、建造物侵入、栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、窃盗被告事件
【事案の概要】 小学校教師であった被告人が、勤務先の小学校の女子児童に対して行った、強制わいせつ1件、窃盗1件並びに盗撮による児童ポルノ製造5件及び建造物侵入、迷惑防止条例違反1件の各犯行につき、懲役4年を求刑された事案において、被告人の責任は重いといわざるを得ないが、被告人が反省の弁を述べ、既に児童に関わる仕事からは離れていること、前科のないこと、被告人の罹患するADHDの本件各犯行への影響について否定まではできず、被告人が治療を受け続けると述べていることなどを考慮し、懲役3年、保護観察付きの執行猶予5年間を言い渡した事例。
【裁判結果】 有罪
【裁判官】 小泉満理子
【全文容量】 約12Kバイト(A4印刷:約8枚)
【文献番号】25596585
上記の者に対する強制わいせつ、建造物侵入、栃木県公衆に著しく迷惑をかける行為等の防止に関する条例違反、児童買春、児童ポルノに係る行為等の規制及び処罰並びに児童の保護等に関する法律違反、窃盗被告事件について、当裁判所は、検察官地引彩乃並びに弁護人小松圭介(主任)、奥村徹及び彦坂幸伸出席の上審理し、次のとおり判決する。
主 文
被告人を懲役3年に処する。
未決勾留日数中120日をその刑に算入する。
この裁判が確定した日から5年間その刑の執行を猶予する。
その猶予の期間中保護観察に付する。
訴訟費用は被告人の負担とする。